森岡 周のブログ

脳の講座や講演スケジュールなど・・・

本日の授業から。。。

2013年06月26日 17時18分57秒 | 脳講座

今日の午前中は、看護学科の授業でした.学生たちにはここ数回実験を通じて,感情の変化を脳科学から学習してもらいました.彼ら,彼女たちがあげてきた問題は,麻痺後の非利き手での道具操作時の脳活動,そして,音楽聴取による認知課題時の集中力,記憶容量というものでした

非利き手による道具操作時(書く,食べる)はmPFC,音楽聴取(快,不快)時の記憶課題ではACCが有意に働くという結果であり,集中力や快・不快,ならびに記憶数などのパフォーマンスバッテリーとともに,考察を求めました.人間における感情コントロールや矛盾という問題をこれを通じて理解してもらえればと思います.

さて来週からの最後の仕上げの授業は,高次脳機能障害,運動器疼痛,自閉症,認知症の実際の事例の感情変化から脳の問題,あるべきケアを考えてもらいます.これがレポートになります.

一方、午後は、神経理学療法学の講義でした。今日は協調運動の神経メカニズム、そして、それが破綻を来す協調運動障害について話しました。小脳における運動制御・学習メカニズムに関して、脊髄小脳、大脳小脳(橋小脳)、前庭小脳の役割について話し、そのシステム障害による姿勢制御、運動制御、眼球運動制御の障害の神経学的根拠を説明し、その後、遠心性コピー・フィードフォワード制御の概念、ならびに苔状線維、登上線維、プルキンエ細胞ー平行線維の役割から運動学習のメカニズムである長期抑圧について説明をしました。具体的には誤差学習であり、実際に標的に対するフリースローなんかを取り上げ、比喩を交えて、あるいはチョークをゴミ箱に投げ入れるなどの運動といった実演を交えて説明していきました。

その後、運動失調を運動開始時遅延、反復拮抗運動不能、測定障害、運動分解に構造を分解するとともに、小脳半球、中間部、虫部の核(室頂核、中位核、歯状核)の出力核としての役割から、それぞれのメカニズムについて説明しました。また、歩行障害を立脚期における姿勢コントロール、遊脚期における下肢プレイスメントを脊髄小脳、大脳小脳、あるいは半球(歯状核)、虫部(室頂核)の役割から、どのように捉えるかを解説し、歩行運動における姿勢コントロール、下肢コントロールの理解、そしてその評価手続きについて話しました。歩行能力低下は誰でも(療法士でなくとも)見つける事ができます。もちろん、それが安定性、安全性などからactivity limitationの問題となりうるかの判断・考え方を大前提にした上、さらには代償戦略をとるべきか、治療的戦略をとるべきか、その他の基本的情報も含めた様々なボトムアップ情報、あるいは自らの視点に誘導されたトップダウン情報、これらを包含し意思決定していくプロセスが理学療法プロセスとなるわけですが、それぞれに存在する特異的な病態から、もう1ランク上の解釈を加えていかなければなりません。例えば今回は、小脳障害における歩行障害(例えば、なぜ酩酊歩行と呼ばれ、なぜそれが起こっているのか)について、どのようにリーズニング(運動を分析)していくか、ということになるわけです。このリーズニングのためには、それ相応の構造と機能の理解が不可欠なわけです。この能力によって評価や治療の視点が変わるはず(多様的、多角的視点をもつ)です。

最終的には関節運動学的視点の「運動の自由度」から、協調運動を制御するシステムについて話しました。これらの理解の上で、運動における自由度問題、そして固定ー運動の関係性を理解してもらいます。それらの理解のもと、自由度問題(脳における標的に対する視覚的運動制御)から、フレンケル体操、弾性緊迫帯、重錘負荷などを古典的な手技を考えてもらいたいと思います。手技ありきではありません。なぜそれが用いられてきたか、そして、どのように応用・更新すれば、さらによりよい治療となりうるのか、そして適応と限界から、限界の場合、何を代償として利用するかを考えてもらいたいと思います。。が、時間がありません。後半の部分は、後期の技術実習に入るのか。。けれども、私の科目ではないのです。。笑。

いずれにしても科目の再編成は必要な時期だと僕は思っています。
上手くいっている、これこそ、問題なのかもしれなせん。学内教育ー臨床実習の関係が上手くいって自動化されているシステムであれば、臨床のパラダイム変換が起こるはずがないわけですから。そこにが誤差が必要なわけです。


さてさて、細かい事をいうと、私の専門は「姿勢バランス」「知覚運動学習」です。学位もそれに関するものです。フラミンゴの重心動揺の測定を20代のときには試みようとしていたわけですから。脳の科学はそれを説明するものになります。しかし、現在はそれから枝が何十も、何重もになっている状態です。もっぱら、人間とは?あるいは人間がつくりあげる社会、あるいは社会のなかの人間とは?ということを考えていること、これが私のライフワークになっています。

だから、今学生に教えていること、この難易度は譲れないわけです。簡単にメタファーでさらっと説明する事は可能ですが、それもできるだけしたくはないのです。

7月~9月の講演スケジュール

2013年06月25日 08時53分46秒 | インフォメーション

長崎記念病院出張講義
期日 2013年7月4日(木)
場所 長崎記念病院
内容 姿勢バランスの神経機構とその学習
対象 長崎記念病院職員



第14回 日本認知神経リハビリテーション学会学術集会
期日 2013年7月6日(土)~7日(日)
場所 門真市民文化会館ルミエールホール 門真市末広町29‐1
特別講演
 「感覚運動学習を支える脳のネットワーク」
 今水 寛(国際電気通信基礎技術研究所(ATR))
 司会:森岡 周(畿央大学)
対談 今水 寛・森岡 周


第35回日本疼痛学会
2013年7月12日~13日
場所 さいたま市の大宮ソニックシティ
内容 一般口演プログラムB4. 臨床:術後痛
7 月13 日(土)13:10~14:10
座長:森岡周(畿央大学大学院 健康科学研究科)



Active Step 特別研修会
日時 平成25年7月20日~21日
場所 日本文理大湯布院研修所 8号館 1階研修室
講師 森岡 周 先生
内容 小脳の構造と機能、そして運動学習


日本理学療法士協会 理学療法士講習会
テーマ 身体知覚と運動学習
講演1「身体知覚と運動学習(9:00~12:00,180分)」 講師 森岡 周 先生
講演2「知覚・こころとリハビリテーション(13:00~16:00,180分)」 講師 樋口貴広 先生
開催期間1 2013年7月28日(日) 受付:8:30~ 講義時間:9:00~16:00
会場 会場名 徳島文理大学 徳島市山城町西浜傍示180



福岡青洲会病院ニューロサイエンスセミナー
<開催日>平成25 年8 月18 日(日曜日) 10:00~16:00 (受付開始9:30~)
<開催場所>福岡青洲会病院健診棟(4階講堂)
<セミナーテーマ>
「神経科学に基づいた脳卒中後の機能回復に対する臨床手続き」



合同会社geneセミナー
高次脳機能障害の脳内機構とニューロリハビリテーション~東京会場~ 
講師 森岡 周 先生 畿央大学 健康科学部 理学療法学科 教授・理学療法士
開催日時 平成25年8月25日(日) 10:00~16:00(受付9:30~)
会場 株式会社 東京証券会館 8階 ホール 東京都中央区日本橋茅場町1-5-8



senstyleセミナー

テーマ 脳卒中片麻痺に対するニューロリハビリテーション in福岡
日時 平成25年8月31日(土)~9月1日(日)
講師
森岡周先生(畿央大学 教授)
松尾篤先生(畿央大学准教授)
信迫悟志先生(東大阪山路病院)
竹林崇先生(兵庫医科大学)
場所 福岡市立東市民センター


第18回日本ペインリハビリテーション学会
日時 平成25年8月31日(土)~9月1日(日)
場所 九州ビルディング9階大ホール
特別講演司会
 神経科学に基づくリハビリテーションアプローチ
  講師:住谷 昌彦 先生(東京大学医学部附属病院・麻酔科)
  司会:森岡  周 先生(畿央大学大学院)



2013年度日本認知科学会サマースクール
日時: 2013年9月2日(月)13:00 ~ 9月4日(水)15:30
場所: 神奈川県箱根市 箱根湯本富士屋ホテル
セッション(2)「身体性・社会性の認知科学と医療の接点(仮)」
コーディネータ:嶋田総太郎(明治大学)
講師:森岡 周(畿央大学)



senstyleセミナー
テーマ ニューロサイエンスから考える脳卒中リハビリテーション
講師 森岡 周先生(畿央大学 教授)
日時 平成25年9月8日(日) 10:00~15:30(受付開始9:30)(予定)
会場:医療法人おもと会 沖縄リハビリテーション福祉学院 沖縄看護専門学校


日本理学療法士協会心理精神領域理学療法セミナー
日時 平成25年9月14日(土)
テーマ 社会性の神経科学-心理・精神障害者を理解するー
場所 高知
講師 森岡  周(畿央大学 教授)


合同会社geneセミナー

テーマ 神経科学から考える脳卒中リハビリテーション-運動機能回復のための臨床手続-~名古屋会場~
講師 森岡 周 先生 畿央大学 健康科学部 理学療法学科 教授・理学療法士
開催日時 平成25年9月15日(日) 10:00~16:00(受付9:30~)
会場 名古屋市中小企業振興会館 7階 メインホール 愛知県名古屋市千種区吹上2-6-3


平成25年度全国大学保健管理協会近畿地方部会保健師・看護師班研究集会
日 時 平成25年9月19日(木)
場 所 畿央大学 冬木記念ホール
テーマ 脳の発達と社会的コミュニケーションの関係
講師 森岡 周


畿央大学 ニューロリハビリテーションセミナー応用編

日時 平成25年9月28日(土)、29日(日)
場所 大学冬木記念ホール


8月1週目~2週目の週末はよさこい祭り関係で帰省です。
9月22日は大学院入試、21日はライブの予定です。


本年度1発目のセミナー終了!

2013年06月23日 23時45分52秒 | 日記
もうそろそろ皆さん自宅に帰り着きましたか?
あ、まだの方もおられますね。。

昨日、今日とうちの大学のニューロリハビリテーション研究センターが主催しているニューロリハビリテーションセミナーに多くの方に参加していただきありがとうございました。北海道から沖縄のおおよそ320名の皆様に参加いただきました。

申し込みが殺到し、サーバーダウン、そして応用編、臨床編、研究編を含め10分で定員が埋まるといったことからはじまったた今年のセミナー。その期待に応えることはなかなか骨のおれる作業なのですが、その期待をエネルギーに変え、情報を提供、あるいはどのようにすれば皆様が満足するかをスタッフ一同で意識し考えました。事前資料を配布し、このスピードについてもらおうと今回は試みましたが、強い効果はなかったものの、やらないよりやった方がよい、というポジテュブ効果は感じることができました。

とりあえず、いくつかの反省もありつつ、皆さんのご協力をえながら終了できたこと、ここに研究センターを代表してお礼申し上げます。そして、これを支えてくれたスタッフ、院生のみんなに対しても。

我々は持ち前の仲のよさを活かして、あるいは4年目という経験をいかして、円滑なシステムとして機能しています。しかしながら、もっとうまくいかないか、もっと満足させることはできないか、後ろで講義を聴きながら思い、いろんなパターンをシミュレーションしていました。いくつかは応用編に向けて修正していきます。そして、当面は「個」の力をのばす、そして、そろそろいったんプログラムを解体し、その構造を変えたり、新しい人材を登用したりと、変化を起こしていかないといけないと思っています。現状維持という視点は、将来的に現状維持にはなりえない。そして、現状維持の意識こそ、利己的意識であると、私は思っています。

さて、分子から構造、機能までいくつか抜け落ちたものもありつつ、一通り1.5日で終了することができました。時間の関係上、情報の垂れ流しであったかもしれません。ただ、私たちはいわゆる臨床をする人でないため、できる限りの飛躍を避け、そのままを伝えるようにしています。しかしながら、情報は選択する人の脳機能に由来しているため、その情報がすべてではありませんし、少々自己のバイアスにゆがめられているのも事実です。そしてその受け取り側の準備・状態によってもその情報は変化していきます。人と人のつながり、まさに神経細胞と神経細胞のつながりににていますよね。シナプス後細胞が受講していた皆様かもしれません。

いずれにしても、私たちと皆様がシナプス結合したり、シナプス可塑性がおこったり、あるいは、そうでなく、アポトーシスがおこったり、それぞれでいろんなことがおこったかもしれませんが、私たちは皆様(後細胞)から批評、そしてそれぞれの視線やムードを受けたこと、それ自体が私たちの神経成長因子であると思っています。このつながりが強化され、増強することが、リハビリテーションパラダイムをよき方向に導いていくものと信じています。それには、患者さんのために勉強していると建前でいいつつも、無意識的に存在する本音である自己の現状維持に対する満足感を一度取っ払うことが必要だと思っています。

応用編は9月です。皆さんを喜ばすためには?それを2ヶ月練りたいと思います。応用編でまたお会いできること、あるいははじめてお会いできること、それを楽しみにしています。

けれど、その前に私自身はよさこい祭りに意識のベクトルを向けていきます!!笑。

2013ニューロリハビリテーションセミナースタート

2013年06月23日 06時58分03秒 | 日記
2013年の本学のニューロリハビリテーションセミナーはじまりました。まずは、基礎編です。

昨日は脳の発生や神経可塑性の話からはじまり、脳幹、伝導路、視床、扁桃体、海馬、視床下部、とややもすれば学校卒業前にきいたけれど、そのまま通り過ぎていたところ、あるいは学校によってはさらっとしかやっていなかったところだと思いますが、脳が活動したとか、活性化したとか、マクロなことで話している、そのおおもとは何かをしっておかないと、ものごとを単純に考えてしまう嫌いがあります。一方で、皮質優位に物事を考えていますが、生物としての象徴としての脳機能とはなにか、そして、運動、認知の手前にもっと意識すべき情動という問題を考えるきっかけになったのではないでしょうか。

こうした基礎が臨床の何に役立つのかと、否定的にとらえる方もいるかもしれません。けれども、それも自己の脳なのです。なぜ、そのように自分自身がとらえているか、ひょっとすると自己の大脳辺縁系が用語に対して無意識に「嫌い」というサインをだして、例えばその矛盾(勉強しようと思っているのに、わからないとか、臨床にすぐさま役立てようと思っているのに、浮かばないとか)に対して前帯状回なんかが反応しているのかもしれません。その基盤が神経細胞による興奮性シナプスかもしれません。

いずれにしても、学習という道しるべには長期増強や長期抑圧がかかわってきますが、それには短期的に集中してスパイクさせるか、時間を費やして、繰り返し加重を増やして行くしか方法はありません。

むしろ、臨床というトップダウンの思考により、情報にフィルターがかけられすぎているのが問題のように思えるときもあります。それが学習なんですが、その一方でそれは柔軟性にかけるともいいます。臨床を知らないときに運動学を学んだときのように、例えば、実習前に人体の構造から学んだ関節運動。肩関節の運動を自分たちの体で確認しあったように、自己の実生活の中から神経科学を学んでもらいたいとも思います。今目をさまし、運動を行う自分自身。それはまぎれもなく神経系による仕業ですから。自己の行動を分析できず、人の行動を分析し、変える事はできないと思っています。ここが正念場。。最初からフィルターをかけてしまうから、キャッチコピー的な手技にはしりやすい。そして結果がすべてだという言葉にふらっといってしまうのです。その志向性も自己の脳の仕業。それを選択しそれを行動しているのも。簡単に説明するのは疑ってかかれ!これ科学の鉄則です。

いずれにしても、本日は基底核、小脳、そして皮質の4つの葉にむかいます。よりリアリティが意識されると思いますので、理解しやすいとは思います。聴きながら、書きながら、今この行動を選択しているのは、脳のなかのどなた?と思いながらきくと、面白いですよ。そして意識せずとも動けているのは、だれのおかげ?ってきくと。

いずれにしても、今日1日ニューロリハセミナーの運営を力をあわせがんばります。もちろん講義もですが,基礎編なのでみなさんが理解できるようにすすめたいと思っています。みなさんも意識を高揚させのぞんできてください。

懐の深さと余裕をもたらす学習する脳

2013年06月19日 18時09分39秒 | 日記
今週の金曜日に高知の実習施設に訪問にいく予定でしたが、先ほど台風の影響を予想して、「延期」を先方と決定させていただきました。行く事ができても、万が一帰れなくなると、「ニューロリハセミナー」の運営に影響を及ぼす可能性があるからです。本州(いまや九州も)は飛行機が飛ばなくても「新幹線」という滅多にストップすることはない(九州新幹線はよくとまりますね。。)乗り物がありますが、四国は瀬戸大橋、鳴門大橋いずれも強風で渡れなくなる場合があります。ということは、四国を脱出できないのです。

「ニューロリハセミナー」も私の講義内容ぐらい、松尾氏、冷水氏が楽勝にこなしてくれると思いますが、今年度第1回目で、ニューロリハ研究センター1発目の事業ですので、なんとなくですが、形の上でのセンター長ですが、、、いた方がよいと思い、高知の出張を延期させていただきました。台風自体、弱く温帯低気圧にかわるとは予想されますが、1%でも帰る事ができない可能性があるのなら、この場合大事をとるという意思決定をさせていただきました。そして当日不測の事態にたいしても意思決定が必要なときがあるかもしれません。私たちには昨年度の経験も+に作用してくれるでしょう。

これには、台風の進路という不確実な要素、そして、先方の指導者と現在の学生の状況などといった数値にはかることができない抽象的な内容、それらなどを私の脳が鑑み、そして、私と指導者との共同注意によるコミュニケーションのもと、意思決定するプロセスが含まれています。この意思決定プロセスこそ、人間が人間たらしめているものだとも思うのです。

いずれにしても、延期を快く受け入れてくれて、病院内を調整してくれた西村そうじ先生に感謝です。「そうじ」で良かったです。彼は高知のときの教え子の一人ですが、今回のことで、彼が入試のときにとってもユニークな小論文を書いた事を思い出した次第です。よこみ~~~~ 西村そうじ先生でよかったね。このような懐の深さが大人の象徴ですね。それと対局にいる人もいますね。。今回は久しぶりに実習関係の仕事で困惑しています。

さてさて、台風が接近していますが、現状、そのまま実施する予定です。北海道から沖縄まで約320名の方々をお迎えします。日本列島は長いので、どこかに焦点を置く事ができないのが実情です。むしろ、受講する方々と、この不測の事態を楽しもうと思っています。問題が発生すれば、人間の脳はいろんなことを前もってシミュレーションし、そしてアクションをより早く起こします。これこそシミュレーション脳です。こうした時、私自身の前頭前野は鍛えられ、そのプロセスに基づく学習によって、「余裕」といったものを自己の脳に蓄積してくれます。

サーバがダウンし、延べ1000名の定員が10分で埋まった今回のセミナーの第1発目。楽しもうとしないと、受講できなかった人たちに失礼になるかもしれません。そして、私たちは皆さんが楽しめるよう、講義のみならず、様々なおもてなしを考え、それを実践するのです。前岡先生準備いいですか?・・・皆さんの起こしを心よりお待ちしています。
楽しみにしています!!

曖昧な社会における曖昧な人間関係

2013年06月05日 20時51分15秒 | 日記
昨日,今日と午前中が時差でぼっとしながらも,発達,神経などの授業を行ったり,会議に出たりしています.授業はみんな楽しそうに聴いてくれます.今日はいささか脱線しすぎました.

さてさて,昨日は16時半を14時半と間違えたりして,会議に1~2分遅れる失態をしてしまいました(電話がかかってきました).そんな時,「申し訳ありません」「まだ時差で14時半と思ってまして~~」といいわけじみて嫌みなく微笑みながら謝ると,役職のみなさん(私もそうですが..)が,笑って微笑んでくれるわけです.ここに今まで本学で10年築いてきた信頼関係を確認するわけです.すなわち,ボーダーのない「間主観性」の意識の関係です.僕は,事務とか教員とかなんだとかボーダーのないその関係が心地良く,そこに秩序の中の自由を感じます.どうでもよいことに目くじらたてない関係です.これこそ余裕のもった大人の関係性だと思うのです.もちろん秩序のレベルはあります.

こういうことを教えることが教育だと僕は思っています.その曖昧性を自己と他者が共存しながら補うこと,それこそが人間関係を構築しあう意味性を理解するもっとも大切な教材ではないでしょうか.実習指導者と学生の関係もその曖昧性の中に成り立っています.医療は曖昧な科学です.だから完全な正解はありません.何をもってお効果とするのか,視点が変われば大いに異なるからです(ある目線からのアウトカムというのは紋切り型視点です).

指導者側も悩み,迷い,そのような態度を学生に見せて,実は曖昧なんだと,それこそが科学する意味なんだと,その経験を共有させること,これこそ現場教育の醍醐味なのではないでしょうか.むろん,教員‐指導者の関係もその曖昧性から成り立っています.そこには階層性はないのです.

ミヤタジュクへの協賛のお願い!!

2013年06月04日 19時28分09秒 | よさこいと高知
今年はよさこい祭りは60周年。そして、私たちのチーム「ミヤタジュク」は10周年。



そんな記念すべき「高知」のよさこい祭りの本祭は、なんとしばらくぶりの土日(8月10日、11日)開催になります。至上最多のチーム、踊り子によって、おそらく高知の街は朝から晩まで「カーニバル化」するでしょう。伝統と新しさの両方を持つ「よさこい祭り」。古き中にも新しさあり。新しき中にも古きあり。その「両者が共存する」この祭りは、そうした理由からも老若男女に受け入れられてきた、日本が世界に誇る「フェスティバル」です。

おかげさまで、私たちのチームも10年を迎え、それなりの知名度も上がってきました。しかしながら、もっと目指したいものは、人と人とが関わる(つながる)ことで生まれる「幸福感」をつくることです。元来、言葉を持たずとも、人間は音をならし、手を動かし、他者に自己の豊かな感情を伝えてきました。木を石に打ち付け、そして、その音に協調しながら、体で表現し、そしてそれを互いに模倣しながら、ダンスを形成し、互いに幸福の感情を伝え合ってきました。脳と脳をつなぐために必要なもの。それが身体と道具です。

高知のよさこい祭りは、人がハンドメイドでつくりあげる祭りです。200チームの音楽、衣装、踊り、そして先導する車(地方車)は、毎年、そのチームのコンセプトのもと作り替えられ、そして互いにその創造力を見せ合います。すべてのチームが唯一無二です。本来ならば、ここに審査は必要ありません。互いに感動し合い、心地よくなればよいのです。そして翌年まで幸せに暮らそうと思えばよいのです。

そんな祭りを私たち「ミヤタジュク」は今年も見ていただけるお客様に伝えます。高知には「おきゃく」という文化があります。それは、きていただける、見ていただける、すべての人を幸せにするという「もてなし」の文化です。8月10日~11日は是非とも高知に!!今年もジュクチョウをはじめ、熱い人間がおもてなしします。先日、ジュクチョウお手製の曲が完成し、今年も心をワクワクさせる仕上がりになっています。これから振り付け、練習と待ったなしですが、いよいよ始まる熱い夏です!!

さて、毎年ハンドメイドであるため、今年も大きな予算が必要になります。協賛していただける個人、団体などありましたら、私宛にメッセージをいただければと思います。なにとぞ、よろしくお願いいたします。


矛盾を解くプロセス

2013年06月04日 19時14分51秒 | 脳講座
帰国早々、様々な(といっても3つですが)問題に対処しています。この場合、謙虚に対応する訳でるが、すべての問題は「間主観性」によって発生しているような気がします。

どちらかが「した(つもり)」であっても、もう一方がそう捉えていない場合は大いにあります。これは人間関係のすれ違いなのですが、人間の脳は予測器官であるからこそ産まれる問題です。一方が、従来であれば「この程度で大丈夫だろう」と予測し、それに基づき行動したとしても、もう一方が、例えば担当者が変わることなどで、もっと上を予測し(期待し)ている(あるいはその逆)ことで、結果として、それに事実(結果)の整合がとれていなければ、それは矛盾になります。要するに予測と結果の食い違いが生じると、その矛盾に対して心の痛みに関与する脳領域のACCが働かざるをえず、負の感情のまま行動を起こすと攻撃的になったり、懐疑的になったりします。一方、時間が経過したり、ぞれが対話によって解決したりするプロセスを通じて、PFCからの抑制機構が働くと、人間の行動は攻撃性を解除していきます。

矛盾をとくプロセスは、どちらか一方が階段を下りるのではなく「両者とも主張を下げる(協調する)」ことが大切です。

いずれにしても、基本的に脳は恣意的であり、それは主観的体験・行動によって成り立つ非メタ行動でもありますが、一度立ち止まることで、TPJを働かせ、向こうからはどのようにこっちが見えているだろうと、メタをきかせることで、ぬいた刀を鞘におさめることができます。

メタ認知ときくと、むしろ論理的で白黒つけるような堅いイメージがありますが、そうではなく、それは人間関係性を曖昧にすることも可能な機能でもあります。ボーダーをつくることが問題な場合は大いにあります。領土権を主張し合う国と国との境界もそうだし、臨床と基礎・研究(現場の療法士と研究者)、様々な手技の間、そして教育と現場(教員と現場の療法士)、男女の間、機能的にいえば知覚と運動や運動予測(意図)と運動結果の解離もそうです。

その境界を意識すれば意識するほど、自ら側の主張のみを繰り返し、結果として思い通りにならなければ、そのボータ外にいる者・国(相手)の行動を批判してしまいます。その攻撃の背景が、先ほどの「食い違い」です。

私はこの「食い違いを解決すること」、これが人間の幸福感をつくるものだと思っています。疼痛患者のDr.ショッピングの例もそうだし、片麻痺の問題もそうです。どのように、○○法や○○刺激で見かけの機能が向上しても、その食い違い・矛盾が存在している以上、幸福感は感じることができません。人間の脳はそのようにできています。この矛盾を解決するもの。それがノンバーバルを大いに含めた双方向性コミュニケーションなのです。片方からだけの一方向性の刺激(意見や主張も含む)を入れるといったものは、逆に矛盾(不一致)を大きくしてしまうことは、日常的によくあることです。