米国では11月23日の「ブラックフライデー」を境に年間でいちばん個人消費が盛んになると言われる。
今年もディスカウントストアのウォルマートは、22日だけで約2,200万人の客数があったと発表。また、この日に売れたのはタオル180万枚、テレビ130万台、人形130万体、自転車25万台というから、この日で1年分の利益を取り戻して店を黒字化にしていくというのも頷ける。
ただ、今年はプロモーションのやり方が変わったようだ。米CEOのビル・サイモン氏は「お客はもうチラシやCMは見ないから」と、ストレートに店舗の臨場感を伝えて需要を喚起する手法に切り替えた。
それは自らはじめ役員や店長らがカメラに向かって年末商戦開始日の感想を語ったり、店を訪れたお客から買いたい商品や価格ついてのコメントを拾ったりして、その動画をネットにアップするといった今までにないものだ。まさにSNS先進国の米国らしい販促手法である。
マス媒体を使う時代はとうの昔に終わったということだろう。今さらそんなものを使うくらいなら、その分を価格に還元した方がよほどリターンは大きいという判断のようだ。
一方、ニューヨークでは、25日からクリスマスの飾り付けが急ピッチで始まっている。こちらはカルチャルな街らしく、あちこちに巨大なクリスマスを象徴するモニュメントが飾られる。
アーチストが創作したオブジェは、 ウォルマートとは打って変わって、 いたってアナログな世界観だ。ミッドタウンビル前の噴水プールに置かれた円球型の巨大オーナメンは圧巻だ。ユ二ークなものではリップスティックか、カラフルなミサイルか、おそらく夜間には点灯するであろうオブジェもある。
とにかくクリエーターやアーチストが思いのままに表現して、街のクリスマスムードを盛り上げている。
デジタル、アナログの両方が混在するのも、プロモーション先進国の米国らしい。
日本はというと、今年のクリスマスキャンペーンは不景気や選挙モードからか、いまいち盛り上がりに欠けている。ハロウィーンが終わると、いきなり商業施設ではクリスマスツリーが飾られ始めた。おそらく11月にボーナスが出る官公庁を当て込んだと見られるが、あまりに早過ぎて何かピンとこない。
おまけにNYと違ってクリスマスツリーや飾りが非常にチンケだ。経費が欠けられないからだろうか、どれもパッとしない。ならばウォルマートのようにトップ自ら「来て見て買ってください」なんて言っても良さそうなものだが、それも経営者としてのプライドが許さないのか。
結局、オーソドックスなツリーやオーナメント、加えてマス媒体を使ったおざなりの広告戦略。キラーコンテンツって言っても、あげくの果てがAKBってことしか能がないようだ。
しかし、カネをかけなくてもいくらでもクリスマスプロモーションはできる。そこで筆者がここ数年に制作したアイキャッチャーやデコレーションを紹介しよう。
まず、円球型のオーナメントにヒントを得たのがカラー電球を使ったもの。クリスマスカラーの赤と緑のコントラストをモチーフにごくごくシンプルなクリスマスアイキャッチャーを考えた。
ただ、撮影は意外に難しかった。グリーンの電球を赤バックで撮影すると、中は真っ黒になってハイライトが出ない。中のフィラメントを映し出すにはトップからのスポットが必要になるが、そうすると今度は陰が出なくなる。筆者のアートディレクションは秀逸でも、カメラマン泣かせのクリスマスワークだった。
でも、費用は1個数百円の電球とキャンバス地の布、そして撮影費のみ。アイデアだけで経費はほとんどかかっていない。
続いて考えたのが、一筆書きのデフォルメしたツリーイラストに、装飾用のLEDライトを組み合わせたもの。イラストレーターには申し訳ないが、紙面にランダムに穴をあけて裏からライトの先を出して被写体は完成。あとはライトが点滅するので、シャッタースピードを遅くして撮影した。
イラストレーターだけでも、グラフィックデザイナーだけでもできないアートディレションの妙と言えるアイキャッチャー。こちらもLEDライトは100円ショップで調達したから、費用はイラスト代と撮影費くらいで、それほどかかっていない。
そして、ここ数年でいちばん労力をかけたのが、本物のスギの枝やスマイラックスなど使ったモニュメントだ。 金アカのジャケットは、テキスタイルメーカーからベルベットの生地を調達して、オリジナルで制作した。
ボトムのクリノリンラインは、どうして出したかというのは、スカート同様に枠組みを作っただけ。詳細は企業秘密にしておこう。それにしてもこちらも経費もそれほどかかっていない。杉の枝はスタッフの実家などから切っておくってもらったものだからだ。
クリスマスといっても、日本ではロックフェラービルのようなツリーは少なく、商業施設ではここ数年はペットボトルやLEDを使ったエコ&ハイテク路線が主流だった。しかし、それらもたいして珍しくもなく、デベロッパーやそこに出入りする代理店の企画はマンネリ化している。
下請けのクリエーターもどきも、限られた予算でやるのは難しいと言い訳がましく語るだろうが、要はそれらのクリエイティビティも限界に来てるってことだろう。とどのつまり、予算をかけてもタレント呼ぶのが関の山になってしまう。
クリスマスキャンペーンのオーナメントやデコレーションは、一考すべき時期に来ている思う。ならばこの際、SP業者なんかに丸投げするより、若者のアイデアに期待するのも一つの手ではないだろうか。
プロのクリエーターでは自分のスキルの範囲内しか融通が利かないので、素材を無視した発想でどんどん遊んでもいいのではないか。また、スタイリストもここら辺まで作り上げて一人前と言われるのではないか。何もファッションショーや雑誌の衣装揃えだけが仕事ではないはずだ。
経費経費というしがらみに縛られる代理店やその配下のマンネリクリエーターより、制約がない素人の若者の方がクリエイティビティなオーナメントやデコレーションができるような気がする。もちろん、彼らをコントロールするディレクターに資質が必要なのはいうまでもないが。
今年もディスカウントストアのウォルマートは、22日だけで約2,200万人の客数があったと発表。また、この日に売れたのはタオル180万枚、テレビ130万台、人形130万体、自転車25万台というから、この日で1年分の利益を取り戻して店を黒字化にしていくというのも頷ける。
ただ、今年はプロモーションのやり方が変わったようだ。米CEOのビル・サイモン氏は「お客はもうチラシやCMは見ないから」と、ストレートに店舗の臨場感を伝えて需要を喚起する手法に切り替えた。
それは自らはじめ役員や店長らがカメラに向かって年末商戦開始日の感想を語ったり、店を訪れたお客から買いたい商品や価格ついてのコメントを拾ったりして、その動画をネットにアップするといった今までにないものだ。まさにSNS先進国の米国らしい販促手法である。
マス媒体を使う時代はとうの昔に終わったということだろう。今さらそんなものを使うくらいなら、その分を価格に還元した方がよほどリターンは大きいという判断のようだ。
一方、ニューヨークでは、25日からクリスマスの飾り付けが急ピッチで始まっている。こちらはカルチャルな街らしく、あちこちに巨大なクリスマスを象徴するモニュメントが飾られる。
アーチストが創作したオブジェは、 ウォルマートとは打って変わって、 いたってアナログな世界観だ。ミッドタウンビル前の噴水プールに置かれた円球型の巨大オーナメンは圧巻だ。ユ二ークなものではリップスティックか、カラフルなミサイルか、おそらく夜間には点灯するであろうオブジェもある。
とにかくクリエーターやアーチストが思いのままに表現して、街のクリスマスムードを盛り上げている。
デジタル、アナログの両方が混在するのも、プロモーション先進国の米国らしい。
日本はというと、今年のクリスマスキャンペーンは不景気や選挙モードからか、いまいち盛り上がりに欠けている。ハロウィーンが終わると、いきなり商業施設ではクリスマスツリーが飾られ始めた。おそらく11月にボーナスが出る官公庁を当て込んだと見られるが、あまりに早過ぎて何かピンとこない。
おまけにNYと違ってクリスマスツリーや飾りが非常にチンケだ。経費が欠けられないからだろうか、どれもパッとしない。ならばウォルマートのようにトップ自ら「来て見て買ってください」なんて言っても良さそうなものだが、それも経営者としてのプライドが許さないのか。
結局、オーソドックスなツリーやオーナメント、加えてマス媒体を使ったおざなりの広告戦略。キラーコンテンツって言っても、あげくの果てがAKBってことしか能がないようだ。
しかし、カネをかけなくてもいくらでもクリスマスプロモーションはできる。そこで筆者がここ数年に制作したアイキャッチャーやデコレーションを紹介しよう。
まず、円球型のオーナメントにヒントを得たのがカラー電球を使ったもの。クリスマスカラーの赤と緑のコントラストをモチーフにごくごくシンプルなクリスマスアイキャッチャーを考えた。
ただ、撮影は意外に難しかった。グリーンの電球を赤バックで撮影すると、中は真っ黒になってハイライトが出ない。中のフィラメントを映し出すにはトップからのスポットが必要になるが、そうすると今度は陰が出なくなる。筆者のアートディレクションは秀逸でも、カメラマン泣かせのクリスマスワークだった。
でも、費用は1個数百円の電球とキャンバス地の布、そして撮影費のみ。アイデアだけで経費はほとんどかかっていない。
続いて考えたのが、一筆書きのデフォルメしたツリーイラストに、装飾用のLEDライトを組み合わせたもの。イラストレーターには申し訳ないが、紙面にランダムに穴をあけて裏からライトの先を出して被写体は完成。あとはライトが点滅するので、シャッタースピードを遅くして撮影した。
イラストレーターだけでも、グラフィックデザイナーだけでもできないアートディレションの妙と言えるアイキャッチャー。こちらもLEDライトは100円ショップで調達したから、費用はイラスト代と撮影費くらいで、それほどかかっていない。
そして、ここ数年でいちばん労力をかけたのが、本物のスギの枝やスマイラックスなど使ったモニュメントだ。 金アカのジャケットは、テキスタイルメーカーからベルベットの生地を調達して、オリジナルで制作した。
ボトムのクリノリンラインは、どうして出したかというのは、スカート同様に枠組みを作っただけ。詳細は企業秘密にしておこう。それにしてもこちらも経費もそれほどかかっていない。杉の枝はスタッフの実家などから切っておくってもらったものだからだ。
クリスマスといっても、日本ではロックフェラービルのようなツリーは少なく、商業施設ではここ数年はペットボトルやLEDを使ったエコ&ハイテク路線が主流だった。しかし、それらもたいして珍しくもなく、デベロッパーやそこに出入りする代理店の企画はマンネリ化している。
下請けのクリエーターもどきも、限られた予算でやるのは難しいと言い訳がましく語るだろうが、要はそれらのクリエイティビティも限界に来てるってことだろう。とどのつまり、予算をかけてもタレント呼ぶのが関の山になってしまう。
クリスマスキャンペーンのオーナメントやデコレーションは、一考すべき時期に来ている思う。ならばこの際、SP業者なんかに丸投げするより、若者のアイデアに期待するのも一つの手ではないだろうか。
プロのクリエーターでは自分のスキルの範囲内しか融通が利かないので、素材を無視した発想でどんどん遊んでもいいのではないか。また、スタイリストもここら辺まで作り上げて一人前と言われるのではないか。何もファッションショーや雑誌の衣装揃えだけが仕事ではないはずだ。
経費経費というしがらみに縛られる代理店やその配下のマンネリクリエーターより、制約がない素人の若者の方がクリエイティビティなオーナメントやデコレーションができるような気がする。もちろん、彼らをコントロールするディレクターに資質が必要なのはいうまでもないが。