翻って09年から始まったFACo(福岡アジアコレクション)はどうだろう。地元のファッション
産業の振興や人材の育成を目的に始まったのだが、コレクションショーそのものは、TGCのスタイ
ルを福岡流に焼き直したものになっている。
博多織や久留米絣といった素材を使用した商品のお披露目を除けば、地元メーカーやSPAが生産
するメイドインアジアのチープな商品を旬のタレントやモデルに着せて、ランウエイを歩いてもら
う部分もTGCと寸分違わない。お客も一般客を対象とし、商品のインターネット販売や即売まで、
TGCのやり方を踏襲している。
TGCが全国区になっているので、それで人気が出たモデルやタレントを起用すれば、なおさら動
員効果は高いだろうから、他に企画する必要もなくてプロデュースする側もいたって楽だ。それゆ
え、お客の方もFACoの名前より、TGCの福岡版といった感覚の方が強いのではないだろうか。
ただ、FACoが始まった目的は何か。地元のファッション産業の振興や人材の育成のはずである。
これが達成されなければ、イベントをやる意味はない。主催者側はこれについて一方的なデータを
公表するだけで、出展メーカーを交えた総括会議を開催した様子は全くない。
だから、単なるTGCのアレンジ程度でイベントの目的が達成できているかは疑わしいのだ。まし
て、TGCが中国の上海や北京で開かれ人気を博しているのだから、アジアへの発信基地をめざす福
岡のポジションが危うくなっているのは、言うまでもない。
さらに昨年、西日本鉄道が創業100周年を記念して、「ラブコレクション」というファッション
イベントを開催した。これはインターネット販売や即売はないものの、ショーそのものの企画・演
出はタレントや旬の雑誌モデルを使い、TGCを模した一般客を対象としたエンターテインメント。
こちらもデザイナーによる新作クリエーションのお披露目というもではなく、バイヤーやプレス
を対象としたコレクションでないことだけは確かである。今年も10月に開催されるようだ。だとす
れば、FACoのアイデンティティや存在感はますます薄くなる。
うがった見方をすれば、ラブコレが福岡における秋冬向けのイベントで、FACoが春夏向けのイ
ベントで棲み分ければいい。そのようにそれぞれの主催側が陰で談合していくのではとさえ思えて
くる。それが当たらずとも遠からじなら、地元ファッションの振興や人材の育成なんてどうでもい
いということではないか。これから、ますますFACoの真価が問われてくる。
産業の振興や人材の育成を目的に始まったのだが、コレクションショーそのものは、TGCのスタイ
ルを福岡流に焼き直したものになっている。
博多織や久留米絣といった素材を使用した商品のお披露目を除けば、地元メーカーやSPAが生産
するメイドインアジアのチープな商品を旬のタレントやモデルに着せて、ランウエイを歩いてもら
う部分もTGCと寸分違わない。お客も一般客を対象とし、商品のインターネット販売や即売まで、
TGCのやり方を踏襲している。
TGCが全国区になっているので、それで人気が出たモデルやタレントを起用すれば、なおさら動
員効果は高いだろうから、他に企画する必要もなくてプロデュースする側もいたって楽だ。それゆ
え、お客の方もFACoの名前より、TGCの福岡版といった感覚の方が強いのではないだろうか。
ただ、FACoが始まった目的は何か。地元のファッション産業の振興や人材の育成のはずである。
これが達成されなければ、イベントをやる意味はない。主催者側はこれについて一方的なデータを
公表するだけで、出展メーカーを交えた総括会議を開催した様子は全くない。
だから、単なるTGCのアレンジ程度でイベントの目的が達成できているかは疑わしいのだ。まし
て、TGCが中国の上海や北京で開かれ人気を博しているのだから、アジアへの発信基地をめざす福
岡のポジションが危うくなっているのは、言うまでもない。
さらに昨年、西日本鉄道が創業100周年を記念して、「ラブコレクション」というファッション
イベントを開催した。これはインターネット販売や即売はないものの、ショーそのものの企画・演
出はタレントや旬の雑誌モデルを使い、TGCを模した一般客を対象としたエンターテインメント。
こちらもデザイナーによる新作クリエーションのお披露目というもではなく、バイヤーやプレス
を対象としたコレクションでないことだけは確かである。今年も10月に開催されるようだ。だとす
れば、FACoのアイデンティティや存在感はますます薄くなる。
うがった見方をすれば、ラブコレが福岡における秋冬向けのイベントで、FACoが春夏向けのイ
ベントで棲み分ければいい。そのようにそれぞれの主催側が陰で談合していくのではとさえ思えて
くる。それが当たらずとも遠からじなら、地元ファッションの振興や人材の育成なんてどうでもい
いということではないか。これから、ますますFACoの真価が問われてくる。