「グローバル」という言葉を聞かないことはありません。
それが文部科学省から発信される文言に頻繁に登場するからに違いありません。
ところで「海外の大学ってどうなっているのだろう?」
そんな疑問を感じていた時に読んだのがこの本です。
「高等教育への教育支出のなかで公財政支出が占める割合は、北欧諸国(ノルウエー、デンマーク、フィンランド、アイスランド)がほぼ全額に近く、ドイツやフランスでも八割以上なのに日本は三割。」だそうです。
私費負担が三割程度の国は日本以外にイギリス、アメリカ合衆国。
日本の場合は大学に進学してからも、親の家計がわが子の学費の面倒をみています。
世界の大学生が1970年以降に継続的に増加し、90年代半ば以降は激増しています。とりわけ、90年以降の変化を支えてきたのは、東アジア諸国の大学生数の激増です。
1970年の時点では、大学生の最大多数は北米及び西欧の大学生で全学生数の48%を占めていたのが、2007年までに23%に減少しています。
反対に東アジア及び太平洋諸国の大学生数は、70年の14%から07年には31%となりました。その激増の主要部分は中国や韓国など80年代以降急成長した国々の高学歴化に支えられたことが原因です。
米国には4年制の大学が約2400校あり、これに約1700校の二年制大学を加えるならば総数は4000校を超えます。
中国の場合、1990年の時点で1000校程度だった大学数は、2005年までに約1800校に増えたとも言われています。
世界のすべての大学を合計すると、おそらく1万校を下らないそうです。
今後の経済発展を視野にいれれば、中国と同様のことはインドでも起こりそうです。
英国では、1992年、すべての専門学校(ポリテクニク)を学位授与権のある大学に昇格。大学の数は2倍になり、大学生も5割増加。学生数は150万人以上になったそうです。
日本では全学生数が78年の186万人を頂点に減少に転じましたが95年には全学生数が250万人を突破し、2003年には280万人に達しています。
80年代は30%台だった大学進学率は、95年に40%、2000年には47%、2005年には50%に上昇しています。
日本の大学数は戦前までは48大学。
1965年に300大学、75年に400大学、90年に507大学、95年に565大学、2000年に649大学、2005年に726大学と毎年増加しています。
この増加が意味しているのは、もともと大学に入りたい若者の需要に大学側が応える構造から、学力や将来の志望はともあれ大学に進学はしておくという若者を大学が自己努力によって創出していく構造への転換だと吉見先生は分析されています。
まさに新設大学は、需要がないところに需要を創り出しているのです。
特に希望がなければリベラルアーツ群、情報系、総合系、先進系、先端系、グローバル系、・・。
どうも4年間で鍛えます、4年間で資格を取得させますという大学が多くなってきているようです。その手法は就職を全面に出して、志願者マーケティングがなされています。
先日、ある専門学校の先生から授業中の話を聞きました。
授業中にスマホをいじっているので注意して、それを預かると言ったら「ぶっ殺すぞ」と逆切れされたそうです。
大学にも専門学校にも、とりあえず進学した学生が多くなっているのは当然です。金を出して入学してあげたんだという客的な学生の授業判断基準は、「面白いか?面白くないか?」です。
研究者は芸人ではないと思うのですが・・。