森岡 周のブログ

脳の講座や講演スケジュールなど・・・

努力の結晶:ニューロリハビリテーションセミナー(応用編)

2010年09月07日 18時10分14秒 | インフォメーション
今週末,畿央大学で開催されるニューロリハビリテーションセミナー(応用編)の資料は,実に270ページになる様子です.
前回の基礎編も170ページで充実してましたが,その1.5倍.
努力の結晶です.
講義もそれに伴うように,スタッフ一同,200名の受講生をお待ちしております.

生理学研究所2010研究会

2010年09月07日 17時59分57秒 | インフォメーション
大学院修了生の河村(こうむら)先生より,かなり前に案内がありました「認知神経科学の先端 身体性の脳内メカニズム」 を紹介します.

私は講演で参加できませんが,ぜひとも参加してみてください.
院生が発表できればいいんですが.

それよりもすみやかに国内・国際問わず,修了生は論文を投稿しないといけませんね.
日々の仕事に忙殺されてしまえば,人生楽しくない.
上手に生きることが大切です.



日記:寒さと温かさ

2010年09月05日 23時34分11秒 | インフォメーション
土日は秋田に日本理学療法士協会の講習会で向かいました.
初の秋田です.
西日本の人間は東北に伝搬するのにはしばらく時間がかかるようです.
東北の人たちはじっくり品定めするけど,
やりはじめると,それを全うするという粘り強さがあるようです.
一時のファッションには流されない強い意志があるようです.
北の人たちは粘り腰があるようです.
しかし,北海道はまた別ですね.

秋田空港に秋田大学病院の畠山先生にお出迎えいただき,
秋田市内へ.
道中,様々な話をしました.
畠山先生は今週の火曜よりウイーンに学会出張のようです.
臨床と研究と教育,それらすべてを行う大学病院は魅力的でもあります.
外から見ればの話ですが.
私は実習で大学病院,リハ専門病院,老人病院と,
今でいう急性期,回復期,維持期とわたりましたが,
大学病院が性に合っていると思いました.
それは急性期というのではなく,
臨床もして研究もしている姿にあこがれたのです.
臨床が終われば,常に英文を読む理学療法士にあこがれたのです.
これは太刀打ちできなというのと,
まさに,これが医学だし,科学だと思ったのです.
新しい情報はどんどん入れつつ,
それを展開する.
一方で,古典的な当時は「therapeutic exercise」でしたが,
それを訳してました.
そんな環境がどの病院でも展開できればよいのですが,
忙しい,忙しいと,日々の間接業務に忙殺されている理学療法士のこころはさぞかし,
枯れているじゃないかと心配しつつ,
患者さんを書類に印鑑を押すように,運動させる,こなし業務になっていないかと思うのです.


秋田は人が優しく,久しぶりに心地よさを感じました.
懇親会にも多くの方がみられ,彼らの熱意を感じました.
秋田には脳研があり,今後中堅,若手の彼らが臨床研究を押ししすめてくれることで,
リハビリテーションにも光明が,と期待する次第でした.

講演は3時間でしたが,途中,火災探知機の作動で,停電し,
プロジェクタが投影できないハプニングもありましたが,
無事,滞りなく終了しました.
脳科学は脳血管障害だけの勉強でなく,
幅広さを感じ取ってもらったことにうれしさを思いました.

脳を勉強して一番良かったことは,
自分を知るということができたことです.
まだそれは未知な部分もありますが,
人を知ろうとする心は,
相手を知ろうとするということも含まれ,
条件反射のように対応せず,
「待つ」「待とう」とする精神活動を私につくってくれました.

また秋田に来てください.
とうれしいお言葉をいただき,秋田を後にしました.
帰りは便が悪く,羽田を乗り継ぎ,
広い羽田をトランジットの際に走りましたが,
無事に伊丹につきました.
「龍馬伝」には間に合いたいという気持ちがそうさせてくれます.


Rock and Roll !!

2010年09月04日 11時00分58秒 | インフォメーション
Superfly - Rock and Roll Hoochie Kooのドラム,ブランキーの中村氏じゃないですか!

彼女のWildflower & Cover Songs;Complete Best 'TRACK 3'は素晴らしい!
彼女のロック履歴が垣間見ることができます.
何をこのんできたか.もともとJanisに影響を受けていたのは知ってたけど.

選ぶ曲がしぶい.

BitchにRock and Roll Hoochie Koo!


Rolling Stones - Bitch


今から初秋田です.
これで47都道府県のうち,行ってない県は山形のみになりました.

日記:立ち上がり

2010年09月04日 09時59分34秒 | 日記
昨日は,ニューロリハビリテーションセミナー応用編の資料を確認し,みんなで印刷に回す.
前回同様,相当のページ数になりました.
夜を徹してみんなががんばってくれたおかげです.
目標を高くすると,それに向かい邁進する.
そして.時期を決めると,あるところで妥協する.
この邁進することと妥協することで,
間が生まれ,次はもう少し良くしたい.
あるいはレイアウトにこだわりたい,
あるいは,この情報を入れたい,という欲求に代わる.
2~3年継続すれば,資料はアップデートされ,
必要なものは追加され,そうでないものは消去されていく,
こうした長い時間をかければ,熟成していくと思います.

熟成には継続と時間が必要です.
おおよそ,継続ができず,途中でやめてしまいますが,
それがないのが,本物なのでしょう.

図鑑のような本を作りたいものです.
辞書でもない図鑑.
子どものときによく見た図鑑のような本が専門書にあってもいいのではないでしょうか.
昆虫図鑑や,怪獣図鑑のように.

その合間を縫って,「脳を学ぶ(3)」音楽家 との対談に向けて,
音楽にかんする情報を集め始めました.

何をするにしても,立ち上がりは,わけがわからず,
どこから手をつけていいかわかりません.
しかし,それでも手をつけ,それが意味のない情報であっても,
それをすることで,意味ある情報にたどりつくのです.
何から手をつけていいかわかりません,とか,何から勉強すればよいですか?
というたぐいの質問は,自分の弱さをさらけだすものであり,
それを見つけるプロセスの苦悶が脳のなかに蓄えられ,
地になり,知になるのだと思います.

今まさに,どうしていいかとおもいつつ,
なんとかなる,という楽観な自分がいます.
それはなんとかする,のだし,なんとでもなる,だし,なにごともできる,という信念の裏付けだと思います.



何をするにも,最初の立ち上がりは,ダラダラ.と緩やかな上昇です.
それが時に,指数関数やベキ関数式のように急激にカーブを描いていくのです.
しかし,どこかで妥協するため(さまざまな影響により),
いつもまにか停滞し,ロジスティッウ関数のようになってしまうのです.

そうなれば,じっくり構え,位相がおこるために,
またもがき続け,スランプを脱し,上のステージにあがるのです.
そうやって成長は繰り返すのです.
脳の学習システムはそうなっています.



美をつくるとはどういうことなのか?

2010年09月03日 13時29分09秒 | 脳講座
専門教育の世界に来て,もう15年以上になります.この間,相当の数の学生に対して,教員という立場で教えてきましたが,いまだに教育とは難しいと思っています.一時期,教育に無関心な時期もありましたが,今はむしろ,その難しさを自己の経験として鮮明に刻んでいっています.

結論としては,あくまでも学校教育とは,フレームを教えるということと,経験を伝えるということしかできないということです.すなわち,どう生きるか,どのように社会に向き合うか,どのように人生をつくっていくか,どのようなビジョンをもっていくか,そして美しく生きるためには?という究極の目標である,美そのものをどう創るかまでは,なかなか教えられないといくことです.

すなわち,リハビリテーションの現場に置き換えてみると,対象者にどのように関わっていくか.どのような治療を選択し,その場で変えていくか,そして,身体を触りながら,何を感じ取っているのか,どのようにコミュニケーションを構築しているのか,などは自分自身で紡いでいくしかないのではないかと思います.もちろん,そのフレームを教えることはできるし,自分が生きてきた経験から,何を選択するかなんかは伝えることができます.

けれど,上記のまさに臨床そのものをおしえることはできないのです.ここに人生のクオリアがあり,事象を現場で現在進行形に,すなわち,1秒前と今自体はすでに現象が異なっている.すなわち,脳内現象は変わっている.そこについて教えることは,現場で自分自身が感じ取るしかないのです.すなわち,そこに感性が必要なのです.エビデンスとは究極にある表現ですが,神経現象から考えて,この感性そのものがエビデンスなんです.感性を持って生きるというもっとも人間らしいものを失ってしまうと,自らが機械になり,患者を機械にあてはめ,自分のなかのある機械脳にあてはまらない現象に出会ってしまえば,それを不良品と解釈して,葬ってしまうのです.そうして葬られた患者さんはいかに多いか・・・ 

しかしながら,感性ばかりを頼りにしてもなりません.感性があっても,知識・技術がなければ絵にかいた餅です.セラピスト,いや人間は表現者です.セラピストの技術も感性に裏打ちされていますが,感性の前には,やはりフレームの理解が必要です.すなわち,クラシックギターの音色に感性がひかれるが,その感性だけ持っていても,優れた演奏者にはなれません.何よりもクラシックに関する知識,ギターに関する知識,そして演奏法の理解,そして,弦を操作する技術,こうしたものがベースにないと,感性は絵にかいた餅になります.

私たち人間にはその両面があります.おそらくすぐれた表現者(スポーツや芸術)には,その両面の感受性,そして複雑性,そして細分性が存在しているのでしょう.それを単に右脳と左脳という形にわけたくありませんが,両半球のニューロンがシンフォニーを奏でるように,同期化スパイクするのでしょう.しかし,その神経現象の再現は,コヒーレンスは,次の機会に全く同じようになるのでしょうか.脳の神経現象にはまだまだ解明の余地があります.

話がそれてきましたが,臨床力を操作する感性について,そしてどのような人生をつくりビジョンを持っていくかの姿勢は,自分自身でつくっていくしかないのです.一方,そのフレームになる知識・技術はある程度は教育することが可能ですが,その知識・技術は応用科学であればあるほど実は不確実なことばかり,その不確実性を楽しむという姿勢を教えることが,今の専門教育には必要なのではないでしょうか.その教育が決定的に不足しているように思えます.思考と記憶は表裏一体ながら,対極にある認知機能と考えることができます.

記憶の授業を減らしてでも,不確実性を思考する授業を構成することが大学の教育なのでないでしょうか.そこに専門教育と大学教育のジレンマが存在してしまいます.特に日本ではそれを感じてしまうのです.

日記:志の質

2010年09月03日 07時09分14秒 | 日記
昨日は,企画部とニューロリハビリテーションセミナーの資料,運営を確認し,
4年生の卒論指導,院生の研究指導をしつつ,
少し遅れた四国理学療法士学会の抄録,
そして大学の図書館便りの原稿を作成・完成・送信を行いました.
1時間ほどの作業を完了させたために,質はどうかと思いますがご容赦を.

その後,今度のセミナーの資料の表紙のデザインに入りましたが,
少しアイデア不足で,数パターン作ったのですが,
結局は基礎編の時の色違いにしました.
微妙にデザインが変わっています.
気づいた人は,その瞬間,prefrontal cortexのコヒーレンスが生まれると思います.
128chの脳波計が入り,
ダイポールやLORETAにも興味があるのですが,
いちばんこれからやらないといけないのは,
デフォルトモード時のコヒーレンスではないかと思っています.
学習課題前の脳の準備状態で,その後の学習結果は大いに変わることを
strokeでも明らかにしていきたいです.

それと自らの手で止めている研究の中枢機構について取り組みたいのですが,
原著よりは本の執筆が中心のために,
どこから分配しないといけません.
後者の方が,時代のニーズにあっています.
まだリハビリテーション科学は習熟していません.
だれかが,自らの研究を封印してでも,
世間に情報提供し,
科学モードに切り替えないといけません.

臨床は情報に飢えています.
その情報が提供されることで,
質の高い臨床・研究が展開できるのではないかと思うのです.
そのためには,その情報屋が必要.
畿央大学ニューロリハビリテーショングループは,
レビューばかりといわれても,それをしないといけないのです.
それは,リハビリテーションをもっとよくするという「志」があるからです.
自分の業績を高めるというだけの志ではないからです.


リハビリテーションは,人間そのものであり,人間の象徴でもあります.
リハビリテーションが発展することは,人間社会を発展させることだし,
それ自体,日本,地球をよくする,守ることなのです.

リハビリテーションは世界を変えるぐらいの質を持っています.
なぜなら,対象が多岐にわたり,
その対象自体が「人」なのですから.

だから,もっとも難解な学問だし,
最も努力,勉強し続けないといけない分野なのです.
対価が安いといわれる所以はそこにありますが,
それに嘆いては,「志」が揺らぎます.
「やる気があるからやるのではなく,やるからやる気がでる」のです.

自分自身は自分の身体(行為)に宿ります.




2010年度ニューロリハビリテーションセミナー 応用編

2010年09月02日 20時31分23秒 | インフォメーション
畿央大学ニューロリハビリテーションセミナー(応用編)

9/11(土)
12:00~ 受付
12:50~13:00 開会式
13:00~14:30 感覚情報処理機構     森岡  周
14:40~16:10 上肢運動制御の脳内機構  谷口  博
16:20~17:50 姿勢・歩行制御の脳内機構 冷水  誠
18:00~18:30 テーブル討議
19:00~    懇親会

9/12(日)
9:00~10:30  運動学習の脳内機構    冷水  誠
10:40~12:10 情動とコミュニケーションの脳内機構 信迫 悟志
13:00~14:30 思考と記憶の脳内機構   前岡  浩
14:40~16:10 運動イメージとミラーニューロンシステム 松尾  篤
16:10~16:30 質疑応答
16:30~16:40 閉会式


200ページほどの資料が完成しつつあります.
今回は口絵も入れ,カラーでも表現します.


本セミナーは「専門理学療法士」制度ポイント認定講習会・研修会です.





論文掲載!

2010年09月02日 09時02分13秒 | インフォメーション
原著
谷口 博, 富永孝紀, 大植賢治, 河野正志, 森岡 周:半側空間無視治療に用いられるプリズム順応課題時の脳活動―機能的近赤外分光装置(fNIRS)による検討 ―.作業療法ジャーナル

講座
谷口 博,河村民平,冷水 誠,森岡 周:ニューロリハビリテーションと脳の機能的イメージング 7―注意とワーキングメモリ.理学療法

上記原著論文は査読付論文です.谷口君,がんばりました.