森岡 周のブログ

脳の講座や講演スケジュールなど・・・

身体運動制御学とニューロリハビリテーション研究会終了

2016年07月30日 00時46分51秒 | インフォメーション
身体運動制御学とニューロリハビリテーション研究会終了。
筑波大の井澤先生、東京大の今水先生に招待講演をしていただきました。



井澤さんの講演では、個人的にはパーキンソン病の不確実性が増えたことによる探索行為の減少に関する知見と、村田弓さんと共同研究の「回復の谷」に関する知見が、今後の臨床への示唆に富むと思いました。不確実性の増大による探索行為の減少は、健常者にも共通ですけどね。近いゴールを意識する人と遠いゴールを意識する人など。。
「回復の谷」においては、代償運動から巧緻スキル獲得への転換は、課題の難易度調節の重要性もさることながら、immobilityの期間も意図的につくらないといけないのではないかと思いました。子どものU字現象がなぜ存在しているのかに通じるものがあります。なんとなく臨床は「動け」「力を入れて」の単純な繰り返し一辺倒のイメージですからね。。。

今水さんの講演は、何度かきいたことがありますが、相変わらずお話が上手(過度に抑揚がついたりせずに、熱いお話でないところが落ち着いて聞けます)で、「内部モデル」に関する研究手続きに関して、論文だけでも見てもわからない実験パラダイムをきちんと理解することができます。加えて、今回は運動学習時の脳内ネットワークの時間的変遷ならびに安静時脳活動の記録による学習・回復の予測に関する知見を呈示していただきました。https://www.jsps.go.jp/…/22_let…/data/news_2016_vol1/p06.pdf
あくまでも仮説_推測であった情報をきちんとした実験パラダイムを構築することの重要性を再確認できました。最後は、臨床(ビッグ)データが必要であることをあおられていました。普通のことでいいんです。

皆さんの演題レベルに関しては、井澤さんからお褒めの言葉があり、臨床データながらも精緻な実験パラダイムが重要であることを再認識できました。
上本町で懇親後、高村君のBrainアクセプト祝い(この上本町のお店はすばらしかった)を共著者&USN研究グループに、井澤さんを交えて行いました。個人的にはポスター演題中に、兒玉さんより「アクセプトされたことを聞いたときには鳥肌がたった」「(PT4年目が書いた論文なんで)PT協会とても取り上げるべき」と言ってくれたことが印象深かったです。こうやって一緒になって喜んでくれるかけがえのない研究パートナーです。高村の原著処女作は「Brain」、同じ4年目(3年目?)であった私の処女作は「高知県理学療法」、、時代を感じますね。

本日は高次脳機能学とニューロリハビリテーション研究会です。

Brainにアクセプト!!!

2016年07月24日 00時45分13秒 | インフォメーション
我々の半側空間無視に関する下記の論文が先ほど、Brain誌(Impact factor 10.103)にアクセプトされました。「Intentional gaze shift to neglected space: a compensatory strategy during recovery process after unilateral spatial neglect(Takamura Y, Imanishi M, Osaka M, Ohmatsu S, Yamanaka K, Tominaga T, Morioka S, Kawashima N) 」


これまで数々の重要なデータが公表されてきたインパクトのある雑誌Brainであることはもちろんめちゃめちゃ嬉しいですが、この研究は、これからの半側空間無視の臨床の方向性を決める(一律的なあり方を変える)力をもっているものであり、それが世界的な雑誌(そしてその査読者)にある種承認されたことは、大変心強く、そして、今なお続けているその流れの研究を推進していくはげみになりました。

なおかつ、この研究は日本全体を視野にした(巻き込んだ)共同研究(臨床ー研究ー教育)のある意味幕開けのように思えます。

やっと講演で推測でなく、きちんとしたデータを話すことができます。それも嬉しいです。
二日酔いの頭だけど、いまは相当にHappyです!もう一度いいます!Happyです!大学院生の高村(高知医療学院の後輩:1992年生まれの現在は臨床四年目の理学療法士)の淡々とプログラムしたデータを集積、分析し、英語で論文を書く姿、そして則天(国リハ)の論理の構築の仕方と粘りに、今度の日曜日は祝杯です!ノリと出会い五年(とある福岡での講演が最初)。感慨深いですな。

のちに、皆さんにはCAの河島氏などから「プレスリリース」などで内容をお知らせします!

AMED会議に!

2016年07月17日 00時43分36秒 | インフォメーション
AMED会議(複合性局所疼痛症候群(CRPS)の汎用的で客観的な重症度評価技術の開発:代表 平田 仁 名古屋大学大学院医学系研究科総合医学専攻運動・形態外科学 教授)終了。



途中から隣の席が真下節先生だと気付きました。今は市立豊中病院の総長?愛知医大の牛田先生と、真下先生が評価者としてこられ、会がしまりました。

阪大の寒さんの進捗状況を聞き、saliency networkはchronic painを考える上で一つの切り口かなと思うと同時に、脳分析だけでなく、sensory-motor integrationに関する運動分析が、CRPSだけでなく、Painのバイオマーカーに入ると、運動器疾患の理学療法が飛躍的に進む可能性があると思いました。この辺りは東大の住谷研とコラボで色々と打ち出せればと思っています。もちろんこれのアルゴリズム構築には友人のノリの援助も大いに必要かなと思ってます。たぶん私が生きている間にはいけるんではないかと、、青写真を描いております。やらないといけないことは目白押しです。

いずれにしても、簡単にsocial behaviourに流されず、うちでやっているsensory-motorの研究を速やかに公表し、どこの施設でも客観的評価ができるよう、評価プログラム開発をしないといけないと思ったところです。クリニカルリースニングだ!といい続けるだけでも汎用性はないですからね。

講演でなく、一人10分やそこらで話題提供しディスカスするスタイルがやはりいいですね。学会が講習会・セミナー化しているのをなんとか食い止めないとですね。また学会発表するだけ(ことが目的となれば)ではあまり創発は起こらないので。知の生産のためにも。

整形外科の医師や麻酔科の医師とコラボすることで知らない病態を知ることができ、そしてメディカルスタッフとして対等に協力関係をつくることがてきていい感じです。
さて、鈴木先生にお会いするために、難波に向かいます!もはや新幹線が家のよう。

New Paper Accepted!!

2016年07月12日 00時41分39秒 | インフォメーション
New Paper Accepted!!

博士後期課程の石垣 智也君の筆頭論文が国際雑誌Neuroreprtに本日受理されました。
Ishigaki T, Imai R, Morioka S. Cathodal transcranial direct current stimulation of the posterior parietal cortex reduces steady-state postural stability during the effect of light touch
この研究は、彼が修士課程の時に行った姿勢バランスの安定化に貢献するLight Touch効果時の脳活動(Ishigaki T, Ueta K, Imai R, Morioka S. EEG frequency analysis of cortical brain activities induced by effect of light touch. Exp Brain Res. 2016;234(6):1429-40 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26758719)の責任領域に迫ったものです。



修士課程時に調べた研究では、後頭頂皮質の活動(EEG)がLight touch効果に関連している(あくまでも相関関係)ことを示しました(http://www.kio.ac.jp/nrc/kio_ishigaki_press)が、今回は後頭頂皮質の活動を陰極tDCSによって一時的に抑制すると、姿勢バランスが不安定化することを明確化しました。同時に感覚皮質においてはその影響はなく、Light touch効果は体性感覚入力を与え感覚皮質の興奮性を高めることによる効果でなく、姿勢定位に貢献する感覚統合による効果が大きいと結論づけられました。この知見は姿勢バランスを向上させるための臨床メカニズムに大いに貢献できると考えています。
この研究は博士学位申請論文のメインとはせず(あくまでも修士論文の延長線のreportなので)、彼は今やっているそれを発展させたユニークな研究(博士学位申請)を行うことで、私たち療法士が何気なくやっている手続きを明確にするつもりです。これがはっきりすれば、私たちの「手」はとても大事な情報源として認知されると思います。楽しみです。
先ほどまで行われた大学院ゼミ。彼は先週所用でいませんでしたが、本日、臨床を終え、ゼミに来るだけで、場の空気を優しくも厳しくも安定させるという力をもっています。彼はどこにでも出せますし、その反面、手放したくない人材でもあります。