少し前、下着メーカーのワコールを傘下にもつワコールホールディングス(以下、ワコールHD)の決算発表を見た。2024年3月期は連結で、売上高に当たる売上収益が前期比0.7%減の1872億800万円、純損益は86億3200万円の赤字。赤字は2年連続で、赤字幅は前期の16億4300万円から大きく拡大した。業績低迷の要因は、国内外で主力商品の下着の販売が振るわなかったこと。また、米国の女性用下着事業からの一部撤退に伴い、減損損失を計上したことなどが影響した。
国内の下着事業では、高級ラインの「ユエ」や「サルート」が堅調に推移した一方で、中価格帯ブランドの「ワコール」や「ウイング」は苦戦した。これは前期から続く傾向で、実店舗で新規顧客の獲得ができていないのが大きな要因だ。傘下のピーチ・ジョンもタレントの藤田ニコルを起用したプロモーションやコラボ企画も効果は出ずに、全てにおいて営業赤字。米国事業でも一部の取引先で仕入れ抑制が継続して低調だった。
ワコールHDはワコールの業績が好転しない中、構造改革の一環からグループ会社の見直しに手をつけた。同社が所有するマネキン製造・内装施工の(株)七彩の株式544万株のうち、463万株を物流会社のセンコーグループホールディングス(以下、センコーグループ)に譲渡する。これにより、同社が所有する七彩の株式は議決権所有割合で15%弱となり、同社の子会社から外れることになる。ワコールが七彩を子会社化したのは1987年だから、協働効果を発揮した時期もあったと思うが、近年はそれも薄れているようだ。
そもそも七彩とはどんな企業か。アパレル業界、特に店作りやディスプレイなどに携わった経験がある方はご存知のと思う。ただ、黒子的な会社なので一般にはあまり知られていない。筆者も業界に入った1980年代の初め、取引先の専門店でよく同社の営業の方と一緒になった。社名はすでに七彩となっていたが、店舗のマネージャーやスタッフの間では「七彩工芸」という旧名で呼ばれていた。それだけ長きにわたって御用達にされていた証左だろう。総じて同社のマネキンに対する専門家の評価は高く、あるディスプレイヤーは「マネキンは七彩、什器はアルス」と語っていたほどだ。
ワコールHDは、2期前の19年3月期から21年3月期の中期計画において、七彩の戦略について言及。そこでは、「この3ヵ年で利益重視の経営を高めて、営業利益率4%水準の実現に取り組む」としていた。「人手不足やAI(人工知能)の普及を背景に事業環境が変化する中、マネキン事業の需要増加」を見込んだ。「飲食業界や空港、学校といった公共施設のハイセンスな内装工事の需要も高まっていることから、これらを好機と捉え百貨店、アパレルメーカーだけでなく、新しい業種の工事事業の顧客開拓を進めていく」との目標も掲げていた。
ワコールHDが22年6月に策定した「VISION 2030(23年3月期~25年3月期の中期計画)」にも、七彩の数値目標が掲げられている。25年3月期で、売上収益が83億1500万円、増減率(対23/3期)が29.5%増、事業利益が2億8000万円、売上比が3.4%。21年3月期が営業利益率で4%を目標に掲げていたから、やや下方修正している。それでも、計画から1年で七彩を子会社から外したのは、目標通りにいきそうにないからだろう。決算発表では経営陣は「シナジー効果がない」と語っている。
まあ、ワコールHDとすれば、本業の下着事業が苦戦を強いられる中、七彩がそれをカバーして余りある営業収益を上げていれば別だ。だが、中期計画に掲げた営業利益率4%すら難しく、低空飛行が続いている状態では、シナジー効果がないとの判断に至っても仕方ない。ただ、アパレル業界の人材不足に対応すべくデジタルコンパニオンやアバターを超え、AIを駆使したロボット開発などに投資をできなかったことはあるだろう。また、内装工事の需要は東京などの大都市では活発だが、地方は百貨店が不振でSC開発に絞られている。飲食店や空港、学校などの新規開拓にしても、あまり進んでいなかったと考えられる。
物流会社傘下で七彩はブラッシュアップできるか
マネキン製造会社の事業モデルとはどんなものか。マネキンは製造しても販売は一部に限られ、多くは取引先との「リース契約」になる。アパレルメーカーにしても、ショップにしても、マネキンは商品をディスプレイするツールになる。商品にはトレンドがあり、シーズンごとで変わる。トレンドが変われば、それに合わせてマネキンも変えた方がいいかなとなる。だから、マネキンにも人間のような目鼻立ちや体つきのもの。完全に塗りつぶしたもの。デフォルメして形状を留めないものなど、いろんなデザインや仕様がある。
ディスプレイに携わる人間なら、ブランドイメージやウエアのテイストで、使用するマネキンを変えたくなる。フェミニンでコンサバな商品なら、より人間に近いマネキンの方が見た人は服を着用した時をイメージしやすい。逆にミニマルなデザインの服であれば、デフォルメされたものやコーディネートスタンドの方がウエアは訴求される。同じマネキンを何年も使い続けないなら買い取る必要もなく、一定の期間だけリースをすればいいわけだ。それに買い取れば資産となり、償却まで課税の対象となるが、リースなら経費で落とすことができる。
また、製造会社はマネキンを販売すれば1体分の売上げしか立たないが、リース契約するとリース料は1体分の価格より高く設定できる。契約が終了すると、マネキンを回収してリサイクルに回すことになるが、新しいもののリース契約が結ばれれば継続して売上げが立つ。販売するよりリースの方が収益に貢献してくれるわけだ。もちろん、仮縫い用の人台(ボディ/トルソー)のように、デザイナーのアトリエや専門学校などに販売されるものもある。こちらは歴史がある海外ブランドの人気が高く、国内のマネキン製造業者が販売代理店になっているケースが多い。
1867年に創業したフランスのマネキンメーカー、STOCKMAN(ストックマン)がそうだ。人間の理想的なポロポーションというか、バスト、ウエスト、ヒップの美しい黄金比率を表すボディは、創業からずっとハンドメイドで製造されている。衣服をデザインする上で欠かせないツールとして世界中で愛用され、有名デザイナーのアトリエから生み出される服は、ストックマンのボディ上で作られていると言われるほどだ。七彩は2007年からストックマンのボディを製造販売するSIEGEL & STOCKMAN社の日本総代理店となっており、親会社が変わっても販売は継続されると思われる。
一方、内装施工については、店舗の出店や改装の動向が売上げに影響する。一般にショップが新規出店したり売場が改装されるのは、春と秋が多い。つまり、施工はそれに合わせて集中するため、一年を通じて見ると売上げに波がある。それを解消するには店舗以外の取引先を開拓しなければならない。ただ、皇室の御所や迎賓館、各国の大使館、各種舞台、高級ホテルなどの内装施工を受注するとなると、営業力や設計ノウハウ、技術の蓄積や実績がものを言う。七彩がワコールHD傘下入りした後、そうした分野に参入するため、どこまで人材に投資し育成してきたかと言えば、疑問だ。
七彩は長年、マネキンのリースで百貨店や路面の専門店のみを相手にしてきた面は否めない。それはルーティンワーク=御用聞営業に満足してしまう企業風土を生み、新規の顧客開拓へのチャレンジ精神を育てていなかったのではないか。ワールドHDの傘下入りし親会社から経営陣が来たところで、急に企業風土や社員の気質が変わるとは思えない。経営陣はそれを時間をかけて変えていこうとしたと思うが、大手百貨店の本店改装プロジェクトを請け負えば、売上げもポンと上がる。会社全体がそれに甘んじれば、中期的な戦略を立てても実効性を欠く。なおさら、下着事業との協働効果は出にくい。
では、七彩にとってセンコーグループ入りはどんなメリットがあるのか。マネキンの搬入や入れ替えはトラックを使う。かつては七彩の各支店には取引先に出向く営業マンとは別にトラックのドライバーがいて、搬入や入れ替えに当たっていた。百貨店のような大型店舗では専用駐車場にトラックを停めることができるが、路面の専門店は路駐して搬入していた。その後、道路交通法が改正され、駐車違反が厳しくなったことを考えると、トラック輸送のノウハウをもつところが搬入や入れ替えを行った方が無難かもしれない。それだけがセンコーグループが親会社になった理由とは思えないが、マネキンや什器のストックでは物流倉庫を活用できるわけだから、物流会社との親和性はなくもない。
2025年には大阪・関西万博が開催される。開催まで1年を切ったが、建設費の高騰や人手不足の影響で、工事は計画通りに進んでいない。万博は内装業者にかなりの好影響を及ぼすと言われる。万博工事があった年には乃村工藝社などの売上げがぐんと伸びているからだ。七彩が万博に参画しているかはわからないが、今回はいつものとはかなり事情が異なるようで、各事業者ともそれほど期待していないのかもしれない。七彩が本流の店舗関連に資源を集中させながら新規開拓にも挑むのであれば、そちらの方が賢明な判断と言えるだろう。
業界に入った頃、取引先の専門店に行くと、七彩の営業マンの商談が長引いて待たされることがあった。彼が商談を終えて去った後、バイヤーさんがポツリと語った話が今でも記憶に残る。「売場作りには定数や定量のルールがあるんだよ。定数とは什器一台を置くのに必要なスペースを決め、それあたりの適正な什器の数をはじき出すこと」「什器一台あたりの適正な商品量を決めるのが定量。さっきの営業マン、その辺をちゃんと提案してくれるんだよ。さすが七彩というか、彼が優れているんだけどね」
七彩のマネキンは業界でもファンは多く、ディスプレイツールや什器も定評がある。リサイクル品を一般にリセールするだけでなく、賃貸の住宅やマンションのリノベーションに活用してもいいのではないか。SDGsには賛否両論が渦巻いているが、マネキンのリサイクルを積極的にビジネスにしていくことは重要だと思う。加えてバーチャル向けのイノベーションは引く手あまたで、ネット通販対応のデジタルマネキンの需要も高まっている。アパレル業界の黒子として御用聞営業に甘んじてきた部分から抜け出し、自らをブラッシュアップして新たなビジネスモデルを確立できるか。今後の七彩を期待をもって見ていきたい。
国内の下着事業では、高級ラインの「ユエ」や「サルート」が堅調に推移した一方で、中価格帯ブランドの「ワコール」や「ウイング」は苦戦した。これは前期から続く傾向で、実店舗で新規顧客の獲得ができていないのが大きな要因だ。傘下のピーチ・ジョンもタレントの藤田ニコルを起用したプロモーションやコラボ企画も効果は出ずに、全てにおいて営業赤字。米国事業でも一部の取引先で仕入れ抑制が継続して低調だった。
ワコールHDはワコールの業績が好転しない中、構造改革の一環からグループ会社の見直しに手をつけた。同社が所有するマネキン製造・内装施工の(株)七彩の株式544万株のうち、463万株を物流会社のセンコーグループホールディングス(以下、センコーグループ)に譲渡する。これにより、同社が所有する七彩の株式は議決権所有割合で15%弱となり、同社の子会社から外れることになる。ワコールが七彩を子会社化したのは1987年だから、協働効果を発揮した時期もあったと思うが、近年はそれも薄れているようだ。
そもそも七彩とはどんな企業か。アパレル業界、特に店作りやディスプレイなどに携わった経験がある方はご存知のと思う。ただ、黒子的な会社なので一般にはあまり知られていない。筆者も業界に入った1980年代の初め、取引先の専門店でよく同社の営業の方と一緒になった。社名はすでに七彩となっていたが、店舗のマネージャーやスタッフの間では「七彩工芸」という旧名で呼ばれていた。それだけ長きにわたって御用達にされていた証左だろう。総じて同社のマネキンに対する専門家の評価は高く、あるディスプレイヤーは「マネキンは七彩、什器はアルス」と語っていたほどだ。
ワコールHDは、2期前の19年3月期から21年3月期の中期計画において、七彩の戦略について言及。そこでは、「この3ヵ年で利益重視の経営を高めて、営業利益率4%水準の実現に取り組む」としていた。「人手不足やAI(人工知能)の普及を背景に事業環境が変化する中、マネキン事業の需要増加」を見込んだ。「飲食業界や空港、学校といった公共施設のハイセンスな内装工事の需要も高まっていることから、これらを好機と捉え百貨店、アパレルメーカーだけでなく、新しい業種の工事事業の顧客開拓を進めていく」との目標も掲げていた。
ワコールHDが22年6月に策定した「VISION 2030(23年3月期~25年3月期の中期計画)」にも、七彩の数値目標が掲げられている。25年3月期で、売上収益が83億1500万円、増減率(対23/3期)が29.5%増、事業利益が2億8000万円、売上比が3.4%。21年3月期が営業利益率で4%を目標に掲げていたから、やや下方修正している。それでも、計画から1年で七彩を子会社から外したのは、目標通りにいきそうにないからだろう。決算発表では経営陣は「シナジー効果がない」と語っている。
まあ、ワコールHDとすれば、本業の下着事業が苦戦を強いられる中、七彩がそれをカバーして余りある営業収益を上げていれば別だ。だが、中期計画に掲げた営業利益率4%すら難しく、低空飛行が続いている状態では、シナジー効果がないとの判断に至っても仕方ない。ただ、アパレル業界の人材不足に対応すべくデジタルコンパニオンやアバターを超え、AIを駆使したロボット開発などに投資をできなかったことはあるだろう。また、内装工事の需要は東京などの大都市では活発だが、地方は百貨店が不振でSC開発に絞られている。飲食店や空港、学校などの新規開拓にしても、あまり進んでいなかったと考えられる。
物流会社傘下で七彩はブラッシュアップできるか
マネキン製造会社の事業モデルとはどんなものか。マネキンは製造しても販売は一部に限られ、多くは取引先との「リース契約」になる。アパレルメーカーにしても、ショップにしても、マネキンは商品をディスプレイするツールになる。商品にはトレンドがあり、シーズンごとで変わる。トレンドが変われば、それに合わせてマネキンも変えた方がいいかなとなる。だから、マネキンにも人間のような目鼻立ちや体つきのもの。完全に塗りつぶしたもの。デフォルメして形状を留めないものなど、いろんなデザインや仕様がある。
ディスプレイに携わる人間なら、ブランドイメージやウエアのテイストで、使用するマネキンを変えたくなる。フェミニンでコンサバな商品なら、より人間に近いマネキンの方が見た人は服を着用した時をイメージしやすい。逆にミニマルなデザインの服であれば、デフォルメされたものやコーディネートスタンドの方がウエアは訴求される。同じマネキンを何年も使い続けないなら買い取る必要もなく、一定の期間だけリースをすればいいわけだ。それに買い取れば資産となり、償却まで課税の対象となるが、リースなら経費で落とすことができる。
また、製造会社はマネキンを販売すれば1体分の売上げしか立たないが、リース契約するとリース料は1体分の価格より高く設定できる。契約が終了すると、マネキンを回収してリサイクルに回すことになるが、新しいもののリース契約が結ばれれば継続して売上げが立つ。販売するよりリースの方が収益に貢献してくれるわけだ。もちろん、仮縫い用の人台(ボディ/トルソー)のように、デザイナーのアトリエや専門学校などに販売されるものもある。こちらは歴史がある海外ブランドの人気が高く、国内のマネキン製造業者が販売代理店になっているケースが多い。
1867年に創業したフランスのマネキンメーカー、STOCKMAN(ストックマン)がそうだ。人間の理想的なポロポーションというか、バスト、ウエスト、ヒップの美しい黄金比率を表すボディは、創業からずっとハンドメイドで製造されている。衣服をデザインする上で欠かせないツールとして世界中で愛用され、有名デザイナーのアトリエから生み出される服は、ストックマンのボディ上で作られていると言われるほどだ。七彩は2007年からストックマンのボディを製造販売するSIEGEL & STOCKMAN社の日本総代理店となっており、親会社が変わっても販売は継続されると思われる。
一方、内装施工については、店舗の出店や改装の動向が売上げに影響する。一般にショップが新規出店したり売場が改装されるのは、春と秋が多い。つまり、施工はそれに合わせて集中するため、一年を通じて見ると売上げに波がある。それを解消するには店舗以外の取引先を開拓しなければならない。ただ、皇室の御所や迎賓館、各国の大使館、各種舞台、高級ホテルなどの内装施工を受注するとなると、営業力や設計ノウハウ、技術の蓄積や実績がものを言う。七彩がワコールHD傘下入りした後、そうした分野に参入するため、どこまで人材に投資し育成してきたかと言えば、疑問だ。
七彩は長年、マネキンのリースで百貨店や路面の専門店のみを相手にしてきた面は否めない。それはルーティンワーク=御用聞営業に満足してしまう企業風土を生み、新規の顧客開拓へのチャレンジ精神を育てていなかったのではないか。ワールドHDの傘下入りし親会社から経営陣が来たところで、急に企業風土や社員の気質が変わるとは思えない。経営陣はそれを時間をかけて変えていこうとしたと思うが、大手百貨店の本店改装プロジェクトを請け負えば、売上げもポンと上がる。会社全体がそれに甘んじれば、中期的な戦略を立てても実効性を欠く。なおさら、下着事業との協働効果は出にくい。
では、七彩にとってセンコーグループ入りはどんなメリットがあるのか。マネキンの搬入や入れ替えはトラックを使う。かつては七彩の各支店には取引先に出向く営業マンとは別にトラックのドライバーがいて、搬入や入れ替えに当たっていた。百貨店のような大型店舗では専用駐車場にトラックを停めることができるが、路面の専門店は路駐して搬入していた。その後、道路交通法が改正され、駐車違反が厳しくなったことを考えると、トラック輸送のノウハウをもつところが搬入や入れ替えを行った方が無難かもしれない。それだけがセンコーグループが親会社になった理由とは思えないが、マネキンや什器のストックでは物流倉庫を活用できるわけだから、物流会社との親和性はなくもない。
2025年には大阪・関西万博が開催される。開催まで1年を切ったが、建設費の高騰や人手不足の影響で、工事は計画通りに進んでいない。万博は内装業者にかなりの好影響を及ぼすと言われる。万博工事があった年には乃村工藝社などの売上げがぐんと伸びているからだ。七彩が万博に参画しているかはわからないが、今回はいつものとはかなり事情が異なるようで、各事業者ともそれほど期待していないのかもしれない。七彩が本流の店舗関連に資源を集中させながら新規開拓にも挑むのであれば、そちらの方が賢明な判断と言えるだろう。
業界に入った頃、取引先の専門店に行くと、七彩の営業マンの商談が長引いて待たされることがあった。彼が商談を終えて去った後、バイヤーさんがポツリと語った話が今でも記憶に残る。「売場作りには定数や定量のルールがあるんだよ。定数とは什器一台を置くのに必要なスペースを決め、それあたりの適正な什器の数をはじき出すこと」「什器一台あたりの適正な商品量を決めるのが定量。さっきの営業マン、その辺をちゃんと提案してくれるんだよ。さすが七彩というか、彼が優れているんだけどね」
七彩のマネキンは業界でもファンは多く、ディスプレイツールや什器も定評がある。リサイクル品を一般にリセールするだけでなく、賃貸の住宅やマンションのリノベーションに活用してもいいのではないか。SDGsには賛否両論が渦巻いているが、マネキンのリサイクルを積極的にビジネスにしていくことは重要だと思う。加えてバーチャル向けのイノベーションは引く手あまたで、ネット通販対応のデジタルマネキンの需要も高まっている。アパレル業界の黒子として御用聞営業に甘んじてきた部分から抜け出し、自らをブラッシュアップして新たなビジネスモデルを確立できるか。今後の七彩を期待をもって見ていきたい。