森岡 周のブログ

脳の講座や講演スケジュールなど・・・

第15回 日本徒手的理学療法研究会 学術研究会

2010年02月28日 21時31分17秒 | 過去ログ
第15回 日本徒手的理学療法研究会 学術研究会
日時 平成22年3月6日(土)~3月7日(日)
場所 畿央大学(奈良県北葛城郡広陵町)
テーマ 痛みについて考える
シンポジウム:痛みについて考える
基礎研究の立場から 講師 松原 貴子 先生(日本福祉大学 准教授)
マニュアルセラピーの立場から 講師 中山 孝 先生(日本工学院専門学校 専任講師)
脳科学の立場から 講師 森岡 周 先生(畿央大学大学院 教授)

久しぶりに! 「愛は知識の母である」

2010年02月28日 21時27分04秒 | 過去ログ
金曜日、いつもなら岡山に向かうとき、
岡山の講義はすでに終了しており、
いつもと反対方向の新幹線に乗る。
私の体からの声がグリーン席をと、訴え、ついついグリーンにする。
毎週の全国各地の移動に伴う体の緊張は少しピークになりつつある。
今年度は延べ52の講演を行った(行う)ことになる。

浅草の下町を抜け、
ノスタルジーな場所に。
東京都リハビリテーション病院では水口先生に案内され、
1時間半の講義を行う。
理学療法のための脳科学と題して、
序論となる運動学習、可塑性、そして臨床でまず導入してほしいこと、
心がけてもらいたいことを話した。

訓練室での講義は懐かしい感じがあり、
みなさんとの距離が近い反面、
顔色を直接的にうかがうために、少し遠慮しながら話す。
また、上下の距離を感じ、新鮮だったが、
私がたち、みなさんはマット上で座りとなれば、結構目線を上から下へとなり、
見下ろす感があったので、少々恐縮した。

講義後、皆さんと鐘ヶ淵のリヨンに行く。
ここは記憶に鮮明に残る場所となった。
そのボリューム、雰囲気、まさに和洋折衷を地で行くレストラン。
恰好つけているレストランが増える中、
表面だけのきれいさだけを追求し、かつ全国同じチェーン店ばかり、
そんななか、ここはまさに時代を感じ、そして感情を動かす場所であった。
感情が動かないと記憶に残らない。
どこでも同じでしか満足できない現代社会。
違いを感じることに鈍くなるはずだ。
そうすれば、人と自分の心が一緒でないと気が済まないというストレス社会を作る。
人間はみんな違うのである。
イオン化、ファミレス化、コンビニ化、機能性ばかり追求すると、
機械になってしまうぞ、人間。
統一・一貫性で脳を休めてしまう日本。
効率でなく、違いを楽しむ、そのこころがこの国を発展させ、そして守る手続きであると思う。


話の中、都リハの田村先生と同級生であることがわかった。
長崎大学の話題になった。


品川で泊まり、早朝に出て、
仕事をした。
とりたてて、Clinical Neurophysiologyの査読期限になっていたために、
M2のこうむら君に少し手伝ってもらい、
コメントをタイプし、
自分の英語に少し嫌気がさしながら、送信した。
最近は査読もネット上であるため、便利である。
便利さを追求してしまえば、私が機械になってしまうぞ。。


その日はフレンチで過ごす。


翌日、奈良県士会、今日であるが、新人教育プログラムで話をする。
世界の理学療法では、WCPTのこと、世界のPTの特徴を話したのち、
欧州の理学療法について、そして留学のことなどを話した。
自分の目で肌で世界を感じてもらいたい。
活字では見えない、その世界観を感じてもらいたいものだ。
自分の27歳の時の留学体験記を話して、3年目の彼らの背中を押した。

世界の理学療法に次いで、理学療法教育方法論について話した。
予測、計画と実行、結果の比較、
教科学習、教師あり、なし、などを話し、
学習性無力感や銅谷博士のネズミロボットの話をして、
どのように教育していくかについて考えてもらった。

1日の目標をたて、その日をのぞむ
そして1日起こったことを想起し、記憶を整理して比較照合する。
脳は前向きモデルなのである。


最近接領域、共同注意、ミラーニューロン、そして快楽(感情と記憶・学習)などについて話して、
学生教育、患者の運動学習、そして自己の生涯学習について参考にしてもらいたい知識を話した。

とにかく自分が成長し続けること、これが何よりも教育である。

その背中を見せるだけでも十分である。
臨床やっていて、そして、難しい事象にぶち当たって、
それを決めつけでなく、その難解さを(壁を)楽しみ、
わくわく・ぞくぞく感を見せつけてやるだけでも十分である。

否定、文句が蔓延する。
そういう空間と時間が負の連鎖がはじまる。

問題は学生だけでもなく、指導者だけでもない。
関係性、システムなのである。



人は人に影響を受ける。

理学療法が好きでなく、その人に憧れをもつ。
それが一番臨床では大事である。

人は物よりも人を好きになる。

好きという感情、それが第一である。


愛は知識の母である。


知識を求めるのであれば、愛がなくてはならない。


愛をもって知識を涵養する。

それが教育の基本である。

今日の日曜も働いた。



龍馬伝を見て、ブログを打つ。



龍馬伝は私の人生を浄化させる。


毎週、その言葉言葉に感動している。



今日は国家試験、みんなは実力を発揮できたであろうか。。。

終着点でない。自分の足で歩ける日が来たのである。
操縦は苦労するかもしれない。
しかし、その感覚が経験を導いてくれる。


VIRGIN RADIO FRANCE

2010年02月25日 18時12分14秒 | 過去ログ
久しぶりにVIRGIN RADIO FRANCEを聴く.
英語圏のラジオと違って,ポップスなんだけど,シャンソンがかり,なんとなく切ない曲が合間にあるのが,良い.合間のフランス語もアンニュイで良い.英語とフランス語の混在が空気になる.

ITALYもあるよ.

CLINICAL NEUROPHYSIOLOGYの投稿論文の査読の合間です.
自分の英語表現がつくづくいやになる.


君たちはまだ何者でもない

2010年02月25日 10時54分03秒 | 過去ログ
昨日10時過ぎに奈良を出て,実習訪問に向かう.
野田阪神でおり,松本病院へ.
トップの学生時代の2つ上の相川先生にあいさつし,
いきなりfMRIの取り方について聞かれる.
いつまでたっても未来永劫先輩後輩関係はそういうものだ.
実に面白いやり取りである.
学生そっちのけである.

その後,実質的指導者の1期生の太口先生と話をする.
実に3年目で余裕が出ている.
1期生はどこでもいつでも頼もしい.
時代をつくってきたものが潜在的に意識として埋め込まれているのかもしれない.

学生と話をする.
学校で習った評価でないことに戸惑いが生じているが,
「結果」を先に求めるべからず.
教育の問題なのか,現代学生の問題なのか.
予測と違うと,混乱が生じる.
その差異が経験を作るのだが,
平坦な道しか歩いていないとそういう意識になってしまうのだろうか.
何のための入院しているのか?という根本的な問題を棚上げしてしまっている.
理学療法=動作という視点により,動作ができない患者に対しては,
とても無力になっている.
理学療法が固定化かつ美化されてしまっている.
ただし,この悩むというプロセスは人生のために必要である.
彼はそれに真摯に立ち向かおうとしている.

評価とか動作とかいうまえにその疾病についてきちんとした共通知識がないと,
医学・医療には生きていけない.
リハビリテーションの世界だけでなく,病院という組織のなかでの共通項からきちんと勉強していくことだ.
ある骨折を知らずして,動作ばかり強調しても,
共同注意できない.


リクルートスーツから,自己のスーツへ.
誰もいつでも同じっていうのは人間の本質に迫っていない.
批判・失敗を恐れるな.
他人の情報ばかりをうのみにして,気にして,
同じようにふるまったり,同じように批評する.

人と同じでないと不安,それはわからないでもないが,
疾病・病態は同じではない.


遅い昼食を経て,京都亀岡へ.
亀岡シミズ病院へ.
指導者の出田先生に御挨拶をすませ,
学生の問題点に対して,話し合う.
根深い問題と思い,その後,結構長めに援助する.

人間は「言語」よりも「非言語」を信じる.
言語と非言語(表情,しぐさ,態度,抑揚など)の間に矛盾が生じた際,
人間は赤ちゃんの時に先に習得した非言語コミュニケーションを優先する.
ことばが独り歩きしてはならない.
まずは非言語のトレーニングである.
郷に入れば郷に従う.
病院という環境は,体育会系の場所ではない.
やさしさが内面からあふれる場所である.
ことばよりも態度,ことばよりも表情,それを重きにおいてもらいたい.
認知症の人が他人がだれかわからなくなったり,自分がだれかわからなくなっても,
他人の不快な表情は読み取ることができるという研究があるように,
非言語がこの情報化社会の中,決定的に鍛えられていない.
こころのトレーニング.
もっと自己に向き合わないといけない.

「君たちはまだ何者でもない」
その何者かを見つけにいく旅が始まったのである.
この実習から.
これから,生涯を全うするまで,何回勝負となる岐路に出会うか.
その岐路に立ち向かっていく精神と身体をもつものが,
初めて何者かを見つけることができるのだと思う.
途中で投げ出すものが多くなった.
それもどいつもこいつも他人ばかり気にするリクルートスーツ野郎が増えたからかもしれない.
「わからない」ということは
まだこの世の中には調べないといけないものがたくさんあると思え.
そして,まだまだ成長の余地ありとポジティブに考えること.
現象が読み解けない・・・でつまずいても,まだまだこの世の中,
捨てたものじゃない.まだ知るべきものがたくさんあると思え.

そうすれば心は鍛えられるし,
どのようは批判にも耐える(相手にしない)精神を持つことになるだろう.


批判される側になったとき,初めて自分の成長を思う.

それがまた学問を発展させる道しるべになるのだから.


亀岡を18時に出て,高知時代の教え子でここのセラピストのまよちゃんに京都駅近くまで送ってもらった.

高知の良き思い出がフラッシュバックされた.

あの頃は何者でもない若い教師であった.
理学療法!とか厳しさだけを追い求めていた青二才の教師時代が.
それも良き思い出.
今でも当時の教え子に出会うと,「ビビられてしまう・・・」


3月の講演スケジュール

2010年02月24日 10時00分59秒 | 過去ログ
Himeji Physical Therapy Castle side Conference
日時:平成22 年3 月6 日(土) 15:00~17:00
テーマ:脳科学を臨床にどうつなげるか
講師:畿央大学 森岡 周
会場:ハーベスト医療福祉専門学校1 階講堂姫路市南駅前町91-6
対象:本会会員


第15回 日本徒手的理学療法研究会 学術研究会
日時 平成22年3月6日(土)~3月7日(日)
場所 畿央大学(奈良県北葛城郡広陵町)
テーマ 痛みについて考える
シンポジウム:痛みについて考える
基礎研究の立場から 講師 松原 貴子 先生(日本福祉大学 准教授)
マニュアルセラピーの立場から 講師 中山 孝 先生(日本工学院専門学校 専任講師)
脳科学の立場から 講師 森岡 周 先生(畿央大学大学院 教授)


東朋香芝病院第5回脳卒中セミナー
日時 平成22年3月17日(水)18:00~19:30
場所 東朋香芝病院
テーマ 機能回復と運動学習
講師 森岡 周(畿央大学)
対象 病院スタッフ


朝日リハビリテーション専門学校 平成21年度臨床実習指導者会議 講演
日時 平成22年3月19日(金)
場所 岡山ロイヤルホテル
テーマ 学習のプロセスとその援助方法
講師 森岡 周(畿央大学)
対象 朝日リハビリテーション専門学校臨床実習指導者


石川病院 特別講義
日時 平成22年3月20日(土)
場所 姫路・石川病院
テーマ 神経リハビリテーション入門編
講師 森岡 周(畿央大学)
対象 病院スタッフ


京都在宅リハビリテーション研究会 特別講演
日時 平成22年3月22日(月)13:30~15:00
場所 明治国際医療大学附属病院
テーマ 神経科学と在宅リハビリテーション~在宅における神経リハビリテーション~
講師 森岡 周(畿央大学)


国際ソロプチミスト奈良-あすか特別講演
日時 平成22年3月25日(木)
場所 橿原ロイヤルホテル
テーマ 脳と若さの秘訣
講師 森岡 周(畿央大学)
対象 会員


神経現象学総合リハビリテーション研究センター第1回公開研究会
日時 平成22年3月27日(土)
場所 東洋大学
テーマ 前頭葉の成り立ちと仕組みについて
講師 森岡 周(畿央大学)




欠損感と充実感

2010年02月24日 09時49分59秒 | 過去ログ
昨日は発熱ながら大学でハードな一日を過ごしていた。
本年度の科研費データ採取が完了し、
あとは共同研究者の院生の藤田君とデータ処理に入る。
同様の研究を年度内に英文に変え、
なんとしてでも原著論文投稿として滑り止めセーフとしたい。
同じく、藤田君の投稿も完了させたい。

「脳を学ぶ(2)」の校正が終了し、さっそく、郵送した。
週末の3本の講演資料の催促があり、これまた超特急で進めようとしたが、
奈良県士会の新人教育プログラムで意外にてこずり、時間を過ごす。
院生の研究を見て、そして出張申請の嵐的にタイプする。
熱も奏してかあまり覚えていない。

おかげさまで本日は、熱は下がったようだ。

胃腸、そして妙に結石の心配になりつつ、
今から、大阪の福島区の病院と京都亀岡市の病院の2施設に向けて実習地訪問に向かう。

今回のノルマは6施設である。

結構、夜の懇親会がつらいかも・・・だれか足になってくれる人がいればと思う・・・

そういや、昨年の3月は脳ドックに入った。
脳は問題ないが、変形性頚椎症という診断がおりてしまった。
今年も検査にならないよう、健康に留意したいと心底思う、今日この頃である。
20代にはこれっぽっちも思わなかった。
失いかけるとどの大事さがわかる、人間の脳は意外に愚かなものだ。


天才と秀才は表裏一体

2010年02月23日 12時54分27秒 | 過去ログ
金曜日,今年度最後の授業のために岡山の朝日リハまで向かう.
学習のプロセスにおける強化学習と教師あり,なし学習の相互関係性について話をする.
そして,継続は力なりの意味を,発達の手順,そして創発現象から説明する.
インプットとかアウトプットとかそれらを意識するのではなく,
動くというふるまいから起こる神経現象について説明した.
具体例の富む授業にしないと,1年生の興味はそがれるが,
ある意味最先端なのである.
それを認識できるのは卒業後かもしれない.

私の授業はそんなものである.

土曜日,朝9時に岡山を発ち,
6時間かけて安房鴨川駅まで.
東京での京葉線のホームはいつも歩かされる.
途中,ディスニーランドの広告に,我が人生を考え,
この馬車馬感に少し切なさを感じる.
人間の幸福とは,ある時点での価値の基準によって大きく変わる.
しかし,心の持ちようによって,他人から見れば一見幸せなことも不幸に感じ,
一方,その逆もしかりである.
気持ちとはそういうものであり,幸福感を連れてくる.
困難,苦労であっても,前を向いていればそれは幸福につながる.

何か報われるとかの期待でなく,
それに向かっている自分を自分で評価し,価値を決める.
それが,ヒトが人間たらしめる高次脳機能である.

15時に鴨川につき,島袋先生に送迎してもらう.
鴨川シーワールドを抜け,巨大病院亀田総合病院へ.

村永部長に御挨拶し,そして病院のこと,教育のこと,脳科学のことを話する.

講演は2時間にわたり,脳科学と臨床の接点について話した.
病院のセラピスト70数名を今回は対象にしたものであり,
できるだけ,とっかかりの内容に留意した.
まずまずの出来であったと思う.

臨床も少し交えた.



講演終了後,病院の最上階のレストランでイタリアンをいただく.
優雅な席に,ホテルの感覚が漂う.
このような施設も,心を変える環境になりうる.
患者さんの心と体を考えれば,効を奏す場合もあるだろう.
心と体は知覚と行為で接点を持つ.

和やかなムードかつ,余計な私の履歴を話し,少し反省する.

懇親会は場所を変えて深夜2時頃まで続く.

前日の岡山での飲み,そして,今回.
そして毎週毎週.
ついに,胃腸の違和感があり,原因不明の高熱に翌日なり,
ようやっと奈良に帰り着き.さっきまで寝込んでいた.
無理せずにと思い,一日休むがまだ熱はおさまらず・・・

なんとか大学に来ることができたが,明日から実習地訪問のオンパレードかと思うと,大変だ.
迷惑をかけないためにも,熱だけは下げて,原因を突き止めたい.


録画した龍馬伝を見て,香川照之さんの土佐弁とその演技に土佐人として,誇りを思う.
彼は努力を惜しまないプロである.

プロとは,ある課題が発生すれば,求められれば,そのイメージをして,そして何回もシミュレーションし,そして実践し,結果を残す.

問題が発生しても何通りもの手順をイメージできる,それがプロであると思う.


しかし,東洋の「わしは天才じゃき,何をやってもえいがじゃ」には,
これからの展開を知っている歴史好きの私には,この岐路となる言葉に意味をもった.


時代が時代.


新しく変わろうとするとき,自分の思いとは別の方向に行く場合もある.

そして対立をつくる.


対立は進歩である.

それが共同注意できるのであれば,友好にもなる.

表面だけの仲良しクラブ,情動が働き蓋をするこの腐った世の中に,
龍馬伝は,一石を投げることができるか・・・・


龍馬と弥太郎が東洋に向けて発した言葉,
「どこどこのだれそれの息子」という表現.
それが「脳を学ぶ(2)」では意味を持つ.

ルーツを大事にする.そんな世の中はつながっている世界である.