野村HDの4-6月純利益3倍の689億円-個人・法人部門とも好調
佐野七緒、中道敬
2024年7月30日 15:04 JST 更新日時 2024年7月30日 16:56 JST
主要3部門の税前益は866億円と通期目標の2880億円を上回るペース
ホールセール部門の経費率「80%前半目指す」とCFO-直近は91%
野村ホールディングスが30日発表した2024年4-6月期(第1四半期)の連結純利益は前年同期比3倍の689億円だった。国内リテールやホールセール部門などが好調だった。ブルームバーグが集計したアナリストの予想平均566億円を上回った。
発表によると、主要3部門合計の税前利益は同3倍の866億円。国内リテールを担うウェルス・マネジメント部門が同84%増の423億円。資産運用と投資関連を管轄するインベストメント・マネジメント部門が同6.4倍の232億円。ホールセール部門は同10倍の211億円だった。
野村HDは、富裕層を中心とするリテール体制への移行のほか、トレーディングや投資銀行部門でのコスト削減などを進めている。主要3部門合計の税前利益は25年3月期で2880億円の達成を目指すが、第1四半期の実績はこれを上回るペースとなった。
野村HDの主要3部門の税前利益推移
出所:会社資料
注:単位は億円、年度ベース。ウェルス・マネジメントは23年4Qまでのリテール部門を改称
税前利益は3部門合計で5四半期連続の増加となった。ウェルス・マネジメント部門では資産管理型ビジネスが伸び、同部門の税前利益は15年の4-6月期以来9年ぶりの高水準となった。また、運用資産残高は資金流入を伴い約92兆5000億円と過去最高を更新した。
米国モーニングスターのアナリスト、マイケル・マクダッド氏は野村HDの第1四半期決算について、「国内リテール部門は実に好調だったが、ホールセール部門は経費率が依然として高く、若干精彩を欠いた」との見方を示した。
北村巧財務統括責任者(CFO)は会見で「ホールセール部門の業績はまだ回復途上だ」とした上で、「すべてのビジネスラインが前年比で増収。収益の多様化や安定化は進んでいる」との認識を示した。
第1四半期の主な収益(増減は前年同期との比較)
収益合計は36%増の1兆2179億円
委託・投信募集手数料は24%増の1028億円
投資銀行業務手数料は33%増の413億円
アセットマネジメント業務手数料は26%増903億円
トレーディング利益は14%増の1320億円
第1四半期の海外拠点の税前損益は、米州が133億円の黒字(前年同期は199億円の赤字)、欧州が48億円の赤字(同59億円の赤字)、アジア・オセアニアが84億円の黒字(同19億円の黒字)。合計では同239億円の赤字から170億円の黒字に転換した。
北村CFOはホールセール部門の経費率が91%と高かったことについて「やることはある。まだコスト削減として効果がみられていない」と述べた。総経費率の低減策を検討中であり、「80%前半まで落とせるように頑張りたい」とした。
野村HDの四半期純利益の推移
出所:会社資料
注:年度ベース
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