森岡 周のブログ

脳の講座や講演スケジュールなど・・・

一人称の感情をぶつけろ!

2013年04月30日 19時30分52秒 | インフォメーション
今日は発達系理学療法学の講義。今までは座学で反射・反応を教えていましたが、今日は実体験を交えて行いました。身体を介することで脳への記憶を、と思っています。今日で発達の授業は3回目ですが、1回目から社会的倫理感に関して気になっている学部学生に対して、一人称の感情をぶつけてしかりました。三人称的に意見を述べるのではなく、「私」が気に食わない。この授業でのルールからしかりました。他の授業とかなんかは関係ありません。その学生と二人称の関係を結ぶためには、誰かがとか学校がとか、ましては実習で困るとか、や、国家試験にひびくぞ、などで怒らず、私が気に食わないと、自分の感情をぶつけてあげないと、いつまでたっても三人称で心開かずなので、私はいつもその手段をとっています。そして時に暴言になります。その後、同じ日に大学院生に声を荒げることになるとは思いもしませんでした。いずれにしても、私は相手の言語の裏を読み取り、それが本質なのかを読みとろうとする癖があります。だからそれがオール利己な意識である場合、木っ端みじんに叱りつける嫌いがあります。大学は良く対話でと言いますが、まずは感情をぶつけ、その後、対話・抑制になります。脳の神経回路形成には、その方が効果的であると思っています。これは経験則だけでなく、様々な神経生理学、心理学、犯罪学などからのデータにも基づいています。。笑。

さて、明日の授業準備にてこづってしましましたが、この後、大学院のゼミあ21時過ぎまであります。そして、明日授業2コマを終え、タクシーに飛び乗り、近鉄に飛び乗ります。20時から講演です。明日は環境と欲求が人間の脳を発達させること、健全な心地よい社会的コミュニケーションの形成が脳を発達させること、感情を爆発させ、その後、抑制させる先ほど述べたシステムが、脳のシナプス形成にとって効果的であること(この説明からキレる脳を説明)、ジレンマ、そして抽象的な問題の解決が求められれば、自分の脳は相手の脳と分かち合おうとする現象が生まれること、そしてそれが前頭前野のみならずTPJや下頭頂小葉を発達させ、視線取得、メタ認知、そして創造性や想像力を発育させることになること、そして最後には報酬と学習について話し、ドーパミン神経細胞、挑戦・努力、援助による課題解決(最近接領域)、そして学習と習慣化についてふれ、最後には学習・発達にとって重要な固定的思考の人間と成長的思考の人間の違いについてふれ、扁桃体の機能と前頭前野の機能の関係性にふれる予定です。そして脳は錯覚だらけ、格好振る舞いから脳(自己意識)を変えてみよう。と持ち上げ終えます。そのスライドを今からつくりますが、院の授業後になります。私は働き続けます。この欲求はどっからきているのでしょう。いや単なるタイムプレッシャーです。それにより常に私の46野は鍛えられ、ワーキングメモリ容量は増えるのです。増えているのか?一つのタスクに費やす容量が少なくなっているのか、それは私には見えません。。。

senstyleセミナー

2013年04月30日 11時44分04秒 | インフォメーション
senstyle研修会
テーマ:セラピストのためのニューロサイエンス
「姿勢・歩行制御のニューロサイエンス」森岡 周
「上肢運動制御のニューロサイエンス」信迫悟志
「運動学習のニューロサイエンス」冷水 誠
「運動障害のニューロサイエンス」松尾 篤
日時:5月11日(土)12日(日)両日とも10:00~16:00(受付9:30~)
会場:星陵会館ホール 東京都千代田区永田町 2-16-2

当たり前の一日が報酬になるということ

2013年04月30日 07時43分43秒 | 日記
昨日は4月で唯一のオフでした。本当言えば、昨日東京から帰ってくる予定でしたが、一つ仕事をキャンセルし、一昨日帰ってきたことによるものです。そして、昨日、教育学研究科開設に向けた文科省に提出すべき1ヵ月遅れの「教員業績調書」を仕上げようと思っていましたが、それが提出しなくてよくなったため、急遽オフになりました。そのかわり、教育学部での特別支援の免許課程での科目は必要になるとようです。

何もせずに寝尽くそうと思っていましたが、買い物に行く日が今日しかないかもと思い、靴を二足買いに行きました。そして、DVD, CD, youtube三昧でした。音楽を聴く、映像を見る、こんな当たり前に趣味ができないことが、やはり自分の心に影響していると実感しました。休みの日に家にいる、この当たり前の行動ができる事の喜びを感じました。まだまだ頚、喉をはじめ体調は万全ではないですが、少しは楽になったかもしれません。万全の体調で講義や講演に望む事が求められます。休息がそれには必要だとは知っていますが、その間に執筆や校閲などを入れるため、なかなかままならないのも事実です。

早速、国際誌に投稿した論文がリバイスで昨日、このタイミングで帰ってきていますので、今日は2回生の授業、大学院の授業、そして院生の論文校閲、そして明日の講演資料を作成した後、レビューされたコメントを読み対応を考えたいと思います。

明日は、授業を終えて近鉄、飛行機に飛び乗り高知に向かいます。明日、高知で講演。あさって、高知の二つの施設で実習している学生をみてきます。

脳はつながっている

2013年04月25日 09時25分46秒 | 日記
昨日の看護医療学科授業「感情体験の脳科学」では、他者とのコミュニケーションの大きさや複雑さが、感情を安定させるためには重要なファクターであることを、いくつかの学術論文のデータから示し、子供の引きこもり、高齢者医療におけるコミュニケーションの狭小化が、後の脳機能に影響を及ぼす可能性を学生たちと話し合いました。次回は、さらに心地よいコミュニケーションの手続きが、脳機能に変化を与え、感情を安定させる内容へと進み、医療者としての心地よいコミュニケーションの心得について話し合いたいと思います。

その後、広島の企業から産学共同研究ならびに機器開発に関して、お客様が来られ、我々の研究の紹介から、その接点を考えました。よき方向へ進めるようになればよいと思います。

急ぎ足で授業に向かい、理学療法学科の「神経理学療法学B」へと。ここではゼミの紹介をまず行い、その後、USNの神経ネットワーク問題、そして空間的注意のメカニズムとして、意識、情動、注意、認知の関係について具体例を挙げながら説明し、その説明の中から、脳幹、辺縁系、頭頂葉、前頭葉の機能的連結を考え、来週からの評価・治療のデザインの素地をつくりました。

理学療法学科の授業を終え、今度は教育学部の「発達脳科学」の授業へ移動。ここでは前回の残りであった「言語と表情の一致・矛盾」による信頼性への影響を話し、その後、意欲と学習に関して、その関係性を脳科学から説明し、ドーパミン神経細胞の興奮をもたらす手続きについて話しました。また学習心理学のデータから、報酬をどのように与えるか、そして努力的思考と固定的思考の学習における違いを話し、努力的思考を生み出すための手続きについていくつか話した後、人間としての社会的報酬とは何か?を話しました。最後にはよき教師像について語りました。

このように3科目、別々の学科なんですが、脳はすべてでつながっています。それを見る事ができる療法士ってすてきですよね。

18時前に授業を終え、その後、大学院の会議に急ぎ入り、歯医者の予約へ。。歯医者後、仕事を再開しようと思いましたが、体動かずで、本日に持ち越し。明日やれることは明日やる。これがボクの考えでもあります。

その明日が今日です。週末の講演資料は今日お昼に送ります!明日は福岡の病院に実習訪問です。その後東京へ。5時間講演です。

ニシへヒガシへ

2013年04月24日 08時48分59秒 | 日記
週末の北見・網走での講演を終え、大学に一度立ち寄り、よさこい祭りの会議のために、高知に行っていました。滞在時間は数時間ですが。高知のよさこい祭りは今年は60周年、さらには、本祭(8月10日~11日)はしばらくぶりの土日。さらに、さらに、伝説のチームや有名チームの復活・復帰など、今年の高知はにぎやかになりそうです。ホテルはおそらくこの時点で旅行会社におさえられているかな。皆さん、夏の高知にどうぞおこしください。

さて、昨日は朝の便で発ち、そのまま発達系理学療法学の授業へ。子供の発達をつくるもの、要因、などについて話し、神経系の発達における「ニューロン」「シナプス」「ミエリン」について話し、それが何をもたらすのかを話しました。来週からは運動の発達に入ります。

その後、会議が2つ。学術振興会議では今年度の個人研究費、共同研究費、海外助成研究費、在外研究員に関して話しあいました。在外研究員は45歳以下を優先する文言は私たち委員でつくったのですが、まもなくその年になると思うと、すべてをリセットしたいな、という欲求も自己の脳で発生しました。それができないのも私の脳でもあります。それが責任という志向性です。

その後、学会運営に関して客人が来て、かけもちで大学院のゼミでした。ここではM2の中井君が呼吸困難感に関する自身の研究計画・進捗、藤原さんが歩行の予期・予測に関する研究計画・進捗を話しました。21時半に終了しましたが、朝高知を発ち、長い1日になりました。かなり疲労感がありますが、今週末から実習訪問がはじまりますので、なんとか前を向き行動したいと思っています。金曜日は福岡に実習訪問に行き、そのまま飛行機で講演のため東京に入ります。

人間であるということ

2013年04月18日 09時09分30秒 | 日記
広島での講演後、久しぶりに潰れた感があり、やっと普段の疲労度合いに戻ってきました。ちょっとイレギュラーなことや仕事が増えていたことから、パンクしたんだと思います。これにより修復され、逆に強いタイヤになるんだと思います。ワーキングメモリという脳の問題、そして心理的でなく生理的な体力という身体の問題、これらが環境によって更新され、太くなっていくことで、人間は強くなっていくのでしょう。そしてそれは個人だけでなく、相互関係の環境へと波及していき、ひいては職場、コミュニティー、国作りになっていきます。学生たちの「いっぱいいっぱい」っていう言葉は、むしろ成長するための環境にぶつかってしまっている状態なのですが、そのような環境がない限り、成長はないと思うことで、人間は前を向くことができるわけです。

昨日は午前中に看護学科の感情体験の脳科学の授業でした。「感情とは_」「感情的とは?」「感情の種類」をみんなに発言してもらい、そこから、ポジティブ、ネガティブに分けてもらいました。それを通じて、ネガティブな感情が実に多彩で、そして多いことに気づいてもらいました。ネガティブな感情は自己、そして人類を守るために必要なものです。特に恐怖という感情がなぜ大切なのか、ということをそれから説明しました。そしてなぜ恐怖は生じるのか、みんなで意見を出し合い、対象者の心の状態を探りました。そして、その神経メカニズムを説明し、扁桃体という脳の領域が自己の感情をつくるだけでなく、他者の感情の読み取りに関わることを説明し、乳幼児教育のあり方、そして高齢者による介護が余儀なくされた方、その中でも特にトイレ動作が自立できていない方がどういう脳の状態であるか推論をたてていきました。

午後は健康科学研究所の会議に出席し、仲間のプロジェクト研究の成果を説明しながら、今年度の予算を決めていただきました。無事研究費を申請通り取得できております。

その後、理学療法学科の神経理学療法学でした。昨日は脳損傷後の左右半球の動態、そして脳梁を通じた抑制機構、それらから半側空間無視がなぜ注意障害なのかということを説明し、左側を特徴的に無視するその神経メカニズム(現段階での仮説)を解説し、それについて互いに説明しあうことで知識、経験として脳の中に記憶してもらいました。このメカニズムをなぜ考えないといけないかは、どのように評価し、どのように治療すべきか、に直結するからです。ステレオタイプの介入ばかり続けていっても、今よりも良くなることはないし、なったとしてもそれはロジスティック関数のように頭打ちになります。つまり、考え方をしっかり持つことで、どのように介入すべきか、考えることができる療法士が今後必要になります。それがパラダイム転換につながります。位相を企てないと。彼らにはまだ知識もなければ経験もない。だからこそ、逆にバイアスやリミットを意識しないのです。

その後、夕方からは教育学部の発達脳科学でした。ここでは道徳を生み出す脳のについて考え、道徳教育のそのスタートは感情を出す、そしてそれをコントロールさせる環境をつくることであることであると脳の科学から説明しました。つまり、感情を鼓舞する環境、そして、独自のルールをつくり、それを守らせ、感情をコントロールさせるトレーニングが大切であることを説明しました。このルールは法律という究極の三人称でなく、独自、つまり二人称の中から設定するルールのことです。家のルール。クラスのルールといった自分たちのコミュニティ、そして特別感を意識させるとうことです。乳幼児、学童児、そして青年期、それぞれの脳の特徴を説明しつつ、心地よいコミュニケーションはどのようなものであるか、扁桃体、前頭前野の関係から説明し、彼ら自身、そして彼らが教育者になった視点、あるいは親になった視点から考えてもらいました。人間は人間に興味を持たれるからこそ、心地よいのです。現代社会は、他人に興味を持たないものになりつつあります。しかし、教育の原点は、どのような人間であれ、興味を持ち、持たれ、の関係から生まれるのです。