ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

この土を掘り起こせば

2019-05-04 21:57:03 | Weblog
この土の中を掘り起こせば、色々なものが出るだろう
骨となったペットや
15年前の未来への手紙や
揺りかごで眠る赤ん坊の穏やかな寝息が

さらに掘り続ければ、やがて出会うだろう
江戸庶民の語らいや
戦国足軽の嗚咽や
平安貴族の熱血に
耳を澄ませば聞こえてくるのだ
語らいや嗚咽や熱血が

さらに奥へ耳を凝らせば、かすかに聞こえてくる
大仏建立のための人々の息遣いや
高床式倉庫開発までの企画会議や
縄文土器職人の寡黙が

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※電子書籍パブー閉店のため移動しました。ようやく終わりみたいです。出来はともかく、平成から忘れ物を取り出してきた気分です。
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水際の希望

2019-05-04 21:45:29 | Weblog
水際の平家は死の淵で希望を描いたのだろうか

水際の人々よ、砂の上に希望を描け
たとえ、押し寄せる波にかき消されようとも
明日、水際に来る人々のために灯を残すのだ

描いてはかき消され、描いてはかき消され
何万日先かもしれない
何億日先かもしれない
涙をこぼしながら描いてきた希望の蓄積が
ある日、大波が押し寄せても消えることのない確かなものとなった時
ようやく海底で眠る人々は心から笑うことができる

そのために人は存在するのだ
そのために人は生まれてくるのだ

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理由なきひたむき

2019-05-04 19:55:54 | Weblog
薄汚れた倉庫の壁にもたれて
彼は煙草をくわえている
疲れきった体に冷たい風が吹き抜けた

いったい何のために頑張っているのか?
報われることなどあるのだろうか?

夢なんていつの間にか失くしてしまった
なりふり構わず走っていたから
それがこぼれ落ちても気付く事はなかった

家庭も持っていない
出世のレールからも外れている
それでも彼は何故に

くわえていた煙草が短くなった
このひとときの休息が終われば、彼はまたひたむきに働くだろう
上からの命令を黙々とこなし
困っている仲間がいれば、助けてあげるに違いない

人はいつから頑張るための理由付けが必要になったのだろう
人々はいつから彼を不自然に見るようになったのだろう

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愚かなだけじゃない

2019-05-04 18:59:36 | Weblog
人は愚かだ
よって愚かな行為を繰り返す
例えるなら戦争、差別、虐待、いじめ
バリエーションに富んでいるね

だが、それだけじゃないだろ
人には言葉がある
知恵がある
科学がある
意地がある
そして莫大な悪意の中にも優しさがきっと

僕は少し信じてやってもいい
この世界の片隅に
この心の片隅に
小さく揺れながら輝いている
それは優しさなんだと

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地球よ、回れ

2019-05-04 17:46:23 | Weblog
あなたは間違っていない
私も間違っていない
そういう事にしておいてほしい
あなたの怒った顔は少し可愛かった

ということで地球よ、回っておくれ
喜びの星よ、哀しみの星よ
穏やかに、健やかに

約束どおり、地球は回ってくれた
その繰り返しによりあなたはいない、私もいない

それでも地球よ、回っておくれ
美しい星よ、祈りの星よ
穏やかに、健やかに
いつまでも、いつまでも

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ひと、ひと、ひと

2019-05-04 17:15:18 | Weblog
雪のような肌をして
ナイフみたいに鋭利に笑い
時にストーブのような眼差しで見つめる
抱きしめたらとろけそうな極上の人

今日もこの街の何処かに宝石が埋もれている
そう信じてゴミ箱をあさり
ようやく手にした宝石を
口いっぱいにほうばった食欲の人

いくら空の向こうに旅行したいからって
ビルの屋上の絶壁に立つなんて
ロケットに乗るより早く空に到着したかったのだろう
ついに一線を踏み越えてしまった引力の人

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か弱き抵抗

2019-05-04 17:03:56 | Weblog
天使の嘆きという名の酒場を出て、外気に触れる
足元をふらつかせ、虐げられた街を彷徨う

帰る家が無い訳ではないけど
ベッドに横たわれば、すぐ朝がやってくる
明日という日は見えないから怖いよ

路上深夜に座り込み、「まだこの夜が明けないように」と祈りを捧げる
いやいや生きた今日をこんなにも愛していたなんて
だから明日に対してか弱き抵抗を試みているんだ

大きな力に運ばれることは分かっているよ
それでも路上に寝転び、身を挺して世界を止めてみたいんだ
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多葉子

2019-05-04 16:58:16 | Weblog
私は多葉子と申します
あなたも会社や家庭で煙たがられているのですね
私も同じです

嫌われ者同士、よろしかったら口づけでもしましょうか?
私はあなたにいっときの至福を差し上げるつもりです
だからあなたは私に命のひとかけら、与えてください

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ショウワの空

2019-05-04 14:01:33 | Weblog
秋の日、ショウワの空は青く澄んでいた
スタートラインに立つと、自らの鼓動が聞こえた
見渡せば日焼けした、最後の昭和少年たちの精悍な眼差し
負けたくなかった

夏の日、ペットショップでザリガニを買いに行く
泥にまみれて捕まえようとしても、手に入らない大きな大きなザリガニ
突然、ショウワの空が黒ずんだ
昼間なのにこんな黒い空見たことない
絵の具で間違えた色を選択された空
程なく雨は路面をたたきつけた
ずぶ濡れになりながら
ザリガニを無事に持ち帰ることだけを考え、ペダルを強くこいだ

放課後の帰り道、君と、君と、そしてキミと時間を忘れて話したね
いつしかショウワの空は橙色して僕らを大きく包んでいた
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※電子書籍パブー閉店のため移動させました。
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スギタル

2019-05-04 13:56:59 | Weblog
朝日は軽過ぎて、ぷかぷか浮かんでいく
夕日は重過ぎて、じりじり沈んでいく

老人は多過ぎて、葬儀屋がニヤニヤしている
そのビルは高過ぎて、京都に怒られている
この部屋は狭過ぎて、閉所恐怖症の美しい蝶は出て行った

どうやら、スギタルのようだ
向こう側でオヨバザルが笑っている
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