トランプ銃撃のウラで…「NATOの重大発表」に中国が怯える深刻な事情――「対中包囲網」のヤバすぎる展開
7/17(水) 6:34配信
現代ビジネス
トランプ狙撃のウラで高まる米中対立
トランプ元大統領が狙撃された事件が世界に衝撃を与えているが、その3日前に設立75周年を迎えた北大西洋条約機構(NATO)が中国に対して、重大な声明を発表したことをご存じだろうか。
NATOは、7月9日から米ワシントンで首脳会議を開催し、翌10日に「中国はウクライナを侵略しているロシアの『決定的な支援者』だ」と批判する首脳声明を発表した。
NATOが中国の脅威と対抗する姿勢を鮮明に打ち出したのに対し、中国政府は11日「偏見であり、不和の種をまいている」と猛反発した。だが、中国がこのところ世界各地で軍事的なプレゼンスを拡大しているのは明白な事実だ。
中国人民解放軍とロシアに同盟関係にあるベラルーシ軍は、8日から合同軍事演習を開始した(19日まで)。演習が行われているのはNATOに加盟するポーランドの国境からわずか数kmの地点だ。北京の外交筋は「演習はNATOへの牽制が狙いだ」としている。
米中関係は「改善の余地なし」…
米国のお膝元のキューバでも、中国が活動を活発化させている。
米戦略国際問題研究所(CSIS)は1日、衛星写真の分析などに基づき、「中国がキューバで米軍に関する通信傍受のための施設を大幅に拡張している」との見解を示している。
中国軍の活動が最もさかんなのは、アジア地域であることは言うまでもない。
台湾国防部は現地時間11日午前6時(日本時間同7時)までの24時間に、1日としては過去最多となる中国軍機56機が台湾海峡の中間線を越えて台湾側に侵入したことを明らかにしている。
中国の軍艦がロシアの軍艦とフィリピン海の共同パトロール中に不審船を検査する訓練を実施したとの報道もある(7月9日付ロイター)。
トランプ狙撃で高まる「対中憎悪」
米中関係は、ますます混迷をきたしている
7月13日に起きたトランプ元大統領の狙撃事件では、負傷したトランプ氏がシークレットサービスに囲まれながら星条旗の前でガッツポーズする写真が「奇跡の一枚」としてメディアをにぎわせている。
年齢不安のつきまとうバイデン大統領に比べ、勇敢で力強いイメージを振りまいたトランプ氏は、再選への大きな足掛かりを得たかもしれない。
しかし、対中批判を繰り返すトランプ氏のボルテージが上がっていけば、米中対立は引き返せないところまで行きかねないだろう。
こうしたなか、中国の学会でも「米中関係に改善の余地がない」との認識が広がっている。
後編「トランプの「奇跡の1枚」で追い詰められたのは、習近平だった…!米中関係に不安を抱く中国人識者が明かした「一抹の不安」」で、その事情をじっくりとお伝えしていこう。
藤 和彦(経済産業研究所コンサルティングフェロー)