一と月くらい前のこと、後ろから坂道を駆け下りてくる足音が近づいて私を追ぬいたかと思うと、息をきらして、なぜか私の直前に入って急激にスローダウンする女の子がいました。
私はその間も進んでますから、危くぶつかりそうになります。
想像するに一応急いでいた彼女は、あのオジサンの所まではなんとか走ろうと目標にして、やっと追い越したところで事切れたというか走るのやめた、程度の理由だったのでしょう。
4〜5年前からでしょうか、たまにそういう目に遭います。
以前は皆無だったことを考えると、人間の感覚がドンマというかタイカしてるんだなぁ、と放浪の画家のマネをしながら思うのでした。
生身でもこんな事あるんですから、車ならもっとでしょう。
後の見える人はいませんから、私だって気づかないだけで似た迷惑をかけてないとは限りません。
でも一人だけ、背後も前と同じように感知できる人がいます。
座頭市です!
「正月から大丈夫?」
という声が聞こえそうですが、昨年暮れから第二次「勝新中毒」にかかりまして、つまり後のイメージが出来上がった「悪名」シリーズから「座頭市」シリーズを観ないでいられない、という症状からようやく脱したところです。
その中の一本「悪名無敵」という作品には、昨年末に亡くなった八千草薫さんがご本人には珍しい役で出てきました。
何を演じても、あのおっとりした感じなのが面白いです。
また少し前に書いた「婦系図」(おんなけいず)に主演の万里昌代さんは、座頭市が思慕する「心のきれいな」女性として描かれます。
これも書きましたが、一時付き人だったというルー大柴さんが勝新太郎さんを"ヴィクトリー・ニュー太郎"と呼んでいた、という嘘か本当かわからない話を思い出して笑いました。
大映のタイトルは雲海で始まりますが、ないので3日の富士山。