春の水は「雪消(ゆきげ)」の恵み。
地を緩ませ、冷気を払う陽射しによって山の積雪がとけて「雪代水(ゆきしろみず)」となり、
春のみなぎる力の源となって川に流れ、重要な水資源となります。
氷解したことを「雪解け」といいます。
すべてを水に流して、新しい秩序や絆を作っていこうという気持ちは、
冬を清算して心新たにする春だからこそ強まるようです・・・
今日聴いたジャズ・・・
PAT MARTINO・・・「CONSCIOUSNESS」
本作は、1944年8月25日生まれ、アメリカ合衆国のジャズ・ギタリスト、パット・マルティーノのリーダー作。
エディ・グリーン(elp、perc)、タイロン・ブラウン(b)、シャーマン・ファーガソン(ds)を従えたカルテット編成。
1974年の録音なので、”WE’LL BE TOGETHER AGAIN”より2年ほど前にリリースされた作品になる。
いうまでもなく、マルティーノは1980年に脳動脈瘤を患い、記憶喪失になり過酷で長いリハビリを経て、奇跡的にも、
87年にNYでのライブ盤 『THE RETURN』で復帰を果たしている。
本盤は全8曲、自己のオリジナル3曲(3、5、6)に加え、コルトレーン(1)、ベニー・ゴルソン(4、8)たちの名曲
を織り交ぜた構成になっている。
アルバム内容としては、冒頭の「IMPRESSIONS」からマルティーノらしい、というより彼ならではの超絶技巧が堪能できる。
続くタイトルチューンの「コンシャスネス」も緊迫感のあるギター、、エレクトリック・ピアノソロ、ベースソロ、
を聴いているとマイルス時代のチック・コリアを想起させるものがある。
続く3、「PASSATA ON GUITAR」は、趣が変わって優しさがあふれ、美しい旋律を持つギターソロ。ラルフ・タウナーやメセニー、
あるいはアバーークロンビーに通じる繊細さを感じる曲になっている。
ベニーゴルソン作の4、「ALONG CAME BETTY」はサンバ風で軽快に演奏され、マルティーノの長いフレーズ、彼の典型的な
奏法が聴ける。マルティーノのオリジナル5、「WILLOW」はピアノレスでオクターブ奏法を織り交ぜたギターがひときわ冴えわたる
曲に仕上がっている。続く6、「ON THE STAIRS」もまた、超絶技巧、速いパッセージのギターには度胆を抜かれる思い。
絡むドラミングも聴きどころ。つづく7、ジョニ・ミッチェルの「青春の光と影」では短めながらも優しく、このような優しさを
持つ曲も意外性があって面白い選曲だと思う。
ラストは「ALONG CAME BETTY」の別テイク。アップテンポで展開されている。
※ パット・マルティーノは18歳でデビュー。「イースト」、「ライブ」、「イグジット」、「ジョイアス・レイク」などの
名盤を発表。前述したように、1980年に病に倒れ、両親の手厚い看病のもと、87年に「THE RETURN」で復帰したかの
ようにみえたものの、今度は両親の健康状態が悪化し、マルティーノは看病の為に再び引退生活を余儀なくされた。
その後、両親が相次ぎ他界、喪失感にさいなまれて、フィラデルフィアの自宅にこもっていた92年のある日、
ふと街の小さなクラブでピアノを弾いていた、無名のピアニスト、ジム・ドリルに出会い彼の演奏に心打たれた。
二人の友情が始まった瞬間だった。
マルティーノとジム・ドリルのデュオ盤は「NEXUS」としてリリースされている。
彼の演奏スタイルの特徴としては、”マシンガン”と呼ばれる超絶技法、ワン・アンド・オンリーの美しい音色、
そして、ウエスへの敬愛を感じさせるオクターヴ奏法によるところも大きな特徴といえる。
1・IMPRESSIONS・・・2・CONSCIOUSNESS・・・3・PASSATA ON GUITAR・・・4・ALONG CAME BETTY・・・5・WILLOW
6・ON THE STAIRS・・・7・青春の光と影・・・8・ALONG CAME BETTY(別テイク)・・・
PAT MARTINO(g)
EDDIE GREEN(elp、perc)
TYRONE BROWN(b)
SHEMAN FERGUSON(ds)
1974年10月4、7日録音・・・