SJesterのバックステージ

音楽関連の話題中心の妄言集です。(^^)/
もしよろしければ、ごゆっくりどうぞ。

リスト没後120年特集 (その13 小品集ほか2)

2006年12月12日 00時06分17秒 | ピアノ関連
★マルク‐アンドレ・アムラン・プレイズ・リスト
                  (演奏:マルク‐アンドレ・アムラン 1996年録音)

本日は爆演・快(怪)演特集。今日は曲名紹介も省略。難しいこといわずに楽しみましょう。
なにせ相手はその楽曲が“聖歌のように始まりサーカスのように終わる”と謳われたリスト大先生なんだから、何でもありざんしょ!
ちなみに、シフラ大先生は聴いたことありますがもってません。ケマル・ゲキチのを持ってたはずなんだけどぉ・・・出てこない。。。「うぇ~ん(泣)」という状況を最初にお断りしておきます。

で、アムランですがとにかくうまい!
この人のことは、今さらとやかく説明するこたぁないでしょう。
“ハンガリー狂詩曲第2番”にせよ、自前のカデンツァまで引っさげてとことん楽しませてくれます。
私がアムランで始めて手に入れたのがこのディスクでした。
エンターティナーぶりがサイコーで“大当たりぃ~!”と思った記憶があります。
ホントに“ため息”なんかでの技術たるや。。。他の誰もこんな風には弾けないでしょうね。
けたたましいのを涼しい顔して弾いちゃうのも、なおすごいけど。。。

★リスト・リサイタル
                   (演奏:ツィモン・バルト 1988年録音)


ジャケットを見ると、クラシックというよりフュージョン界の・・・みたいな風貌。
で、演奏がこれまた「大変な曲をたいへんに弾いています!」という風に聴こえる。
最初の“マゼッパ”からカマシてくれてますねぇ。
“葬送曲”も重厚なんだかそうじゃないのかわかんないような出だしで始まるくせに、中間部なんか戦車部隊の総攻撃の突進って感じの畳みかけを聴かせてくれます。とにかくもの凄い迫力!
“ペトラルカのソネット”も104番なんて曲が違ってるのかと思ってしまいました。。。
この曲を畳み掛けるとは、おぬし何者?
123番になると、こんどはやたらめったら静謐にじぃ~~~っくりと弾かれる。。。
このディスクで最も普通であり、出色なのが“コンソレーション第3番”です。さりげなく、この“にーちゃんピアニスト”のセンシティブなハートを伝えてくれています。
最後はお約束どおり、“ハンガリー狂詩曲第2番”。これも、最後引っぱって、引っぱって、もっと引っぱって大団円につなげています。
今日のギグも盛り上がったぜ!!

バルトには今はどうだか知りませんが、このころはピアノが面白いおもちゃだったのではないでしょうか?派手な曲はバスの音を有効に膨らましながら、大仰に作っていくし、“夕べの調べ”や“ペトラルカのソネット123番”などは、オモシロい音色の作り方をして誠実な若者を演じています。聴かせ上手というには意見が分かれるかもしれませんが、いろんな表現の引き出しを持った人だなあと思いました。
でも、ピアノからオーケストラの響きを出そうとしたと伝えられるリスト先生の演奏をするに当たっては望ましい心構えかもしれません。腕は確かなのですから。。。

“コンソレーション第3番”がやはり心に残りますねぇ。
先般のEMIからでたコンピレーション・アルバム“ベスト・ピアノ100”に選ばれたのも当然でありましょう。

★クズミン・プレイズ・リスト
                  (演奏:クズミン 1992年録音)


こいつもハデに聞かせることにかけちゃあ、人後に落ちないヤローですなぁ。
しかも一本調子でない。。。けたたましく鳴らす中にも、コントロールが効いています。
主たる音はガンガンいってるのに同じとき高音域で密やかに音が添えられていたり、メロディーを歌う音の弾き出されかたが鮮やかであったり、ホントに密やかなところは密やかに弾けちゃったりしたり、華やかに聴かせるツボは外すことがありません。
とことん聴かせ上手であります。この点ではバルト兄より数段場数を踏んでるプロフェッショナルって感じはします。

“ドン・ファンの回想”からもうトップギアで、聴いててため息の世界。聞きほれるしかありません。
“ラ・カンパネラ”も全然難しい曲じゃないみたい。。。
こんな奴もいるんだなぁと感服するものの、どうして知る人ぞ知るという存在なんだろう。。。
それに「このディスクなんかジャケットが「絵」じゃん!? 写真もねーのか? こんな絵なら写真のほうがナンボかましだろ!?」と思って、ライナーを見たらリストとチャイコフスキーの協奏曲のディスクが宣伝してあって、そのジャケットに写真が出ていました。合理的な写真の掲載のしかたではあるけれども。。。おい、こいつ革ジャンきてるじゃん!?

やはり実力にもかかわらずいまいちブレイクできないのは、我が国では、著名人たるにはある程度謙虚さが求められるからなんでしょうか?
クズミンは相当の自信家でもあるようです。そりゃぁ、こんな演奏が出来れば「自信なんてナンボでも持てるわぃ」って言うのもよーく分かりますが。。。

ライナーに記してある彼のコメントを紹介しておきましょう。なるほど、すげー自信だ!!!

  “Written by the Devil Himself.
    Played by…
     Just Listen…“
                   Leonid Kuzmin