昨年の11月19日に書いた、ヨーゼフ・ヴェックスバーグさんの「The Best Things in Life」という本が昨日届きました。
書いた頃は一年も経たないうちに手にするとは思いもしませんでした。1964年の本ですが状態も良好です。
ヴェックスバーグという人について辻静雄さんが書いた物以外何も知らなかったことに気づき、普段はインターネットで検索などしないのに、本がなかなか届かない時に調べてみました。
すると、氏にまつわる様々なスナップ写真やアーカイブを公開しているサイトがあり、それを運営するのが、子供の頃シャガールに才能を評価されたという娘のポピーさんです。
辻さんは、「ヴェックスバーグさんの最近の本『人生最良のもの』では、「私のストラディヴァリュース」とか、ボヘミアとセヴィル・ローの洋服屋の職人気質、ヨットマンシップ、人と話をすることの天恵についてとか、いずれも専門家にならずに、素人がなにかに熱中することの幸せについて―ハッピー・ディレッタントの境地を淡々と語りかけてくれる。」と書いていました。
やはり専門的に勉強したヴァイオリンや音楽全般に関する話が多く、旅やワインそして食については以前書いたサミュエル・チェンバレインさんと同じくフェルナン・ポワンやアレクサンドル・デュメーヌの名を挙げ、偉大な料理人と同じ時代に生きた幸運を記しています。
また、辻さんの言うとおり「Quality」という一章で仕立て屋さんについて書いていますが、チェコスロバキアに生まれたヴェックスバーグさんが特にボヘミアの職人に愛着を覚えるのはごく自然なことです。
現在その伝統を受け継ぐ職人さんは女性が多いようですが、本の中で興味深いのは、知己であるボヘミア系の仕立て屋は世界のあちらこちらにいるが、昔は広島にもいたと書いてあった事でした。
またアメリカの市民権も持つヴェックスバーグさんは、当時ハリウッドなど全米に散らばる同系の腕利き職人についても精通していたようです。
そう言えば届いた本の前の所有者の専門は、食でも、音楽でも、服飾でもなかったようで、ヨットに関するメモが間から出て来ました。
ブログを始めて一年に近づき、話に取り上げた本が巡り巡って自分の所へ来るのも、何かサイクルが一巡しつつあるのを感じます。
Fernand Point of La Pyramide, the greatest practitioner of la grande cuisine in our timeとヴェックスバーグさんは書いています。正確なところは分かりませんが、F・ポワンは体格的にかなり大きかったらしいです。
この青いアロワナみたいなネオンみたいなタイは、ミラノでも最もクラシックなテイストを持った店のオリジナル。十年くらい前、安くしとくからまとめてどうですと一山いくらで買って来たものの一本。他はもっとオーソドックスだったので売れましたが、これはちょっと難しく売れ残っていたもの。