森岡 周のブログ

脳の講座や講演スケジュールなど・・・

日記:内に向け冷静さをもつ意識

2011年07月06日 08時57分25秒 | 日記
昨日は和歌山市の小児施設に実習地訪問でした.
高知時代の同級生の林氏に出迎えていただき,
お互いの労をねぎらいました.
体調,健康を気にする年になり,
それによって意識をうちに向けていく必要がある歳になりました.
外ばかり意識し,
他人ばかり気になってたころに比べ,
少しずつ,身体が自分の心とは裏腹に動かないようになったり,
病気になったりすることで,
人間は外に注意がとられず,
自己を意識し,
そして自己の人生を設計する.
まさに,健康を害して自分の人生を意識するのは,
体,すなわちうちに向けた意識によるものなのかもしれません.
健康な時は自分の体なんか,これっぽっちも感じないことから,
うちに意識を向けられず,
他人のことばかり意識がとられることで,
自己とは何か?ということに不安がついてまわるのですが,
体を感じ始めることによって自分とは何かということがわかることで,
余裕が出てきて,
そして人生をみることができる.
そのようなことを同級生と会うことで感じました.

実習生の峯君は全く問題なし.
重度心身障害児に対峙し,様々な葛藤が生じている.
筋緊張のコントロールの葛藤に対して,
フィードバック抑制,フィードフォワード抑制
から学術的に指導し,
そして,ある立場にたつことの必要性を話しました.
特に成人と違って,
もともとの中枢神経系の機能が存在しない場合で発達してきた場合は,
ある意味,対処的なケアが必要である哲学を話しました.

SV,CVのお二人にはとても優しく教育されているようで,
彼自身も様々なことを思考できる余裕がありました.
お礼申し上げます.
思考できないまで,実行ばかりを求める教育には異を唱えたいと思います.
ただし,学生には思考よりもからだで感じ覚えることの重要性を話しています.

この施設でもメソドロジーの対立があります.
こうした対立はもはや原理主義でしかないようにも思えます.
またこれについては日を改めて,どうあるべきか
私の意見を書きたいと思いますが,
人間とは無意識に原理主義に陥っている場合があります.
本人は気付けないのです.

だた,いっておきたいのは,子どものリハで,
痛みを継続して与えるべきではありません.
本人に意思表示できる能力がなくても,
意識のしたで,辺縁系や脳幹は反応しています.
言葉がしゃべれない,認知できない,
とか言って,可動域のみの視点で,
セラピストが痛みを与えて伸張していく.
まさに虐待や拷問しか思えません.
虐待や拷問に見えないのは本人が意思表示できないからです.
しかしながら,脳幹や扁桃体,海馬は機能し,
それにより結果的に防御,回避,攻撃,過緊張,自律神経の問題(呼吸や心拍)を起こす可能性があります.
locked in syndromeも.

不意に予期できない痛みは私たちにもありますが,
予期できる痛みをすなわち継続して痛みを与えてはなりません.
唯一の身体を感じる接点が痛みであったならば・・・
その痛みでしか外界を感じることができないのならば・・・
なんとも,いいようがな辛さが三人称的にあらわれ,それを感じてしまいます.

いずれにしても,かつて,V,U,D法と呼ばれたなかでの
痛みを継続させる徒手的なアプローチは,
ニューロンやシナプスの発育の観点から,
神経科学的,いや人間科学的に与えるべきではないと思います.
多様的に見れば,その効果も存在しますが,
それはあくまでも運動学的,いや物理学的,いたヒトをモノ化した視点のみで
評価・表現できるのでしょう.
それよりも自分の身体で生きていることを子供たちに学習させていくこと.
そして快情動から生まれる志向性を眼の動き一つでもいいから,
つくってあげるべきだと思うのです.

旧体系のVということを今だに信じている人達は,
まさに○○原理主義であると思います.
これは新興してきた,台頭してきた新しいセラピーといわれるものにも
同じように感じます.
Limitationを意識しないのは原理主義に近づく.
これは教育もいっしょで国家試験というものの合格は
ある意味原理主義にも思います.
すなわち100%合格原理主義です.
うちではありませんが,
100%合格のためには何をしてもいい.
つまり,退学させても,留年させてもいい,
という志向性です.
もっと自由度があっていいと思うのです.


まあ,そんなことを思う1日でした.


大学に16時に帰り,
博士課程の中野君,若田君に協力してもらい,
看護学科の授業を行い,
そのあと,大学院の研究計画を21時まで聞きました.
昨日は豊田さんから,自己身体意識,
そして池田君から重力負荷・変動における視床下部やヒスタミン分泌に関する研究が取り上げられました.
2011年の論文が翻訳されていて,私としての報酬がありました.
みなに助けられ,研究室全体がスキルUPすればよいと感じています.

22時まで大学で研究指導し,実習訪問,授業,大学院指導の日は終わりました.


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