ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

煌びやかな絶叫

2019-05-04 12:54:03 | Weblog
軽やかな足音がピタリと止まった
煌びやかな絶叫が冬の夜の澄んだ空に響く
誰かの青春がぷつんと途切れた

ささやかに積み重ねてきた日々は一瞬の悪魔に勝ることはない
しばらくして、壊れた足音と凶器の足音が交差して聞こえた
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※電子書籍パブー閉店のため移動してきました。
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旅立つ君へ

2019-05-04 12:28:18 | Weblog
どこへ行くにしても
僕は止めろとは言わない
君自身が下した決断なのだから

もしその海を渡るなら、言葉に魔法をかければいい
もしその山に登るなら、気高さを心肺で感じればいい
もしその宇宙へ行くのなら、僕は遠視になって君を見守る
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※電子書籍パブー閉店のためこちらに移動させました
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真っ赤な白

2019-05-04 11:37:56 | Weblog
どうしても割ってはならないものを割ってしまった
「何があってもそれだけは絶対に」というものを

鮮血のような赤に染められた真っ白が「私は真っ白です」と声を震わす
永遠の瞬きを終えた人々が怪訝な顔で見つめ、力なく笑って立ち去っていく
せめて過去形にすべきだった
「私はかつて真っ白でした」と

屈強を持ち上げ、階段を上る子供たち
たった一人のメガネを除いては
声を合図に屈強から手を離す
まもなく大地が揺れた
「まだ割れないや」
一人の子がつぶやく

子供たちはさらに高いところから屈強を落とす
ついにひびが入った
誰かが「もう少し、もう少し」と興奮して叫ぶ
そしてさらに高いところに登り、渾身の力を合わせた
ついに屈強は割れた
喜びの瞬間、子供たちは永遠の瞬きに入った

真っ赤に埋め尽くされた白はまだ訴えていた
「私は白です。あなた方に変えられたんですよ」と
あざ笑ったり、無視する人々
白は力尽きてうなだれた

その落っこちた肩に誰かの手が乗った
振り返ると奇妙なメガネをかけた男
「君は真っ白だね」
男はそう言いながらメガネを外した
「やっぱり真っ白だ」
男は確認するようにうなずいた
白は美しい笑顔を男にだけ見せた

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※電子書籍パブー閉店のため作品を移動中
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モノクロームクリスマス

2019-05-04 10:54:36 | Weblog
街はクリスマス一色だというのに
行き遅れた枯葉たちが慌てて風に吹かれている
そんなに急がなくてもいい
ゆっくりしてなよ

その夜がやってきて、街は浮かれている
雪がちらちらと降り出せばなおさらだ
人々の足がせっかちに弾む

色をなくした鮮烈な街
枯葉を巻き込みながら、僕は悲しみをエネルギーにして走り出す
モノクロームクリスマス
ざわめきだけが耳を貫いた

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※電子書籍パブー閉店のため移動中。それにしても季節外れ
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菩薩にもなるよ

2019-05-04 10:30:47 | Weblog
あなたは聞き取れるか聞き取れないか、ぎりぎりの声で言ったけど
私にははっきり聞こえた。
「もうダメかもしれない」って
あなたの長い指に挟まれているたばこの先から灰がこぼれ落ちた

どこからか優しい歌が流れてくる
「人生捨てたもんじゃないよ」って間接的にささやいていた
そんな歌、耳に入らないよね
あなたは落下した灰だけを力なく
それでいて愛しそうに見つめている

私は菩薩にもなるよ
あなたのためになら


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