Straight Travel

日々読む本についての感想です。
特に好きな村上春樹さん、柴田元幸さんの著書についてなど。

「グレート・ギャッツビー」フィッツジェラルド著(村上春樹訳)中央公論新社

2006-11-20 | 村上春樹
「グレート・ギャッツビー」フィッツジェラルド著(村上春樹訳)中央公論新社を読みました。
村上春樹さんが人生で巡り会った最も大切な小説と語る「グレート・ギャッツビー」。村上さん本人による待望の新訳です!
この小説を私が初めて読んだのは大学生のとき。訳のせい?とは思わないですが、まだ自分が幼いせいもあって「これが名作?なんだか良さがわからないなあ」というのが感想でした。なぜ村上春樹さんはこんなにもこの小説にいれこむのかなあと。
今回改めて村上さんの訳で読んでみて、本を閉じてはぁーーーとため息をつきました。
・・・すごくすごくすごくいい作品でした!

あんなにも集まっていたギャッツビーの周囲の人々が、いっせいに背を向ける後半が読んでいて一番つらかった。
ピンクのスーツを着て上流階級の言葉を使うスマートなギャッツビー。
でもその心の中には激しい上昇嗜好、そしてそれを体現しているようなデイジーへの強い想い(空想)が隠されていた。
ギャッツビーの父親が見せてくれた本の落書きがとてもせつなかった。
そしてその子供時代からの願いを実現させるために違法な手段で金を稼ぐギャッツビー・・・。
この物語のあと、デイジーがどうなったのかも気になります。
すべてをなかったことにして、よき母・妻をつとめているのかなあ。

かなえられた思い、かなえられなかった願い、もうとにかく胸がいっぱいになる物語です。
村上さん、すばらしい翻訳でこの作品の良さを教えてくれてどうもありがとう!