深く潜れ(Dive Deep)! キネシオロジー&クラニオセイクラル・ワーク(クラニオ)の蒼穹堂治療室

「ココロとカラダ」再生研究所、蒼穹堂治療室が送る、マニアックなまでに深く濃い、極私的治療論とお役立ち(?)情報の数々。

2024年冬アニメの感想と評価 2

2024-04-01 10:41:20 | 趣味人的レビュー

2024年冬アニメについての、ネタバレなしの感想と評価。「1」では途中切りした作品を取り上げたが、この「2」では3月末までに放送を終えた作品のうち、まだ最終回を見られていない『魔法少女にあこがれて』を除く9本を取り上げる。

ちなみにアニメの評価については、私の場合、何より物語が面白いことが重要で、作品全体の評価の少なくとも半分はそれで決まる。逆に萌えやエロといった要素にはさほど興味はないし、作画崩壊も(目に余るほどヒドくなければ)問題にはしない。

以下、並びは50音順で、評価はA~E。

『異修羅』1期

かつて“本物の魔王”の恐怖と脅威にさらされていた世界で、その魔王が討たれた。だが、“本物の魔王”とは何者で、誰がそれを討ったのかも分からないままの世界は“魔王”を僭称する者まで現れ、平穏になるどころか混迷の度を増していた。そこで残った最大の国家、黄都(こうと)を実質的に仕切る29人の文官、武官たち「黄都二十九官」が、世界から逸脱した力を持つ者たちを集め、その中から新たな世界の覇者となる1人を決めることを計画する中、二十九官の1人、警(いまし)めのタレンは自ら魔王を名乗り、自身が治めるリチア市をリチア新公国として独立させ、黄都に牙をむいた…。
「魔王亡き後」を描く物語だが、おおむね平和が訪れた『葬送のフリーレン』とは真逆の世界設定で、むしろ私はこっちの方にリアリティを感じる(スーパーパワー消滅後に待つのは、平和と安定ではなく動乱と混沌だろう)。
最初の何話かを使ってこの世界に存在する絶対強者たちを一人ひとり丁寧に描いていく構成になっていて、その間はストーリーが進まないので、そこで見るのを止めてしまった視聴者もいたようだが、私は逆にこういう物語構成が大好き。調べてみると、今回アニメ化されたのは全9巻(予定)中の第1巻のみで、それだけ原作を丁寧にアニメ化してくれていた、ということだ。
評価はB+~A-。2期の制作も発表されたが、今後どこまでアニメ化されるのだろう?

『休日のわるものさん』

アニメの世界にも「働き方改革」の波が? 地球征服を目論む悪の組織の幹部にもちゃんとOFFの日があって、日頃は地球防衛組織「レンジャー」と死闘を繰り広げている「将軍」も、休日はしっかり休むのだ(「いい仕事をするためには、休日はしっかり休む」が彼の信条)。パンダに魅せられている彼は、休日には同僚とできるだけ顔を合わせないようにして、上野公園のパンダ舎で過ごす(年間パスも持っている)。もちろん、街で偶然「レンジャー」のアカツキレッド(変身前)と会ってしまっても、やんわりと戦いを避ける。『休日のわるものさん』では、そんな彼のオンとオフが描かれる。
1回に3話という構成で、ネタ的にもちょうどいい軽さ。いわゆるシチュエーション・コメディだが、マンネリに陥ることなく1話1話ちゃんと物語があって、エピソードによっては下手な長編アニメより面白かったりする。伏線が張り巡らされた凝った重厚感のあるアニメが見たい、という人にはつまらない作品かもしれないが、私は1クールにこういうのが1本くらいあってもいいと思う。
評価はB-~B。

『SYNDUALITY Noir』2期

2099年の《新月の涙》と呼ばれる出来事によって一度、地上文明は崩壊。だが2240年代、人類は再び地上に戻り、「ネスト」と呼ばれるコロニー状の集落を築いた。そのネストの運営に必要なエネルギー資源である「AO結晶」を採掘するため、人型AIメイガスとともにコフィンと呼ばれるボットに乗って、正体不明の敵「エンダース」と戦う冒険者たちを、人々は「ドリフター」と呼んだ。
ノワールとミステルの関係、シエルの隠された目的、ヴァイスハイトの正体、そしてタイトルのSYNDUALITY(= Synchronization + Dualityによる造語)の意味など、1期で積み残しになっていた伏線が綺麗に回収され、『サクガン』や『巨獣のアルス』のようなぶん投げエンドにならなかった点は大いに評価できる。建前上は分割2期だが、実質的には分割2クールと呼ぶのが正しいだろう。
普通に面白い作品だった、ということで評価はC+~B-。

『葬送のフリーレン』第2クール

第1クールは、フリーレンがかつて魔王を倒したパーティの仲間だった勇者ヒンメルの思い出を辿る旅が描かれた。その旅はまだこの先も続くのだが、目指す北部高原はいまだ魔族が跋扈し、そこに入るには一級魔法使いの同行が義務付けられている。そのため、フリーレンと弟子のフェルンはその一級魔法使いの資格を得るための認定試験に臨むことになる、というのが第2クール。
フリーレンは魔術師として1000年以上生き、魔王すら倒したという設定なので、その実力は疑いようがないが、この第2クールでは人外とも称される卓越したレベルの人間の魔術師たちが登場してフリーレンと競うことで、彼女の魔術師としての(そしてフェルンにとっては師匠としての)真の力の一端を垣間見ることができる。といっても、バトルシーン一辺倒にならないところが、いかにも「サンデー」のマンガらしい(『葬送のフリーレン』は、明らかに「ジャンプ」や「マガジン」のマンガとは違う空気感をまとっている)。ミミックにハマったフリーレンの「暗いよ~、怖いよ~」は、同じ「サンデー」の『うる星やつら』へのオマージュか。
評価はB+~A-。現時点では2期の発表はない。

『範馬刃牙』「史上最強の親子喧嘩編」

このクールで描かれた、範馬刃牙とその父にして史上最強生物、範馬勇次郎との親子喧嘩は、本来なら「バキ」という一連の作品の最終章となるエピソードのはずだが、「少年チャンピオン」では今も連載は続いている。ww
「バキ」のストーリー展開は常にトリッキーだが、それはこの「親子喧嘩編」でも変わらず、刃牙が範馬勇次郎と殴り合いの喧嘩をするだけの話ではない。この「親子喧嘩編」のアニメ放送に先立って「チャンピオン」に、原作者の板垣恵介と刃牙を演じる島崎信長、勇次郎を演じる大塚明夫の3人による座談会が掲載されたが、そこで板垣が、自身の父親は勇次郎とは正反対で、「バキ」に描いた勇次郎というキャラクタは“こうあってほしかった父親”像が投影されている、と語っていた。それを踏まえて「親子喧嘩編」を見ると、いろいろ分かることがある。「バキ」はマンガでも読んでいるのでアニメはその復習のような感じで見ているが、それでもラスト2話は見ていて柄にもなく感動してしまった。
評価はB~B+。最後に「完」の文字を出したということは、アニメはこれで終了?

『僕の心のヤバいやつ』2期

中二病全開の暗く屈折した男子、市川京太郎と読者モデルで活躍する華やかな女子、山田杏奈──そんな2人の中学生の胸きゅんラブコメの2期。
1期ではお互い、相手の気持ちを測りかねて気持ちがすれ違ったりギクシャクしたりしていた。2期ではそんな部分も残しつつも、市川が山田に一生懸命、その時々の正直な気持ちを言えるようになり、山田の取り巻き(女子)たちの配慮もあって、2人の仲は確実に接近していく(この辺り、『君に届け』が思い出されるところでもある)。
この『僕ヤバ』のサイコーなところは、人の成長をみずみずしく描いているところ。「全ての物語は成長物語である」という言葉があるが、『僕ヤバ』は人が人と出会うことによってこんなにも変わっていく/変わっていけるんだ、ということを語ってくれている。文句なしに今期のベスト1アニメであり、こういうアニメこそ、深夜1時半なんかではなく、夜11時台に放送してもらいたい。
評価はA~A+。

『め組の大吾 救国のオレンジ』第2クール

十朱(とあけ)大吾、斧田俊、中村雪という、厳しい研修をパスして新たに特別救急隊員の資格を得た若手3人を軸に、東京消防庁特別救助隊(レスキュー)の活躍を描くアニメ。タイトルからは、彼らが既に「め組」というチームで活躍している物語のように見えるが、実際に描かれるのは、来たるべき(首都圏の?)未曾有の大災害に備えて彼らが所属することになる「め組」が結成されるまでの話だ(物語の中では、その大災害の中で被災者を救助する、未来の彼らの姿も少しだけ描かれるが)。
知られざる特救隊実録のような話で面白いが、多くの人が指摘しているように毎話毎話、前回の振り返りが長い。下手すると10分近く前回の振り返りに充てられてしまっている時もある上、本編でも頻繁に回想シーンがあって、その辺を端折れば実は1クールで同じ内容が描けたのでは?と思ってしまった。
評価はA-。

『ラグナクリムゾン』後半

竜の脅威にさらされた世界で、「銀器姫」の異名を持つスターリア・レーゼ率いる「銀装兵団」と手を組んだラグナ+クリムゾンと、「竜王」アルテマティアを血主とする竜の血族「翼の血族」との全面戦争が描かれた。
ラグナ+クリムゾン+銀装兵団と翼の血族それぞれの、陣営メンバのバック・ストーリーを含めながらの熱いバトルが展開された。どのくらい熱いかというと、首を切り落とされても死なずに戦い続けるくらい熱いww。たとえ「ジャンプ」のマンガでもここまで熱くはなれないだろうという、この荒唐無稽さが、それでも見ていてほとんど気にならない、まさに死線を越えた戦いだった。
評価はB+~A-。原作はまだ続いているようだが、現時点でコミックス13巻中、今回のアニメ2クールで11巻まで終えてしまったので、少なくとも当面2期はない。

『ループ7回目の悪役令嬢は、元敵国で自由気ままな花嫁生活を満喫する』

基本、タイトルの長いアニメは大抵、中身がスカスカなので見ない主義なのだが、この作品はPVがちょっとよかったので見てみることにした。
物語はタイトル通り、死に戻りを繰り返す公爵令嬢、リーシェ・イムガルド・ヴェルツナーの7回目のループでの話。ちなみにこのリーシェ、15歳で婚約破棄され、そこから商人、薬師、侍女、騎士などとして生きた後、20歳で命を落としては、それまでの過去の記憶を全て持ったまま婚約廃棄の瞬間に戻る、というループを繰り返している。そして7回目となった今回は、長生きして怠惰にゴロゴロと暮らすと決めたのだが、隣国の軍事大国ガルクハインの皇太子、アルノルト・ハインから求婚を受ける羽目になる。実はこのアルノルトこそ、6回目のループで彼女の命を奪い、それ以前のループでも何らかの形で彼女の死に関わった男だった…。
ふざけた長ったらしいタイトルとは裏腹にストーリーはしっかりしていて、ちゃんと見られるものになっている。リーシェの過去生において、父王を殺害して帝国を簒奪し、独裁者として悪名を轟かせることになるアルノルト・ハインとは一体どういう人物なのか、そしてリーシェはその未来を変えることができるのか、が物語の焦点だが、そこにリーシェが何度も死に戻りする理由が隠されていることが暗示されている。物語はまだ道半ばだが、スッキリときれいな終わり方で、これはこれでよい作りだと思う。
評価はB~B+。


コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 恐るべき子供たち | トップ | 2024年冬アニメの感想と評価 3 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

趣味人的レビュー」カテゴリの最新記事