このほどキャナルシティ博多の増床計画の概要が発表された。天神を含めた商業施設どうしの激しいテナントリーシング。デフレが続くファッションマーケット。有力なウエア&クロージングのコンテンツ不足。そして、福岡という立地特性から、有力SPAや外資を中心とした「メガストア」集積に落ち着いた。
振り返れば、この増床計画はすったもんだした。デベロッパーの福岡地所は当初、日本初という冠の欲しさ、モノ離れやファッション消費欲の減退などから、エンターテインメント性のある強力な吸引装置として「ディズニーランド」に白羽の矢を立てた。誘致に際しては地元財界にもバックアップを願い出て、交渉していたのは周知の事実である。
ただ、天下のディズニーが延べ床面積2万m2足らずで、自分たちの理念を表現できると考えるはずもない。ディズニーランドの基本理念は「100%の完成はない」というものだ。つまり、永遠にキャラクターなり、アトラクションなりを作り続ける。だから、ゲスト(お客)は一度来て満足するのではなく、リピーターとなって何度も訪れる。それをキャスト(スタッフ)は理解して日々の仕事に取り組むのである。そんな事さえ、わかっていない間抜けな不動産屋と、時代錯誤の銀行やインフラ企業の幹部連中は、ディズニーにあっさり袖にされてしまったのである。
福岡地所としては、日本で初めて建築家ジョン・ジャーディ-氏によるショッピングセンターを開業した実績をかざせば、ディズニーもオリエンタルランドも首を振ると思ったのだろうか。結局、モノ離れやファッション消費欲の減退という当初の理由は置き去りにされ、昨今の国内外の勝ち組企業によるファッション系テナントに落ち着いてしまった。
まあ、キャナルシティ博多は博多駅に近い立地であること、九州新幹線開業による広域集客、韓国や中国からの旅行客増加など、商業施設としての期待度は高い。このことから、詰まるところ物販テナントでも十分行けるとの路線変更だったと思われる。
ただ、テナントの顔ぶれを見る限り、H&Mを除いて目新しいものはない。ザラやフランフランは現在キャナルシティ博多に店舗を構えているし、ユニクロもかつてはスーパースター店長のひとり、弥永利司氏が率いる大型店を出店していた。
コレクトポイントは店名は新しいものの、ローリーズファームやヘザーなど7ブランドを集積するマルチ業態。それぞれのブランドショップは天神などに展開されている。
それゆえ、既存店はさらに大型化またはマルチ化して品揃えの幅や奥行きを広げ、老弱男女を捉えようということだろうし、ユニクロはVMDや空間演出を際出させたフラッグシップショップ出店で決まり。フランフランは銀座店のようなよりヤング向けの雑貨を充実させ、カラーMDで魅せる店舗になるのは容易に想像がつく。ソラリアプラザ天神店がMDを変更したのも、新キャナルシティ博多出店の準備で納得づく判断だろう。
H&Mは九州初上陸ということもあり、集客、売上げとも相当期待できる。しかし、商品感度やクオリティの面で他業態を圧倒するほどのキラーコンテンツになるとは思えない。所詮、ファストファッションには変わりないのだ。
もっとも、ザラやフランフランの空きスペースにどんなファッションテナントが入るのか。むしろ、こちらの方が気になる。デベロッパーとしては天神と博多駅に挟まれる立地で、どこをリーシングするかは悩むところ。テナント側もロケーション、客層、デベロッパーの性格を考えると、オファーに二つ返事はしないだろう。
現在の業界においてファストファッション以外で、強力なコンテンツは限られている。セレブカジュアルのセレクトショップ「キットソン」は、ファーストリテイリングに強力なラブコールを受け、またユニクロに恩がある三菱商事の意向もあったのか、パルコではなくミーナ天神に出店した。それゆえ、ここと並び好調なLAセレクトショップ「ロンハーマン」の動向が注目される。1号店は同店を手がけるサザビーリーグ本社ビルだったが、2号店は二子玉川の高島屋と郊外に出店した。しかも、来春にはパルが運営する神戸三宮の商業施設への出店と、西に向かって店舗拡大を進めている。
品揃えはロンハーマンの他にステラ・マッカートニーやマーク・ジェイコブス、クロエなどの海外ベターブランドと、コラボアイテム、雑貨などだが、チープな商品も充実させた多彩なラインナップは魅力だ。
セレクトショップだから路面店がいいとの考えがあるかもしれないが、天神界隈となるとスペースに限りがあるし、近年の大名地区は町のエネルギーを欠いている。その点、年間を通じてコンスタントの集客力を誇るキャナルシティ博多は、出店側にとって魅力的に映るのではないだろうか。仮に百貨店からオファーがあったとしても、サザビーリーグの内部には「すでにあの器は終わった」と感じている諸兄が多いはずだ。
ザラの跡地ならフロアの雰囲気もいいし、天神からの集客も果たせるだろう。何より買い物がゆっくりできる時間的なゆとりを感じさせる。ファッションアッパーにとっては、わざわざ行きたくなるようなショップの方が待ち遠しいのである。
振り返れば、この増床計画はすったもんだした。デベロッパーの福岡地所は当初、日本初という冠の欲しさ、モノ離れやファッション消費欲の減退などから、エンターテインメント性のある強力な吸引装置として「ディズニーランド」に白羽の矢を立てた。誘致に際しては地元財界にもバックアップを願い出て、交渉していたのは周知の事実である。
ただ、天下のディズニーが延べ床面積2万m2足らずで、自分たちの理念を表現できると考えるはずもない。ディズニーランドの基本理念は「100%の完成はない」というものだ。つまり、永遠にキャラクターなり、アトラクションなりを作り続ける。だから、ゲスト(お客)は一度来て満足するのではなく、リピーターとなって何度も訪れる。それをキャスト(スタッフ)は理解して日々の仕事に取り組むのである。そんな事さえ、わかっていない間抜けな不動産屋と、時代錯誤の銀行やインフラ企業の幹部連中は、ディズニーにあっさり袖にされてしまったのである。
福岡地所としては、日本で初めて建築家ジョン・ジャーディ-氏によるショッピングセンターを開業した実績をかざせば、ディズニーもオリエンタルランドも首を振ると思ったのだろうか。結局、モノ離れやファッション消費欲の減退という当初の理由は置き去りにされ、昨今の国内外の勝ち組企業によるファッション系テナントに落ち着いてしまった。
まあ、キャナルシティ博多は博多駅に近い立地であること、九州新幹線開業による広域集客、韓国や中国からの旅行客増加など、商業施設としての期待度は高い。このことから、詰まるところ物販テナントでも十分行けるとの路線変更だったと思われる。
ただ、テナントの顔ぶれを見る限り、H&Mを除いて目新しいものはない。ザラやフランフランは現在キャナルシティ博多に店舗を構えているし、ユニクロもかつてはスーパースター店長のひとり、弥永利司氏が率いる大型店を出店していた。
コレクトポイントは店名は新しいものの、ローリーズファームやヘザーなど7ブランドを集積するマルチ業態。それぞれのブランドショップは天神などに展開されている。
それゆえ、既存店はさらに大型化またはマルチ化して品揃えの幅や奥行きを広げ、老弱男女を捉えようということだろうし、ユニクロはVMDや空間演出を際出させたフラッグシップショップ出店で決まり。フランフランは銀座店のようなよりヤング向けの雑貨を充実させ、カラーMDで魅せる店舗になるのは容易に想像がつく。ソラリアプラザ天神店がMDを変更したのも、新キャナルシティ博多出店の準備で納得づく判断だろう。
H&Mは九州初上陸ということもあり、集客、売上げとも相当期待できる。しかし、商品感度やクオリティの面で他業態を圧倒するほどのキラーコンテンツになるとは思えない。所詮、ファストファッションには変わりないのだ。
もっとも、ザラやフランフランの空きスペースにどんなファッションテナントが入るのか。むしろ、こちらの方が気になる。デベロッパーとしては天神と博多駅に挟まれる立地で、どこをリーシングするかは悩むところ。テナント側もロケーション、客層、デベロッパーの性格を考えると、オファーに二つ返事はしないだろう。
現在の業界においてファストファッション以外で、強力なコンテンツは限られている。セレブカジュアルのセレクトショップ「キットソン」は、ファーストリテイリングに強力なラブコールを受け、またユニクロに恩がある三菱商事の意向もあったのか、パルコではなくミーナ天神に出店した。それゆえ、ここと並び好調なLAセレクトショップ「ロンハーマン」の動向が注目される。1号店は同店を手がけるサザビーリーグ本社ビルだったが、2号店は二子玉川の高島屋と郊外に出店した。しかも、来春にはパルが運営する神戸三宮の商業施設への出店と、西に向かって店舗拡大を進めている。
品揃えはロンハーマンの他にステラ・マッカートニーやマーク・ジェイコブス、クロエなどの海外ベターブランドと、コラボアイテム、雑貨などだが、チープな商品も充実させた多彩なラインナップは魅力だ。
セレクトショップだから路面店がいいとの考えがあるかもしれないが、天神界隈となるとスペースに限りがあるし、近年の大名地区は町のエネルギーを欠いている。その点、年間を通じてコンスタントの集客力を誇るキャナルシティ博多は、出店側にとって魅力的に映るのではないだろうか。仮に百貨店からオファーがあったとしても、サザビーリーグの内部には「すでにあの器は終わった」と感じている諸兄が多いはずだ。
ザラの跡地ならフロアの雰囲気もいいし、天神からの集客も果たせるだろう。何より買い物がゆっくりできる時間的なゆとりを感じさせる。ファッションアッパーにとっては、わざわざ行きたくなるようなショップの方が待ち遠しいのである。