Straight Travel

日々読む本についての感想です。
特に好きな村上春樹さん、柴田元幸さんの著書についてなど。

「ライオンボーイ 消えた両親の謎」ジズー・コーダー著(枝廣淳子)PHP研究所

2009-02-18 | 児童書・ヤングアダルト
「ライオンボーイ 消えた両親の謎」ジズー・コーダー著(枝廣淳子(えだひろじゅんこ))PHP研究所を読みました。
三部作の第一作目。
舞台は石油の尽きた近未来のロンドン。地球は「帝国」の支配を受けていました。車に乗れるのは特権階級の人々だけ。
主人公チャーリーは、ネコ語が話せる男の子。両親はどちらも科学者で、母親はイギリス人、父親はガーナ人です。チャーリーはふたりが誘拐されたと近所のネコに聞かされます。これには近所の不良少年ラフィが関わっているらしい。
チャーリーはカバンに両親が発明したある重要なメモをひそませ、両親を探し始めます。それを執拗に追うラフィ。川を進むサーカス団の船キルケ号に乗り込んだチャーリーは、そこでライオンたちに出あいます。ライオンはアフリカの平原に戻りたがっていました。

原作者は、シングルマザーのルイ―ザ・ヤングとその娘イザベルのふたりのペンネームだそうです。イザベルも物語の主人公と同じく、イギリス人の母ルイーザとガーナ人の父親の子どもだそう。そしてジズーとは、イザベルが飼っているトカゲの名前だそうです。
この物語は、ルイーザがイザベルに語り聞かせるために考えたものだそう。

巨大なサーカス船、両親が連れ去られた潜水艦、オリエンタル急行、と子どもが(大人も)喜ぶ乗り物が満載。
天野喜孝さんの絵がまたすばらしい。まざまざとした船の赤色にドキっとします。
両親や、サーカスの団員たちに教わったことを生かして、頭をフル回転させて生き延びる道を探すチャーリー、そしてアフリカの平原を目指すライオンたち、がんばれ!

ラフィや、両親を捕らえる男たちがまぬけすぎたり、あっさりオリエンタル急行に乗り込めたりするあたりにご都合主義を感じるものの・・・そこらへんには目をつぶっても、早く先が読みたい!ととてもわくわくさせてくれるファンタジーです。

「大人が主導権を握ると、すべてを無難に片付けようとしてしまう」
僕がライオンを助けるんだ!と訴えるチャーリーを受け入れるのみならず、チャーリーにその後を任せようとするボリス王、なんだかすごい人物です・・・。
第二巻が楽しみです。

スピルバーグのドリーム・ワークスでの映画化も決定しているそうです。
以下のHPの「ニュース」→「ライオン・ミュージック発売中」をクリックするとカライオピの視聴ができますよ。

http://www.php.co.jp/lionboy/index.html