★la nuit
(演奏:ホアキン・アチューカロ 1998年録音)
ホアキン・アチューカロはスペインのベテランピアニストで、お顔立ちからもいい歳の重ね方をしたピアニストだということがわかるような、味わい深い演奏をされる方です。
ピアニストでステキでおしゃれなおじさま特集をしたら、高順位に顔を出すに相違ありません。
ここでは夜にちなんだ小品を集めて演奏しておられます。
ショパンのノクターンはもちろん、ドビュッシーの“月の光”などスタンダードもありますが、ボロディン、ガーシュイン、イリンスキーなどの珍しいレパートリーもあり盛りだくさんです。
とにかくこの“愛の夢”はおしゃれなことこのうえない。
じっくりではあるけれども重くなくファンタジーに溢れ、これまでの人生経験で如何にロマンチックに生きていることが素晴らしいかを、とことん教えてあげようというムードに包まれています。
ボレットのときのように、サビでは若干音符を足しているようでこれもオシャレ。
明らかにオヤジやおじさんでなくておじさま、いや“オジサマ”による音楽であります。
それにしてもこの一枚。。。男が聞いても惚れるねぃっ!
★アンコール!
(演奏:田部 京子 1994年録音)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2f/69/74c7bcad12a1cc0aaf9440c135bea357.jpg)
このころの田部京子さんはクラシック音楽界にあって、しっとりとさわやかに、しかしはっきりとその存在意義を示していたように思われます。あたかも沢口靖子が「澪つくし」でデビューしたようなといってわかる人がどれくらいいるか疑問ですが、私にはそう思えるんだから許してつかーさい。
その理由は、あくまでも曲の求めるものに従って演奏をしていたからだと思います。曲に向かって「あなたはこんな風に弾いて欲しいんですか?」と問いかけながら弾いているような。。。
翻って今の田部さんは「田部京子が弾いている」という刻印を、強く曲に施そうとしているように思います。
シューベルトのソナタ録音でも、確かに新しいものほど整って完成度は断然高くなっていくんだけど、逆に田部さんの「こうなんだ!」という声は聞こえても、曲そのものの声によって語らせなくなってしまったというか。。。
でも、ここでの“愛の夢”はまさに愛の夢。
美しい女性には“こう弾いてもらいたい”っていう演奏がまさに展開されていて、とっても幸せになれます。曲にお伺いをたてながら、というか曲と会話しながら楚々として聴き手に届けられるこの演奏はイチオシかもしれません。
他にもリスト編曲の“歌の翼に S547(メンデルスゾーン)”“夕星の歌 S444(ワーグナー)”が収録されていて、それぞれとても詩情豊かに奏でられていますです。
★ウゴルスキ・ピアノ・リサイタル 左手のための2つの小品 他
(演奏:アナトール・ウゴルスキ 1994年録音)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/27/f5/73328590720ea0bde3a27628bc3d3025.jpg)
とつぜんムサいおじさんが出てきたなぁ。
タイトルにあるようにポプリ集なんだけど、案外マトモというかすごくロマンチック。
肝心の“愛の夢”ですが、じっくりと濃密に弾き進められます。最初の旋律からしてくっきり濃い目です。中間部、盛り上がりを見せるものの決して声高に音を鳴らさない。。。バスの音をたっぷり鳴らしてそのうえにさりげなく愛の歌を乗せて高まっていきます。そして再現部の歌も、じっくりと言葉を選んだモノローグ。。。
この一枚にもドビュッシーの月の光が入っていますが、文字通りとっても静謐な展開で傾聴させられました。シューマンの“トロイメライ”もまさに夢の中を辿っているような、文字通り夢見るような演奏。スクリャービンは、やはりこの方が入れ込んでいるだけあって、ロマンを溢れさせながらも普遍的な美しさを引き出していて好演です。ピアノの音色も美しいし。
このおじさん、その気になれば案外マトモに弾けるんだ。。。
シューベルトの“さすらい人幻想曲”のディスクでは、本人が大好きといっていたわりに随分デフォルメされてたんで。。。
(演奏:ホアキン・アチューカロ 1998年録音)
ホアキン・アチューカロはスペインのベテランピアニストで、お顔立ちからもいい歳の重ね方をしたピアニストだということがわかるような、味わい深い演奏をされる方です。
ピアニストでステキでおしゃれなおじさま特集をしたら、高順位に顔を出すに相違ありません。
ここでは夜にちなんだ小品を集めて演奏しておられます。
ショパンのノクターンはもちろん、ドビュッシーの“月の光”などスタンダードもありますが、ボロディン、ガーシュイン、イリンスキーなどの珍しいレパートリーもあり盛りだくさんです。
とにかくこの“愛の夢”はおしゃれなことこのうえない。
じっくりではあるけれども重くなくファンタジーに溢れ、これまでの人生経験で如何にロマンチックに生きていることが素晴らしいかを、とことん教えてあげようというムードに包まれています。
ボレットのときのように、サビでは若干音符を足しているようでこれもオシャレ。
明らかにオヤジやおじさんでなくておじさま、いや“オジサマ”による音楽であります。
それにしてもこの一枚。。。男が聞いても惚れるねぃっ!
★アンコール!
(演奏:田部 京子 1994年録音)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2f/69/74c7bcad12a1cc0aaf9440c135bea357.jpg)
このころの田部京子さんはクラシック音楽界にあって、しっとりとさわやかに、しかしはっきりとその存在意義を示していたように思われます。あたかも沢口靖子が「澪つくし」でデビューしたようなといってわかる人がどれくらいいるか疑問ですが、私にはそう思えるんだから許してつかーさい。
その理由は、あくまでも曲の求めるものに従って演奏をしていたからだと思います。曲に向かって「あなたはこんな風に弾いて欲しいんですか?」と問いかけながら弾いているような。。。
翻って今の田部さんは「田部京子が弾いている」という刻印を、強く曲に施そうとしているように思います。
シューベルトのソナタ録音でも、確かに新しいものほど整って完成度は断然高くなっていくんだけど、逆に田部さんの「こうなんだ!」という声は聞こえても、曲そのものの声によって語らせなくなってしまったというか。。。
でも、ここでの“愛の夢”はまさに愛の夢。
美しい女性には“こう弾いてもらいたい”っていう演奏がまさに展開されていて、とっても幸せになれます。曲にお伺いをたてながら、というか曲と会話しながら楚々として聴き手に届けられるこの演奏はイチオシかもしれません。
他にもリスト編曲の“歌の翼に S547(メンデルスゾーン)”“夕星の歌 S444(ワーグナー)”が収録されていて、それぞれとても詩情豊かに奏でられていますです。
★ウゴルスキ・ピアノ・リサイタル 左手のための2つの小品 他
(演奏:アナトール・ウゴルスキ 1994年録音)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/27/f5/73328590720ea0bde3a27628bc3d3025.jpg)
とつぜんムサいおじさんが出てきたなぁ。
タイトルにあるようにポプリ集なんだけど、案外マトモというかすごくロマンチック。
肝心の“愛の夢”ですが、じっくりと濃密に弾き進められます。最初の旋律からしてくっきり濃い目です。中間部、盛り上がりを見せるものの決して声高に音を鳴らさない。。。バスの音をたっぷり鳴らしてそのうえにさりげなく愛の歌を乗せて高まっていきます。そして再現部の歌も、じっくりと言葉を選んだモノローグ。。。
この一枚にもドビュッシーの月の光が入っていますが、文字通りとっても静謐な展開で傾聴させられました。シューマンの“トロイメライ”もまさに夢の中を辿っているような、文字通り夢見るような演奏。スクリャービンは、やはりこの方が入れ込んでいるだけあって、ロマンを溢れさせながらも普遍的な美しさを引き出していて好演です。ピアノの音色も美しいし。
このおじさん、その気になれば案外マトモに弾けるんだ。。。
シューベルトの“さすらい人幻想曲”のディスクでは、本人が大好きといっていたわりに随分デフォルメされてたんで。。。