Straight Travel

日々読む本についての感想です。
特に好きな村上春樹さん、柴田元幸さんの著書についてなど。

「本からはじまる物語」恩田陸ほか(メディアパル)

2008-10-19 | いしいしんじ
「本からはじまる物語」恩田陸ほか(メディアパル)を読みました。
18名の作家が「本」「本屋」をテーマにした掌編小説集です。

この本を手に取ったのはいしいしんじさん目当て。
「サラマンダー」期待どおりよかったです。犬に「サラマンダー」と名前をつけること自体娘さんのキャラクターを表しているようで面白いかった。
いしいさんはストーリーも面白いのですが、本当に言葉の達人。

「祖父は声に出して笑った。乾いた太鼓を指先で撫でるような声だった。私は祖父の気をひけたのが嬉しく、空のグラスにぬるい水を注ぎ足しながら、昔っからおじいちゃんは本がいちばんの宝物なんだね、といった。」

春の午後のふたりの情景。誰にもまねのできないいしいさんの絶妙な言葉づかい。
来月刊行予定のいしいさんの新刊、早く読みたいなあ。

「世界の片隅で」柴崎友香さんは今回初めて読みましたが、とても印象に残りました。好きな本、作家の話をからめた物語が多いなかで、書店の中で「自分が(たぶんこれからも)読んでいない本」「知らない本」が放つ空気を、海のように描く物語、面白かったです。

有栖川有栖さんの「迷宮書房」は、私が大好きな宮沢賢治のパロディで楽しかった。
梨木香歩さんの「本棚にならぶ」は出だしや設定はとっても期待できそうだったのですが、最後なんだか観念的に流れてしまった気が。
もっとぶっとんだラストでもいいような気がしました。

どの作品も本や本屋さんへの愛情がたっぷり詰まっていると思いました。
ただ18作品も集まっているので仕方ないのかもしれないのですが、本がはばたく鳥にになる、本の背表紙が暗号になっているなど、発想がかぶっている作品がいくつかあったのがちょっと残念。

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
新刊 (青子)
2008-10-19 12:23:54
待ち遠しいですね。
私は図書館で借りる派なので、読むのはもう少し後になると思いますが。
いつも、文庫になってから購入しています。
今月は、「ポーの話」・「うなぎのダンス」が文庫落ちしたので購入しました。
そして、来月発売の「白の鳥と黒の鳥」も、購入予定です。
「うなぎのダンス」は、絶版になっていたのでとっても嬉しいです。
今、少しずつ大切に読んでいます。
インタビューですが、相変らずのはちゃめちゃが楽しいです♪
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Unknown (ナカムラのおばちゃん)
2008-10-19 16:13:22
はじめまして、こんにちは。
コメントありがとうございました。
柴崎さんは関西弁がすてきなおばちゃんの好きな作家さんです。
今江さんの物語の舞台となった本屋さんは
「文祥堂書店」さんという京都の町の真ん中にある
書店さん。
猫のブックカバーも本当にあり、京都に来られる折には探してみてください。
では、またお邪魔します。


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コメントありがとうございました (straighttravel)
2008-10-30 20:37:24
青子さんコメントありがとうございました。
私も同じく図書館で借りる→気に入ったら文庫で買う派です。
文庫の方が安いというのもありますが、本棚でかさばらないし、解説もついていたりしてお得な感じ。
しかしいしいさんの新刊は早く予約しないとかなり待ちそうですよね・・・。発売日チェックしておかなきゃ!
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ナカムラのおばちゃんさんへ (straighttravel)
2008-10-30 20:39:33
ナカムラのおばちゃんさん(なんだか変な敬称ですみません)、コメントどうもありがとうございました。
ナカムラさんのブログはブックレビューもさることながら、本屋さん情報が愛情にあふれていて読んでいてとても楽しいです。
またブログお邪魔させてくださいね。
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