HAKATA PARIS NEWYORK

いまのファッションを斬りまくる辛口コラム

店長のマネジメント力頼み。

2011-10-07 12:34:57 | Weblog
 キャナルシティ博多のイーストビルを見てきた。すでにテナントの顔ぶれ、戦略内容には触れたし、福岡流通戦争の勝算度についても、否定的な意見に変わりはない。だから、あえて期待するとすれば、店長の指導力とスタッフの販売力。そこで、各店の接客・サービスのレベル、モチベーションの高さなどをチェックしながら、店長のマネジメントで気づいた点を以下に列記する。

 まず、同施設に再出店を果たしたユニクロ。過去、オーパに出店していた時は、SS(スーパースター)店長のひとり、弥永利司久留米上津店店長が兼任していた。その時、店長がスタッフに口酸っぱく言い続けていたのが「作業を仕事に変えろ」だった。
 同社の販売スタイルは“ヘルプ・ユアセルフ”で、スタッフはサイズ、色柄、商品特性などの受け答えができれば十分だが、マニュアル通りなら作業でしかない。自分で考えて行動するのが仕事なのだ。
 同店でもフロア店長らしいスタッフが大きな声でお客を迎え、質問にも丁寧に答えていた。また、レジ打ちや商品陳列もほとんどのスタッフがこなせるなど、店長の指導・管理のレベルは上々だ。
 しかし、コミュニケーション能力となると?がつく。「ブロックテックボンディングパーカは静電気が気になるんですが」の問いに即答のアドバイスができるスタッフがいないし、インナーに何を着ると静電気が起こるかも理解できていないスタッフがいた。素材知識の重要性はヒートテックだけではないはずだ。
 また、購入客に対する感謝の気持ちという点でも、出口近くに入るスタッフのフォロー挨拶もない。柳井正社長が求める店長の使命の一つ、「CS(顧客満足)」が今イチで、不満が残った。

 次に訪れたのはコレクトポイント。ウィメンズは平日ながら多くを集客。特にヤングミセスが入口付近の集中しているにも関わらず、新人スタッフは商品整理に没頭。行動が予測できない子供に配慮する様子もない。逆に中堅スタッフは接客を重視するあまりに周囲に目配りができずにいた。
 オリジナル商品で構成する大型店にも関わらず、入口から奥までの客動線が計算されておらず、スタッフ全員がバランスよく接客に当たれる態勢が作られていない。これは非常に残念だ。
 逆にメンズはお客が少ないにも関わらず、新人スタッフは「いらっしゃませ」のかけ声と「メルマガ会員への20%割引」の案内を繰り返すのみ。試しに商品を探す振りをして売場を2回、3回と巡ってみたが、アプローチに入る態勢すら見せない。
 売場はセレクトショップ感覚で、VMDもそれなりの完成度を誇る。あとはきちんと接客して売るしかないのだ。来店して滞留するお客への対応を、もう少し指導すべきだろう。

 H&Mはオープン直後で、お客でごった返し。こちらはファストファッションでセルフ感覚の業態だから、 一段落しても念入りな接客はしないだろう。ただ、同店の正否が今後の出店戦略に影響を及ぼすのは間違いない。その意味で顧客管理やCS、挨拶などは徹底されるべきだ。また、VMDや在庫管理は本国のオペレーションで行なわれているはずだから、それをどう売上げに繋げるかは店長の力量になる。
 欠品を出さないように基準在庫を守り、機会ロスを防ぐ感覚をスタッフに身につけさせるのは、店長のマネジメント次第。オープン景気が去った後に再度チェックしてみたい。

 ザラは既存店で実績もあることから、リロケートにひるむこともなく、入店客の一人一人に丁寧な挨拶や応対をしていた。さすがに「ザラはファストファッションではないんですよ」と説明するスタッフはいなかったが、「この秋はさらにモード色が強まっています」と、あるスタッフのトーク。本部の指示なのか、店長のマネジメントの賜物か。どちらにしても接客レベルが他のストアより高いのは確かだ。
 ザラの妹ブランドBershkaはまだまだ知名度が低く、入店客はまだまだ少ない。裏原系グローバルSPAのDesigualは、アングラな店内やクセのあるプリントが影響してお客はまばら。それだけに店長はスタッフにお客を呼び込ませるなど、せっかくのオープン景気を自店の集客に繋げる工夫が欲しかった。

 キャナルシティ全体ではお客がイーストビルに集中し、ノースビルやサウスビルは閑古鳥が鳴く有り様。ギャップはお客がほとんどいないので、ザラと一緒に館内移動させてもよかったのではないか。ただ、ザラとフランフランの跡にテナントが未入店な点も気になる。前述したようにデベロッパーの福岡地所がファストファッション戦略を強調するあまり、他の業態が進出に二の足を踏んだと考えられなくもない。
 同社も集客対策はとってはいるようだが、無印良品のポイント5%セールくらいでは効果は上がらないだろう。もっとも、目玉のH&Mにしてもショッピングバッグを持って退店するお客は意外に少ない。やはり目標達成は、各店長の指導力とスタッフの販売力にかかっているのは、間違いないなさそうだ。
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