SJesterのバックステージ

音楽関連の話題中心の妄言集です。(^^)/
もしよろしければ、ごゆっくりどうぞ。

相乗効果の妙

2013年04月26日 00時00分31秒 | JAZZ・FUSION
★THE BENOIT / FREEMAN PROJECT
                  (演奏:THE Benoit / Freeman PROJECT)
1.Reunion
2.When She Believed In Me
3.Mediterranean Nights
4.Swept Away
5.The End Of Our Season
6.After The Love Has Gone
7.Smartypants
8.It’s The Thought That Counts
9.Mirage
10.That’s All I Could Say
                  (1994年作品)

クルセイダーズに“ヴォーカル・アルバム”というコンピレーション・ベストとでもいうべき企画盤がある。
大好きな曲とそれなりの曲(はっきりいえば嫌いな曲)があったり、その大好きな曲がエディットされていたり・・・と、注文を付けたいところも多々あるのだが、聴き手コンシャスな好企画だと思う。

そんなことはプロデュース側も百も承知だろうが、いくら大切なファンとはいえオーディエンスにいいとこどりされるばかりではガッキの演奏を聴いてほしいアーティストの腹の虫が収まらなかったり、100%の商品を出してしまうと、知的財産たるもの、なかなか重ね売りが難しい性格があるため商売あがったりになるケースがほとんどだろうから、そうそう出すわけにはいかない事情もよくわかる。


もしかしたら、「今のご時世、MP3などデータファイルで切り売りしてるんだから、ホントにやりたきゃ自分でやれ」と開き直られているのかもしれない。

上等じゃねぇか・・・
と、勝手にインネンをつけてケンカを受けて立ったわけではないが、手始めにデヴィッド・ベノワの作品群から自分の好きなヴォーカル曲ばかりを選りだして、自分だけのプレイリストを作ってみた。。。


便利な世の中になったもので、ネットをちょっと紐解けば、ベノワの熱狂的ファンであろう先達のご丁寧な解説文がいくつもヒットする。
私とて、このスペースにずいぶんと勝手なことを書き散らして人様に情報提供できているケースもあろうから、それらをありがたく拝借して、どのアルバムのどの曲がどんなヴォーカル曲なのか、おおよその見当をつけるぐらいのことは許されてよかろう。
そして、you-tubeやGroovesharkにアクセスすれば、驚くべき簡便さでプレイリストに迎えるべき楽曲をセレクトすることができるのである。

家人に話したらやたらとメンドいことしてるとの感想を述べられたが、やってる本人は決してそうは思っちゃいない。
仮に一般の人が面倒と感じるならば、「多少のやる気とCD1枚あまりの出資で気軽に楽しめる極上の『ヴォーカル曲集』ができる」と書いておけば間違いないか?

いずれにせよ、ゲストの歌声もさることながら、自らの奏楽をこそ楽しんでほしいと願っているだろう楽器演奏者には申し訳ないが、「あなた絡みの演奏を愛好してるんだから許してね」ってノリである。


さて、デヴィッド・ベノワというピアニストは、同じデヴィッドでも直截でシンフォニックなフォスターに比して、はるかにノーブルでジャジーであるゆえに私の好みである。

それは、自身がプロデュースしていない場合の他のアーティストの作品への客演(ピアノ(キーボード)奏者として)が、きっとベノワのほうが多いだろうことからも、かなりの確率で普遍的な認識なのではないかと思われる。

フォスターにせよ、最初はスタジオ・ミュージャンだったわけだが、あまりにもプロデューサーとしての手腕が卓越していたため、ある時期以降「演奏だけ」というのはどうだろう・・・多少はあるのだろうか?

翻って、ベノワに関しては、ケニー・ランキンやデヴィッド・パック、デヴィッド・ラズリー(それにしてもデヴィッドだらけだな・・・)など、すでに持っていた私のお気に入り旧作CDのピアニストが実は・・・というケースを多々発見するに至った。
むべなるかな・・・である。


と、書いてきたものの、彼のインスト曲も決して悪くはない。
いや、スムーズジャズなどと言われている分野では、他に例のないまごうかたなきブランドを確立しているし、品質も高い作品が多いのではなかろうか。

バックボーンとなっている音楽もコテコテのジャズからイージーリスニング風のサウンド、歌伴まで引出しがいっぱい、多彩であるのにちがいないのだが、こちらにこらえ性がないのか、なぜか1枚通して聴くのは、歌がないとしんどい・・・のが正直なところ。

“ヒーローズ”というほとんど知っている有名曲ばかりをカバーしたアルバムにせよ、奏者の楽曲へのなみなみならぬ愛着を感じながらも、何曲か聞くとツラくなってしまった。


そこへいくと、今回のお題“ベノワ・フリーマン・プロジェクト”のCDは、ケニー・ロギンスとフィル・ペリーのヴォーカルがことのほか素晴らしかったのでMP3ではなくCD品質で聴きたいと願って求めたものだが、実際にはプリンシパルに組んだラス・フリーマンとのコラボレーションが素晴らしいので、飽きることなくめでたく最後まで聴き通せた画期的な作品となった。

自己の流儀を持ったアーティストは、ともすればそれが自縄自縛につながってしまうかもしれない。
それを打破する一つの打ち手が、他の得難い個性・才能との共演なのかもしれないし、きっとそれは実効性も高いだろうことは想像するのに難くない。
その化学反応が吉と出れば、「相乗効果の妙」でかくも聴き手の耳を惹きつけずにはおかない作品となるだろうし、このコラボプロジェクトは典型的な好例・・・なのだろう。


それはさておき、かくして私がこしらえたヴォーカル・アルバムは、有為のアーティストたちの「相乗効果の妙」をあらゆるケースで堪能できるステキな万華鏡的玉手箱となった。
それもそのはず、先に例示したアーティストのほか、ダイアン・リーヴス、ジェニファー・ウォーンズ、ベス・ローレンス、アル・ジャロウ、マイケル・フランクス、Take6などなど・・・
これだけメンツが揃っていて悪かろうはずがない。

プレイリストの曲順は、自身のアルバムに客演ヴォーカルを迎えたものにせよ、ヴォーカリストのアルバムに客演したものにせよ、何も考えることなく年代順に並べただけである。
プロデューサーとしては中途半端な仕事とのそしりをうけるかもしれないが、再生時にシャッフルしちゃうので一緒・・・これで常に新鮮な気持ちで聴くことができるので出来栄えにはすこぶる満足している。


実は、この作業にハマってしまい、続けてFourplay、KennyG、デヴィッド・サンボーンのヴォーカル曲だけを選抜したプレイリストも作ってしまった。

Fourplayは当たり!
これも客演ヴォーカリストのトラックだけを年代順に並べただけだが、ずっと聴いていても飽きることがない。

これとて、エル・デバージ、チャカ・カーン、フィル・コリンズ、マイケル・マクドナルド、アニタ・ベイカー・・・とくれば、一篇の映画のサウンドトラック以上にすごい顔ぶれである。
松田聖子さんだけは、デビュー以降、独身時代の大ヒット曲のほうが好きだけど。


KennyGはびみょ~。
デュエット・アルバムなるヴォーカリストや他のアーティストとコラボする企画盤もあるのだが、どこということはないのだが、なんかいまいち吹っ切れていない。
結果としてそこからは1曲も採らなかった。
とはいえ、キャリア初期のシナトラやスモーキーとのコラボは見事だし、トニ・ブラクストン、マイケル・ボルトン、シャンテ・ムーアなどとの共演はさすがというほかない。
一番気に入ったのは、ベベウ・ジルベルトとのイパネマの娘・・・かな。


サンボーンは意外にも曲に当たり外れが多かった。
私には、他人のアルバムでひと吹きしたときのサンボーンのほうが、圧倒的に魅力的だったから。。。
(あくまでも歌伴の曲しかためしていないので、インストを聴いたらもしかしたらぶっ飛んでいたかもしれない。)

忘れられないのは、ケニー・ロギンスのハート・トゥ・ハート・・・
当時、世の中にこんなファンキーでかっこいい曲があるのかと思い、サンボーンのソロの奔放さに感激していたものだが、そんなサンボーンを他に期待すると他ではあまり出会えないような気がしてしまった。
ブレンダ・ラッセルのル・レストランや、マイケル・フランクスのアントニオの歌にしてもすばらしいんだけどな。。。
どうして、自分のアルバムでは違ってしまうんだろう。。。

それでもカサンドラ・ウィルソンとのデイ・ドリーミングや、リズ・ライトとのドント・レット・ミー・ビー・ロンリー・トゥナイトは自分のサンボーンのイメージとは違うけど、とてもいい曲だと思うので収穫はあった。

破天荒で天衣無縫な苦労を知らぬミュージシャンだと思っていたけれど、結構、眉間にしわが刻まれるような人生を過ごしてきたんだな・・・
と妙にしんみりした感覚に襲われたものである。


コンピレーションのプレイリストを作ってみて思うのは、やっぱり、これをCDレベルの音質で聴きたいということ

ハイレゾとかでダウンロードできるようにならないかな・・・
などと、いつもなら携帯もIT機械もない国へ行きたいと願っているおじさんがにわかにテクノロジーに恃む気を起こしている。

我ながら勝手なものだ。。。(^^;)


さて、この調子だとお気に入りコンピを作る熱は冷めそうにない。(冷める時はあっという間に冷めることを経験上知ってるんだけど・・・)

してみると、次回投稿の書き出しは・・・
>フランク・シナトラに“デュエッツ”というコンピレーション盤がある。トニー・ベネットもしかり・・・
てな、感じになるやもしれぬ。

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