2006年、シンドラー製のエレベータの故障が原因で高校生が亡くなっています。
当時はエレベータに乗る度に、どのメーカーかを確認したものです。
よって、私を含めて多くの人々がシンドラー製エレベータは危険だと思いこんでいたのではないでしょうか?
もっとも、事故当時、TV視聴者にそのような疑いを抱かれてもしかたないようなメディアの報道姿勢であったと思われます。
事実として、シンドラー社は、まず事実確認をすることを優先したのですが・・。
遺族への謝罪とメディア側への情報提供をしなかったことが原因でシンドラー社はバッシングを受けたそうです。
今回、樋口晴彦『不祥事は財産だ』(禅伝社)を読んで事故の真相を知りました。
事故原因は製造メーカーのシンドラー社にあるのではなく
独立系の別管理会社のずさんな保守管理問題があったことを知りました。
それにしても問題は複雑であり深刻です。
日本では三菱、日立、東芝の大手3社で市場の70%を占有しています。
更に、日本オーチスとフジテックを加えると大手5社での市場占有は98%になるそうです。
世界で2位の売上を誇るシンドラー社ですが、日本でのシェアは僅か1%だそうです。
従来、エレベーターの保守管理は一括請負契約であり随意契約でした。
つまり、できるだけ安く建設会社にエレベータを販売して、
同一メーカーの保守管理によって稼ぐビジネスモデルが確立されていたのです。
判り易く言えば、プリンタを安くして専用インクで稼ぐやり方です。
ところが、癒着の問題が指摘されて随意契約ではなく指名競争入札(以下、指名と表記)になったそうです。
事故が発生した住宅公社の契約金額
受注 契約金額
2002 随意 シンドラー 4,460,400
2003 指名 シンドラー 4,460,400
2004 指名 シンドラー 3,645,600
2005 指名 N社 1,633,200
2006 指名 S社 1,209,600
上記のようにリーズナブルなことはいいことなのですが、
製造メーカーは意地悪をしているようにも捉えられかねない行為をしています。
(1) 独立系会社に保守用部品をメーカーが供給しない
(2) 独立系会社には部本納入を意識的に遅らせる
(3) 独立系会社には部品を不当に高い金額で販売
(4) エレベーターに関しての技術情報を提供しない
上記のような「意地悪」がされるなら、どのメーカーでも事故はおこりえます。
事故が発生するリスクが高まることは当然なのです。
シンドラーに乗ったら「死んでらー」とならないためにも
業界全体での改善を進めることを強く望まずにはいられません。