深く潜れ(Dive Deep)! キネシオロジー&クラニオセイクラル・ワーク(クラニオ)の蒼穹堂治療室

「ココロとカラダ」再生研究所、蒼穹堂治療室が送る、マニアックなまでに深く濃い、極私的治療論とお役立ち(?)情報の数々。

2021年秋アニメの感想と評価 2

2021-12-28 10:36:10 | 趣味人的レビュー

2021年秋アニメは1本の再放送を含む18本を見て、途中切りは3本だった。そのうち12/22までに最終回を迎えたものについての感想と評価は「1」に述べたので、「2」は12/23以降に最終回を迎えたものと、この先も継続して放送されるものについて。なお評価は私の独断と偏見に基づいてA~Eで行っている。また順番は五十音順。

まずは一応、放送が終了したもの。

『境界戦機』

4つの世界主要経済圏によって分割統治され、日本人は一部地域で自治が認められているものの多くが隷属国の人間として迫害を受ける、近未来の日本が舞台で、『コード・ギアス』と『ガンダムOO(ダブルオー)』を足して2で割ったような設定。占領下の日本の日常をキッチリと描く丁寧さも覗えるが、ロボット・バトルものがやりたいのか、政治劇がやりたいのか、青春群像劇がやりたいのか、全く見えてこない。ちょうど今『コード・ギアス』が放送15周年記念として再放送されていてるのだが、本放送も見ていてストーリーも知っているのに、まるで新作アニメと同じようにワクワクする『コード・ギアス』に比べて、『境界戦機』の鈍重さはどうだ。制作したSUNRISE BEYONDは『ガンダム』を制作してきたSUNRISEの子会社で、スタッフも経験豊富なはずなのだが…。最終回は、これで完結なら「こういう終わらせ方もあるのか!」という意外性があったが、最後に4月から第2部(第2期)が放送されることが告知されてドッチラケ。第2部を見るかどうかは微妙。評価はD~D+。

『古見さんは、コミュ症です。』

第1回の、古見さんと只野君が黒板を使って筆談で会話するシーンの美しさにやられ、これから毎回こんなクオリティの作品が見られるのか!とワクワクした。だが、それは単なる勘違いで、その第1回が特別なだけで、あとはただのギャグアニメ(しかも全く笑えない)だった。いや、これはギャグアニメに見せかけた、コミュ障/コミュ症の人たちへのエールだとも取れるが、やたらガチャガチャうるさい物語はあまり好きにはなれなかった。で、思い出すのがNHKのドラマ版『古見さんは、コミュ症です。』だ。これについては以前「コミュ障だち」という記事も出しているが、アニメ版を見てこのドラマ版の凄さが改めて分かった。この原作をそのままドラマ化したら、もう見るに堪えないものになっていたところだが、アニメのように原作をそのまま映像化するのではなく、原作の持つ意図というか精神を映像化することで、本当にいいドラマになっていたからだ。ドラマ版はA-くらいの評価をつけられるが、アニメ版はD~D+。

『サクガン』

人類が地下都市で暮らす世界で、夢に見た場所を求める少女とその父親が削岩用ロボットで都市間を旅する物語。夢の風景に突き動かされて旅に出る娘と、何があっても娘を守るためにその旅につき合う父、という組み合わせが珍しいバディもので、最初は面白かったのだが、途中どうでもいい話が続き、すっかり中ダレしてしまった。最後に都市でテロ活動を行うシビト(死人?)と呼ばれる一団が登場し、主人公の少女が見た夢の正体や、父親だと思っていた人が実は父ではなかったことなどが明らかになり、ここから大きく物語が動き出しそうなところで終了。この12話は最後に「NOT THE END」という文字が出ていたので、人気次第では2期が作られるかもしれない。評価は中ダレによるマイナスによりD+~C-。

『SCARLET NEXUS』

「怪異」と呼ばれる謎の敵と戦う、超能力者で構成された部隊「怪伐軍」に所属する主人公たち。だが回を重ねるごとに、怪異や超能力たちの存在の背後に国家規模の陰謀の影がちらつき始める、という、少し前に流行った、徹底的に作り込まれた世界観と設定で視聴者に先読みや考察を求めるアニメ。私も歳を取ったせいか、こういう凝りに凝った濃厚な味付けのアニメは胃にこたえるようになった。それでも2クール全26話を最後まで見たのだから、それだけ物語や設定の作りがしっかりしていたのだと思う。数多くの登場人物もちゃんと描き分けられ、張り巡らされた伏線もキレイに回収されていた。傑作とはいえないものの、それなりに良作ではあると思う。評価はC。

次に、12/28時点で終了していないもの。

『86―エイティシックス―』

分割2期の第2期で、第1期は2021年夏期に放送された。第1期では、全85区からなるサンマグノリア共和国で人種差別を受け、存在しないはずの第86区に押し込められて、隣国ギアーデ帝国による自律思考型AIを搭載した無人戦闘機械〈レギオン〉との戦闘に駆り出される少年兵たちによる戦いが描かれた(ちなみにサンマグノリア共和国では彼らエイティシックスは人間とは見なされないので、レギオンとの戦闘は常に「戦死者ゼロ」と報じられている)。第1期の最後に、その最前線で戦い続けたスピアヘッド戦隊はついに宿願を果たし、共和国の国境を越えて行き着く果て=自らの死に場所へと旅立っていった──はずだった。しかし──というのが第2期。「そういう展開は許せない」と離れてしまった人も少なくないかもしれないが、死ぬつもりだったのに死ねなかった彼らが再び生き直せる場所は戦場しかなかった、という第1期とはまた違う哀切に包まれた第2期も、個人的には好きである。現時点で21話まで放送されているが、22話と23話は2022年3月末頃の放送になるようだ。今のところ第1期から通しての評価はC+~B-。

『鬼滅の刃 遊郭編』

12月に始まったばかりだが、あまりにもヒドいストーリーと全く笑えないギャグに正直ウンザリしている。特に第2話で炭治郎ら鬼殺隊3人が“柱”である宇随天元(うずい てんげん)に女装させられ、女のふりをして遊郭に入り込む、という下りは、いかに子供向けマンガとはいえ、読者/視聴者をバカにしすぎだろう。それに物語も、ただ遊郭に鬼が潜み、こっそり人を食っている、というだけで、これまでのような工夫が感じられない。そもそも吾峠呼世晴(ごとうげ こよはる)はなぜ物語の舞台の1つに遊郭を選んだのだろう。あまり女性作家が好んで書くような場所ではないし、遊郭制度に対する何か問題意識などがあったわけでもなさそうなのに。で、これはあくまで私の想像に過ぎないが、遊郭を舞台にするのは担当編集の案だったのではないだろうか。無限列車編の後の展開に悩む吾峠が、担当編集から「じゃあ、次は遊郭なんてどうですか?」と提案され、あまり気が進まないまま“つなぎ”として描いた──と、「遊郭編」には何かそんな雰囲気が漂う。相変わらずufotableはいい仕事をしているが、逆にいえば制作がufoでなければ速攻で切ってるところだ。今のところ評価するとしたら、D-~Dがせいぜいだろう。

『最果てのパラディン』

異世界転生もの。主人公は前世=現代日本では引きこもりのまま死に、その記憶を持ったまま異世界に転生した。彼を育てたのは、アンデッドながらそれぞれ卓越した力を持った3人で、その3人の薫陶を受けた彼は、前世で命をムダにしたという悔いがあり、この異世界では命を燃やして悔いなく生きて死ぬことを目指す。主人公が3人のアンデッドの下で成長していく前半はそれなりに面白くもあったが、3人と分かれて旅に出た後の彼は、無双の剣の使い手にして性格も謙虚で素直、と完成されすぎていて、全く面白みに欠ける。テーマも明確で、制作側のやりたいことはよく分かるのだが、いかんせん話が面白くないというのが致命的。最終話となる12話は2021年1月3日の放送になるが、今のところ評価はD+。


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