降り積もる憤り

今日も梅雨空なのだ



客足はすっかり途絶えていた



僕は店の隅の椅子に座り、数日前から読み始めた、辻仁成の「愛をください」の文庫本


を手にした



昔、食い入るように見たドラマ



李理香の手紙の部分は菅野美穂の声で再現しながらページをめくる



文中に何度も出てくる幸福という言葉



僕も１８歳の頃、この言葉が妬ましかった



今はどうかな？



妬ましいという意識は薄れ、もはや関心すら薄れた





２ヶ月かけてパキシルを１０ミリ減らした



レキソタンは減らせないが、パキシルは今のところ影響はないようだ



今日は、店の営業中にタバコを吸ってしまった



自販機の調子がおかしくて、それを自分で直せなくて、それで何となく吸ってしまった

レスラーや力士の額が次第に切れやすくなるように



僕の心もすぐに流血するようになった



辛い事があっても、それは自分のための修行と割り切ろうとする考えはある



その一方で年を重ねるたびに積もっていく不条理に対する憤り



李理香には僕みたいにならないで欲しい



空は気まぐれに青くなったり、そうかと思えば重たい雨を落としたりして



僕の心を揺さぶって笑ってる


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