夏でも疲れない人がよく食べる「意外な食品」とは?【医師が解説】
7/19(金) 17:02配信
ダイヤモンド・オンライン
料理のバリエーションが豊富なある食材。週に何度も食べている人は、疲れを知らずいつも元気で、シミやシワが少なくて年齢よりも若く見え、成人病健診の数値も上々なのではないか
いつも仕事や家事、育児に追われ、さらに猛暑日続きでなんだか体が重たい、ゆっくり寝ても疲れがとれない、そんな悩みを抱えている人は少なくないでしょう。その一方で、毎日エネルギッシュに活動し、イキイキと過ごしている人もいる、その違いはどこにあるのでしょうか。工藤孝文さん監修の『「疲れない人」の習慣、ぜんぶ集めました。』(青春出版社)から、心身の活力を保つ食生活の秘訣、すぐに寝つけて深い眠りを得られるコツ、心の健康をキープするストレス対処法、疲れがたまらない姿勢や体の動かし方など、すぐに試せる元気のコツを紹介します。
● 塩ザケ、ムニエル、ちゃんちゃん焼き。疲れない人はサケが大好き
塩ザケはもちろん、ムニエルやフライ、ちゃんちゃん焼きなど、料理のバリエーションが豊富なサケ。週に何度も食べている人は、疲れを知らずいつも元気で、シミやシワが少なくて年齢よりも若く見え、成人病健診の数値も上々なのではないか。
サケは高たんぱくのうえに、脳に作用して記憶力を向上させるDHA(ドコサヘキサエン酸)や、血圧や血糖値を下げるEPA(エイコサペンタエン酸)といった体にいい不飽和脂肪酸が多く含まれている。
そして特筆されるのが、サケ独特の赤い色を生み出しているアスタキサンチン。赤や黄色の天然色素であるカロテノイドの一種で、さまざまな健康効果を持つことがわかっている。
アスタキサンチンの働きのひとつが、疲労をやわらげる作用だ。
運動などで筋肉を動かすときには、体脂肪に加えて、肝臓と筋肉に蓄えられたグリコーゲンが使われる。ただし、脂肪に比べてグリコーゲンの量は少ない。このため、体を動かしているうちにグリコーゲンが燃やし尽くされると、ひどく疲れてしまう。
とくに激しく体を動かす際、こうした状態に陥りやすく、マラソンの場合なら、疲労がたまって失速する「30kmの壁」の大きな原因となる。
そこで、アスタキサンチンに体内で働いてもらうのだ。アスタキサンチンが摂取されると、体を動かす際にまず体脂肪が使われるように働く。グリコーゲンの利用は後回しになり、簡単に枯渇しなくなるので、疲れにくくなるというわけだ。
アスタキサンチンは非常に強い抗酸化作用も持っている。なかでも得意とするのは、紫外線から肌を守ってシワやシミを防ぐ効果で、若さを保つアンチエイジングにとても有効だ。
ほかにも、脳の海馬の機能を高めることによる記憶力アップ、眼精疲労の軽減、動脈硬化やガンの予防などに効果があるとされている。サケを意識して食べて、このスーパー成分をたっぷり摂取しよう。
● 疲労回復に欠かせない、快眠のコツ
疲労をためこまないためには、ちょっとした睡眠のコツも必要だ。なかなか寝つけないとき、あるいは眠っている途中で目が覚めたとき、「いま何時なんだろう?」と時計やスマホを見て確認してはいないだろうか。
ぐっすり眠り、疲れを取りたいのなら、この行動はやってはいけない。「1時間たっても眠れていないのか。早く眠らなければ」「もうこんな時間……。いまからだとあと3時間程度しか寝られない」といったネガティブな感情の原因となってしまう。
寝つくのに邪魔なのが、焦りや不安、イライラ。時計を確認したことで、ますます寝られなくなるのだ。
いつも快眠できている人は、少々寝つきが悪いときでも、または中途覚醒しても時計は見ない。時間を確認することにメリットはないからだ。見たくなる気持ちを抑えるため、時計やスマホを手の届かないところに置いてはどうだろう。
さらに起床時間も大切だ。毎日、決まった時間に寝て、決まった時間に起きる。いつもこうした同じリズムで眠るのが理想だが、そうはいかないこともあるだろう。
何かの原因で寝るのが遅くなった場合、目覚ましのアラームを遅めにセットしたくなる。けれども、疲れを取るのが上手な人は、朝のリズムを変えようとはしない。睡眠時間が少々短くなっても、いつもと同じ時間に起きようとするものだ。
良い体調を保って、疲れをためないようにするには、体内時計を狂わせないことが大切。寝る時間が少々ズレても問題ないが、起きる時間がいつもと違うと、体内時計が乱れやすくなる。体のリズムにも悪影響を与えて、体調を崩しかねないのだ。
体内時計を整えられる時間帯は朝しかない。毎日、決まった時間に起きるように心がけることが大切だ。
● 疲れたらあえて体を軽く動かし、体にたまった疲労物質を排出する
1日中、外回りの仕事をしたり、立ち続けたり、外出してよく歩いたり。こうして疲れたときは、とにかく休養することが大切。何もしないで、ゆっくり体を休ませるのがいちばん。
このように思っている人は多そうだが、疲れを上手に解消できる人の考え方は違う。体を休めるよりも、積極的に体を動かそうと心がけているのだ。
疲れているとき、あえて軽めの運動をすることを「アクティブレスト」という。日本語では「積極的休養」。もともとは運動選手が疲れを素早く癒し、体調を整えるために考え出された疲労回復法だ。
疲れたときには、疲労物質が体にたまっている。これを早く排出するには、血流を促さなければならない。ただ休んでいるだけでは、筋肉の休養にはなるものの、疲労物質はたまったままになってしまう。
そこで、軽めの運動をして血流を改善し、新陳代謝を促して疲労を回復させようというわけだ。血液に含まれた栄養が筋肉に行きわたるため、翌日の筋肉痛も抑えることができる。
アクティブレストとしての運動は、誰にでもできる軽めのものでOK。代表的なものはストレッチで、疲れた日には仰向けで背伸びしたり、足腰をひねったりと、ゆるいストレッチを試してみるといい。
有酸素運動も疲れを取る効果が大きい。体力づくりを主眼にしないで、アクティブレストとして行う場合は、それほど早足ではないウォーキングで十分だ。強い負荷をかけないように、息が上がらない程度の運動強度を保とう。
プールでの歩行も、優れたアクティブレストといえる。全力で泳がないのがポイントで、疲労回復をメインにする場合は、あまり頑張らないほうがいい。水を利用するのなら、さらに手軽なのがぬるめのお湯にゆっくり浸かること。水圧がかかって血流が良くなり、疲労物質がじんわり洗い流されていく。
● ストレスとうまく付き合う「しょうがない」と「大きなため息」
心を楽にして生きられない人のなかには、どのようなことにも目いっぱい頑張るタイプが少なくない。難しい案件を任せられたのだから、はじめての部署で働くのだから、大勢が集まる会の幹事に指名されたから……などと、とにかくここが頑張りどころだと思って、自分を追い込んでいく。
こうした真面目な完璧主義者は、最初からアクセルを全開にして物事に取り組み、自分のキャパシティを超えてもどんどん突っ走っていく。そして、無理をし過ぎて心身に疲労がたまり、ある日突然パンクしてしまう。
このタイプだと自覚する人は、ほどほどに頑張る人に学んではどうだろう。頑張ってもできないと思ったら、「しょうがない」「こんなときもある」とあきらめる。現状を素直に受け入れることも、元気に生きていくうえで大切だ。
仕事がはかどらない、あるいは人間関係に悩まされたときなど、思わず「はぁ?」とため息をつきそうになる。ため息にはネガティブなイメージがあるので、こうした場合、自重する人は多いだろう。しかし、なかにはわざと大きなため息をつく人もいる。そういった人の狙いは、自律神経の切り替えだ。
ストレスを感じたとき、交感神経の働きによって、体は緊張し、呼吸が浅くて速くなっている。ため息とは、一種の深呼吸。副交感神経を高める働きがあるので、心身をリラックスさせる効果が期待できる。
ため息をつきそうだと自分で気がついたら、あえて、より深いため息をつく。こうすれば、体の緊張を解き、イライラした気分の解消につながる。ため息をつくのは、決して悪いことではない。上手に使って、ストレスをコントロールしてみよう。
工藤孝文