SJesterのバックステージ

音楽関連の話題中心の妄言集です。(^^)/
もしよろしければ、ごゆっくりどうぞ。

さらなる昇華への期待 もしくは 言わない約束

2011年06月22日 00時51分20秒 | J-POP
★Mind Travel
                  (演奏:Superfly)

※曲目をいつもは書いていますが今回は省略します。(←手抜き)

お久しブリーフ・・・って感じですね。(^^;)

私自身が被災したわけではありませんが、仕事面では震災以降かなり忙しくなって、自分のブログに訪問できないほど生活は一変って感じでありました。

60日以上更新しないでいるために、ページの冒頭から宣伝みたいなのがはいっちゃっていることに先日気づいて、ちょいとヤだなと感じておりました。
更新できてやれやれですが、記事の内容は聴きこまなければならないようなクラシックはお休みにして、景気よくSuperflyの最新盤について書くことにします。


Superflyは、めざましテレビでの“マニュフェスト”の演奏以来ずっと気にとめていたアーティスト。
出演時に当時の相方(多保さん)が「まだこの番組に出られただけでも、ラッキーが残っている」というような発言をするなど『もう後がない感』をいっぱいに漂わせていたものの、私はそのパフォーマンスに、ブレイクしないはずはないと確信を持っていました。

同じくめざましでブレイクしたと感じているアンジェラ・アキさんみたいになるだろう・・・
と思っていたのですが、「手紙」以降、活動のステージを大きく広げている彼女をすら、Superflyはすでに商業的には凌いでしまったようにすら感じます。


しかし、ヴォーカリストとしてのSuperfly・・・越智志帆さんには、私がもう何も語ることがないほど讃辞が寄せられていますな。。。
私も「凄い!」としかいいようがありません。

途中、ソロユニットになったとはいえ作・編曲などのパーソネルは基本的には変わっておらず、越智さんという宝物を音響作品・ビデオ作品としてどう料理するか、あとはプロダクションの問題なんでありましょう。
聞けない作品に仕上げることの方が難しいってぐらいの声ですからね。。。


店頭で目にした“Mind Travel”と題されたサード・アルバムのアナウンスには、『ファーストにしてベスト セカンドにして進化!! サードにして深化!!』と謳ってありました。

はたして私は、ファーストアルバムには『原石のくすんだ輝き』を感じました。
『ジャニス・ミーツ・ストーンズ』って帯にあったと記憶していますが、たしかに“マニュフェスト”のプロモを見れば多保さんがひと目でキースを意識してると知れるテレキャスカスタムで“らしく”弾いているし、越智さんのいでたちもジャニスをリスペクトしていることがわかるものでした。


でも・・・
全体的な印象としてはパワーは感じるけれど、どことなくぎこちない・・・


チャートのナンバーワンを獲ったわけですからベストというのはウソではないですが、この後、どのように『進化』するか・・・
それをとても楽しみに感じさせる予告編だと私は思っています。

ただし、バラード「愛をこめて花束を」は、もうここで現在と同水準の完成形を示していました。
後続の名バラードだって何曲もあるけれど、その真摯さにおいて決して勝っても劣ってもいないのではないでしょうか。


さて・・・
40年ほどもまえになりましょうか・・・
あのジャニス・ジョプリンの「生きながらブルースに葬られ」てる感じってのは、今のご時世、我が国の誰がどうやったって出せないだろうことに気づいたためか、セカンドの方針は大きくシフトした気がします。

すなわち、ジャニスにはこだわらない・・・
越智さんのヴォーカルは、『ボックス・エモーションズ』においてとってもファッショナブルに変貌しました。

プロデュースに携わった蔦谷好位置さんがその変貌のキーマンだと思います。

シングルカットされたものは特にですが、素のままの勢いといった特徴からソフィスティケートしながらパワーは増幅された楽曲が多くなりました。
加えて、最良の意味での歌謡曲のエッセンスとでもいうべきものが『How do I sleep?』『恋する瞳は美しい』という曲に結実し、これらはほかの誰にも真似できない新機軸になったと思います。
コアなファンには望ましくない変貌だろうな・・・とも推測されますが。。。(^^;)

そしてなんといっても「Alright!」がいい。
こういう曲こそが、私は大好きなのです。

このアルバムには捨て曲がない・・・
なんていわれていましたが、越智さんが歌えば『鉄道唱歌フルコーラス』だって捨て曲にならないだろうから、本当にそうかは聞いた人によるかもしれないんじゃないかな・・・?(^^;)

つまるところ・・・
書店で見た広告の『進化』というのが「音楽性の幅の広がり」と捉えるのであれば、方向性は望ましい方向に行ったと感じる人とそうでない人がいるに違いありませんが、進化したんでしょう。^^


そして、サードアルバムに至るまでにいくつものタイアップの音楽が発表されました。
なんといっても白眉は今回の収録曲のいくつかも入っているミニアルバム・・・
レビューなどを目にするといろんな意見があるようですが、私は、このようにシングルなどで世に問うたもので品質を保証して、そのうえでフィルアップの作品を収めた作品作りをするこのプロダクションには好感を抱くものです。

話を元に戻すと・・・
ミニアルバムにオマケみたいについてきたように見えて、物量的にはそっちがメインじゃないかとも思えるリスペクトする楽曲のコピー集・・・

さらっと聴きましたがまさに「オマージュでございます」というべきお仕事で、本当にこれらを演っていると楽しいんだろうなという感覚が伝わってきました。

プロダクションとして安定感抜群でお上手なので、いささかも文句のつけようもありませんが・・・
あえて私は、Superflyとしてやらなければならなかったのかということに疑問を挟みたくなります。


ただ・・・
今回のアルバムを聞くと、これが大きな伏線になっていたんだなと強く感じられます。

そういうわけで・・・
できたてホヤホヤ(ホントは発売されてホヤホヤ)のサードアルバム『Mind Travel』ですが、越智さん自身の「とても明るく、華やかな作品」という評価、そしてゆっくり心の旅を楽しんでくださいというメッセージが、さすが作り手、よく特徴を顕していると思います。

曰く・・・
作り手であるSuperfly自身の心の旅なんだろうな・・・と。
オマージュした曲を下敷きにした、自分たちの現在の到達点を表現したんだろうと。。。


したがって・・・
セカンドからの深化というよりも、ミニアルバム・・・オマージュの曲集からの深化なんじゃないか、そう思わずにいられません。

これは以前の曲集でもしばしば気になったことなのですが、多保さんのオマージュの顕し方はきわめて直截です。

もちろん・・・
むしまるQの愛すべき動物ソングの数々のようなパロディーや、シブがき隊の『ZOKKON命(LOVE)』のイントロでナイトレンジャーをそのままパクったようなマネは決していませんが・・・
でも・・・わかるんです・・・お里が。
いや、正確を期せば、わかるように思わせられちゃうんです。


こしらえられた楽曲はいずれもご機嫌だし、よくできてるし、パフォーマンスも文句ありません。

だから、かけっぱなしておくと越智志帆というヴォーカリストを統一して、バックを著名なロック・レジェンドをリスペクトするコピーバンドが演奏しているように聴こえちゃう。
FMとか有線で洋楽を聴いているんだけど、いろんなグループがやってるようにも聞こえるし、ヴォーカリストはなんでかしらないけれど一緒だし・・・
そんな違和感があります。
それが楽しみ・・・でもあるのですが。(^^;)


“Rollin’Days”で“Black or White”の別ヴァージョンかというようなリフに始まり、先々の曲では“Yesterday once more”の伴奏リズムかという箇所があり、Zepの“カシミール”、クルセイダーズに妖精だった頃のオリヴィア・ニュートン=ジョンにブロンディまでいるじゃん・・・
パープルのギグのスタートを思わせる“Free Planet”、これらはすべて多保さんの手になるもの・・・

彼のアレンジワークに通底するのはストーンズやロッドのエッセンスであり、なんかあふれまくっているという感じです。


アレンジ以外にも・・・
“Wildflower”なんてタイトルだって、何にインスパイアされたのか?
“Morris”のPVで、Gibson弾いるじゃん!?
などなどの言いがかり的なツッコミに至るまで、ウンチクをかたむけたくなるような作りは、オンタイムでご先祖筋の音楽に触れてきたおじさんにはとても嬉しいものということもできます。
それらは決して悪くない・・・んです。

Superflyの資質は一聴してわかっているし、素養も十分にわかった・・・
でも、Superflyという桁外れのユニットの特徴が、そんなことであるのはいかにも勿体ないんじゃないんでしょうか?

つまり・・・
Superflyでしかありえない、もうひとつ昇華された作品作りを期待したい、これが私のもっとも感じるところなのです。


突き抜けたヴォーカル・・・
これがもっとも生かされた私のイチオシナンバーは、越智さん自作の“タマシイレヴォリューション”です。

この路線こそ私の知る限りSuperflyの独壇場、すなわち、ルーツである洋楽のエッセンスに拘泥しない蔦谷路線です。
今後のことを思うとき、蔦谷氏あるいはさらに越智さんの共感を勝ち得てなお、インスパイアしてやまないような触媒となるキーマンが現れることがもしかしたらいいのかもしれません。

でも・・・
ミニアルバムでコピーしました → それに敬意を表したことがわかるオリジナル曲を相当な完成度で作りました (本作) → それらの財産を消化して、さらにこれこそSuperflyと言えるほどに昇華した4thアルバムの完成を期待したいというのが私の思い。。。

レッド・ツェッペリンだって、ファーストのあと勢いとドライブ感で勝負のセカンド、アコースティックなサード、しかる後に『天国への階段』にいたった(『ブラック・ドッグ』『ロックン・ロール』だってある)わけです。
TOTOにせよ、『ロザーナ』や『アフリカ』を擁する4枚目のアルバム(ジャケットの剣が印象的でしたね)をものにしました。

Superflyの3枚目にも、『移民の歌』『グッバイ・エリノア』に相当する、いやそれ以上に人口に膾炙しうる作品は収められていて、4枚目への期待はいや高まります。

わが国においては、長渕剛さんだって4枚目の『乾杯』でそれまでの集大成と、唯一無二の音楽を作り始めるスタートを切った・・・
さだまさしさんだって、ソロ4枚目『夢供養』は少なくとも私にとってはエポックメイキングな作品だったし、彼自身にとってもフリーフライトレーベルの嚆矢を飾る意欲作だったのでは・・・?

4枚目ってえてしてそんな作品が多いし、Superflyにとってもそうであってくれるといいと思うんですけどね。

そして・・・先の長渕さんの『乾杯』に富澤一誠さんが寄せた言葉「これで長渕の曲はすべてよくなった」が、Superflyにもそのとおり当てはまるようになれば、歴史に名を残すだけでなく永くその芸風を親しまれる独自の存在として活躍できるに相違あるまい・・・なんて思うわけです。


そういえば、私が今もっとも好きな日本の女性ヴォーカリストは越智さんのほか、LOVE PSYCHEDELICOのkumiさん、mihimaruGTのhirokoさんなんてところであります。

デリコの4枚目『GOLDEN GRAPEFRUIT』も、デビュー時からすでに独自の個性を誇っていた彼等のいいところを、経験を踏まえたうえで、原点回帰して全部出したようなアルバムになっていました。
とりわけ“フリーダム”は、MLBのテーマにも取り上げられ広く人に知られるようになっただけでなく、kumiさんの体の柔軟性まで十分にアピールしたPVまで含めてカッコよかったし文句なし。

mihimaruGTは4枚目というより、“気分上々”が大ヒットしたサードの後にドラえもんの映画の主題歌としてリリースされた“かけがえのない詩”に撃沈した私・・・
子供を映画に連れて行って、エンドロールに一生懸命食い入ってしまったのを思い出します。

この歌でのhirokoさんのような声そのものの演技というか“アヤカシ”は、越智さんの芸風にはないですね。
ユニットにおけるhirokoさんの振舞いは、miyakeさんにかなり負っているところがあると思うので、大いにネコを被っているというか抑制を強いられているようにも感じます。

彼女のソロを聴くと結構声の演技よりも張り上げてしまい、それによって却ってよさがスポイルされている気もするので、mihimaruのスタッフはhirokoさんをいかに生かしたらよいのかをよく心得ているのでしょう。
彼女はアレサ・フランクリンではない・・・んだと。

越智さんはアレサのように歌ってもいいんだけど、彼女をもう一段以上ステップアップさせる課題も、案外こんなところにあるのかもしれません。
裏目に出る可能性も多分にあるので、プロデューサーとしては頭の痛いところでしょうけどね。(^^;)


ついでながら・・・
PVについてもベストヒットUSAやMTVを永く観てきたものの目には、どこかで見たような演出がいっぱいある・・・んだよね、これが。

こちらも、中国の漢詩よろしく借景としての出典を楽しませるのではなく、オリジナリティで勝負してほしい・・・ものです。(^^;)
(“Rollin’ Days”のローズ・テレキャスターに始まるギターのコレクション映像には食いついてしましましたが。^^)


最後に・・・
BUMPやRADWIMPSもそうだけれど最近の若者のロックって、現実的で厳しい歌詞を歌ってるんですね。

ここでも“Beep!!”における「最後に逃げる」「自分の手を汚せ」って、ここで使われているような意味で、いつから女性歌手が歌うようになったんでしょう・・・?

この記事には「言わない約束」の事柄をけっこう盛り込んでしまいました。
明日も仕事に向かうおじさんはこれら「言わない約束」の歌詞のオンパレードにただただたじろぐばかりなので、多少言い返してやったかなという感もあり・・・です。