★ウィンドウズ・アンド・ウォールズ
(演奏:ダン・フォーゲルバーグ)
1.ランゲージ・オブ・ラブ
2.ウィンドウズ・アンド・ウォールズ
3.ラビング・カップ
4.ツーソン、アリゾナ~ある若者の死
5.レット・ハー・ゴー
6.スウィート・マグノリア
7.ビリーブ・イン・ミー
8.廃墟に今
(1984年)
何気なくネットをサーフしていたらダン・フォーゲルバーグが亡くなっていたことを知った。
それもおととしの12月に・・・。
こうなると訃報を聞いたというタイミングでもないから、追悼特集というわけにも行くまいが、彼の絶頂期の作品、私の洋楽史の中で最もコアな部分の作品のいくつかを感謝をこめて振り返る思いだけでも、天国にいる彼の御霊に捧げたい。
実は、連日記事を投稿していたころからダン・フォーゲルバーグの紹介はしたいと思っていて、記事一覧には2年近くもジャケットの写真が放ってあった。
こんな形で背中を押されて発表することになるとは・・・返す返すも残念なキモチでいっぱい。
トップには最もよく聴いた『ウィンドウズ・アンド・ウォールズ』を配しよう。
アルバム全体を覆う温かくも陰惨なイメージは、今のキモチにしっくり来るから。
「ランゲージ・オブ・ラブ」がスマッシュヒットになったときには、PVのなかで真っ白なジャケットギターをかき鳴らし真っ白な背景で・・・とても彼らしくなかった。
正直、何を日和ったかと思ったものだ。。。
もちろん嫌いな曲というわけでは決して無いのだが。
しかし、その後の楽曲は「何があった?どうしちゃった?」と尋ねたくなるぐらい(ライナーノーツにもそのようにライターは感じた旨を明らかにしていた)トーンの落ちた深い曲が多い。
最もよく聴いたのは『スウィート・マグノリア』。
この曲は大人になった今ならありそうな曲・・・と思えるが、青春時代の終わりっころのヤローにはグッと来るものがあった。
いや、彼女に聞かせたら彼女がグッと来るだろうなというモノがあったのかもしれない。。。(^^;)
スタジオ録音のバックにライブで録音したヴォーカルを被せたとも言われる生々しい声には、やっぱり狙い通りの説得力がある。
畢竟、名唱である。
『ツーソン、アリゾナ』なんてビートルズを意識させずにはおかないタイトルや、『ビリーブ・イン・ミー』なんていう名曲も収められており、いまどきの寒い夜には沁みる歌声であるかもしれない。
1枚選べといわれれば、私はこれだろう。
★フェニックス
(演奏:ダン・フォーゲルバーグ)
1.テュラモア・デュー
2.フェニックス
3.ジプシー・ウィンド
4.ザ・ラスト・トゥ・ノウ
5.フェイス・ザ・ファイア
6.ウィッシング・オン・ザ・ムーン
7.ハート・ホテルズ
8.ロンガー
9.ベガーズ・ゲイム
10.アロング・ザ・ロード
(1979年)
これも名盤。
彼の代表曲といわれれば、あちこちのCMでも使用される人気曲「ロンガー」に止めをさすわけだからこのアルバムを外すわけには行くまい。
しかし、たしかに「ロンガー」は名曲だけれど「ハート・ホテルズ」の形而上学的なバッキングやタイトル曲「フェニックス」の疾走するギターのバッキング(エレキはともかくアコギのほう^^)は、コーラスと併せて爽快なことこのうえない。
イーグルスがある程度洗練されているなかで、この人のそれは骨太さを感じさせるもの。
楽曲の芯も素朴なもので、さしずめアメリカの河島英五というイメージを持っている。
彼が米国人で米国の魂を持っていたらこのような表現をするんだろう・・・勝手にそんな思いをめぐらせることも楽しいが、夭逝するところまで似なくてよかったのに。。。
★イノセント・エイジ
(演奏:ダン・フォーゲルバーグ)
《ディスク1》
1.光年の果てに
2.イノセント・エイジ
3.幻の旅路
4.イン・ザ・パッセージ
5.ロスト・イン・ザ・サン
6.バラに向かって走れ
7.バンドリーダーの贈りもの
8.懐かしき恋人の歌
《ディスク2》
1.ストールン・モーメント
2.ライオンズ・シェア
3.流れ星のバラッド
4.妖精の港
5.魂の嘆き
6.時の流れを超えて
7.風に呼ばれた恋
8.虚ろな翼
9.ゴースト
(1980年)
翻って、アルバムの代表作はと問われれば多くの人はこの『イノセント・エイジ』を挙げるに違いない。
彼の魅力を2枚組みで味わえること、すべての楽曲において彼が殆どすべての演奏をしているとされていること、最初インストの短いテーマ曲からスタートすることが『フェニックス』と同様で曲もダン節とでも言う曲がてんこ盛りであるなど、どこをとっても代表作といって差し支えないものだと思う。
バラエティ豊かとはいえ、ビートルズの『ホワイトアルバム』のような散漫さは無く統一感があるし、大曲と小曲を交える構成はZEPの『フィジカル・グラフィティ』にも似るがお蔵入りを焼きなおしました的なところは皆無である。
要するに、この時期の彼は創作の絶頂だった・・・ということだろう。
それが次回作の『ウィンドウズ・アンド・ウォールズ』で何らかの転機があった・・・その後、エレキギターの迫力を増してより精悍に男性的でハードな音楽を作っていった。
しかし最も人口に膾炙したのはこのころ・・・転機の後はピークを越えるまでに至らなかったといっていいのかもしれない。
私にはリズムセクションの全楽器を自分で演奏したことが裏目に出て、バックの演奏がきっちりしすぎ・・・羽ばたいていく感じがない恨みはある。
ただ彼の魂はどの曲にも宿っていて、シンプルな曲であればあるほどその滲み出るよさ、声のよさがたまらない。
次のグレイテストヒッツに収められているいくつかのバラードなど、彼以外に誰が作り歌えるだろう?
昨今、ユーチューブで彼のコンサートのライブ画像を見たが、ギター一本で歌う姿には慈愛が漲っており、歌声とシンプルなギターの響以上に雄弁な音楽を知らないといって良いほど充実したサウンドを満喫できた。
そしてレコードだったころの各A・B面のラスト曲はすべて大曲、力のこもったものになっているのも大きな特徴。
スティーヴィー・ワンダーのグレイテストヒッツである『オリジナル・ミュージック・エイリアムvol.1』の4曲のラスト曲にも匹敵すると個人的には思っている。
スティーヴィーもグレイテストヒッツの各面のしんがりを新曲で押さえるというのは凄いアイディアだと思ったが、「ザ・リーチ」「ゴースト」などの曲のクォリティは決してスティーヴィーに引けをとらない・・・とさえ思う。
★失われた影 ~オリジナル・グレイテストヒッツ
(演奏:ダン・フォーゲルバーグ)
1.パート・オブ・ザ・プラン
2.ハート・ホテルズ
3.風に呼ばれた恋
4.ロンガー
5.失われた影
6.パワー・オブ・ゴールド
7.メイク・ラブ・ステイ
8.バンドリーダーの贈りもの
9.バラに向かって走れ
10.懐かしき恋人の歌
(1982年)
このアルバムまで紹介するのには2つのわけがある。
ひとつには、先に紹介した素晴らしいバラードが目白押しで並んでいるからである。
無論、最初に紹介した『ウィンドウズ・アンド・ウォールズ』発売前の作品だからその中にあった例えば「ビリーヴ・イン・ミー」といった佳曲は入っていない。
しかし、ふたつめの理由、新曲の必殺バラード「メイク・ラヴ・ステイ」が収められているのはこの盤だけ。
外すわけには行かないのである。
そしてその後、彼はこの中に収められている「失われた影(ミッシング・ユー)」のハードな世界へ向かうことになる。
無論、レコードのなかでは整然とおとなしいハードさなのだが、これもテレビ番組出演時の映像が出ているが、ギター弾きまくりで意外と長身な彼が凄絶に歌っているという印象を与えるよう、きわめてリズミックにドライヴされていた。
「ランゲージ・オブ・ラブ」の成功の後、グッとその方向にシフトした志向が成功したかどうかはわからない。
私自身はクラシックなど別のジャンルに興味の主体が移ってしまったのであまりウォッチしていなかったこともあり・・・
旧作をたまに楽しんでいるうちに彼は鬼籍に入ってしまっていた、そんな経緯なのだ。。。
でも、ここに遺してくれた作品だけでも私は十二分に彼に御礼を言わなければならない。
アメリカを、そして人間のスピリットを感じさせてくれ私の人生を潤してくれた恩人に対して・・・。
これらはけっして過言ではない。
合掌
(演奏:ダン・フォーゲルバーグ)
1.ランゲージ・オブ・ラブ
2.ウィンドウズ・アンド・ウォールズ
3.ラビング・カップ
4.ツーソン、アリゾナ~ある若者の死
5.レット・ハー・ゴー
6.スウィート・マグノリア
7.ビリーブ・イン・ミー
8.廃墟に今
(1984年)
何気なくネットをサーフしていたらダン・フォーゲルバーグが亡くなっていたことを知った。
それもおととしの12月に・・・。
こうなると訃報を聞いたというタイミングでもないから、追悼特集というわけにも行くまいが、彼の絶頂期の作品、私の洋楽史の中で最もコアな部分の作品のいくつかを感謝をこめて振り返る思いだけでも、天国にいる彼の御霊に捧げたい。
実は、連日記事を投稿していたころからダン・フォーゲルバーグの紹介はしたいと思っていて、記事一覧には2年近くもジャケットの写真が放ってあった。
こんな形で背中を押されて発表することになるとは・・・返す返すも残念なキモチでいっぱい。
トップには最もよく聴いた『ウィンドウズ・アンド・ウォールズ』を配しよう。
アルバム全体を覆う温かくも陰惨なイメージは、今のキモチにしっくり来るから。
「ランゲージ・オブ・ラブ」がスマッシュヒットになったときには、PVのなかで真っ白なジャケットギターをかき鳴らし真っ白な背景で・・・とても彼らしくなかった。
正直、何を日和ったかと思ったものだ。。。
もちろん嫌いな曲というわけでは決して無いのだが。
しかし、その後の楽曲は「何があった?どうしちゃった?」と尋ねたくなるぐらい(ライナーノーツにもそのようにライターは感じた旨を明らかにしていた)トーンの落ちた深い曲が多い。
最もよく聴いたのは『スウィート・マグノリア』。
この曲は大人になった今ならありそうな曲・・・と思えるが、青春時代の終わりっころのヤローにはグッと来るものがあった。
いや、彼女に聞かせたら彼女がグッと来るだろうなというモノがあったのかもしれない。。。(^^;)
スタジオ録音のバックにライブで録音したヴォーカルを被せたとも言われる生々しい声には、やっぱり狙い通りの説得力がある。
畢竟、名唱である。
『ツーソン、アリゾナ』なんてビートルズを意識させずにはおかないタイトルや、『ビリーブ・イン・ミー』なんていう名曲も収められており、いまどきの寒い夜には沁みる歌声であるかもしれない。
1枚選べといわれれば、私はこれだろう。
★フェニックス
(演奏:ダン・フォーゲルバーグ)
1.テュラモア・デュー
2.フェニックス
3.ジプシー・ウィンド
4.ザ・ラスト・トゥ・ノウ
5.フェイス・ザ・ファイア
6.ウィッシング・オン・ザ・ムーン
7.ハート・ホテルズ
8.ロンガー
9.ベガーズ・ゲイム
10.アロング・ザ・ロード
(1979年)
これも名盤。
彼の代表曲といわれれば、あちこちのCMでも使用される人気曲「ロンガー」に止めをさすわけだからこのアルバムを外すわけには行くまい。
しかし、たしかに「ロンガー」は名曲だけれど「ハート・ホテルズ」の形而上学的なバッキングやタイトル曲「フェニックス」の疾走するギターのバッキング(エレキはともかくアコギのほう^^)は、コーラスと併せて爽快なことこのうえない。
イーグルスがある程度洗練されているなかで、この人のそれは骨太さを感じさせるもの。
楽曲の芯も素朴なもので、さしずめアメリカの河島英五というイメージを持っている。
彼が米国人で米国の魂を持っていたらこのような表現をするんだろう・・・勝手にそんな思いをめぐらせることも楽しいが、夭逝するところまで似なくてよかったのに。。。
★イノセント・エイジ
(演奏:ダン・フォーゲルバーグ)
《ディスク1》
1.光年の果てに
2.イノセント・エイジ
3.幻の旅路
4.イン・ザ・パッセージ
5.ロスト・イン・ザ・サン
6.バラに向かって走れ
7.バンドリーダーの贈りもの
8.懐かしき恋人の歌
《ディスク2》
1.ストールン・モーメント
2.ライオンズ・シェア
3.流れ星のバラッド
4.妖精の港
5.魂の嘆き
6.時の流れを超えて
7.風に呼ばれた恋
8.虚ろな翼
9.ゴースト
(1980年)
翻って、アルバムの代表作はと問われれば多くの人はこの『イノセント・エイジ』を挙げるに違いない。
彼の魅力を2枚組みで味わえること、すべての楽曲において彼が殆どすべての演奏をしているとされていること、最初インストの短いテーマ曲からスタートすることが『フェニックス』と同様で曲もダン節とでも言う曲がてんこ盛りであるなど、どこをとっても代表作といって差し支えないものだと思う。
バラエティ豊かとはいえ、ビートルズの『ホワイトアルバム』のような散漫さは無く統一感があるし、大曲と小曲を交える構成はZEPの『フィジカル・グラフィティ』にも似るがお蔵入りを焼きなおしました的なところは皆無である。
要するに、この時期の彼は創作の絶頂だった・・・ということだろう。
それが次回作の『ウィンドウズ・アンド・ウォールズ』で何らかの転機があった・・・その後、エレキギターの迫力を増してより精悍に男性的でハードな音楽を作っていった。
しかし最も人口に膾炙したのはこのころ・・・転機の後はピークを越えるまでに至らなかったといっていいのかもしれない。
私にはリズムセクションの全楽器を自分で演奏したことが裏目に出て、バックの演奏がきっちりしすぎ・・・羽ばたいていく感じがない恨みはある。
ただ彼の魂はどの曲にも宿っていて、シンプルな曲であればあるほどその滲み出るよさ、声のよさがたまらない。
次のグレイテストヒッツに収められているいくつかのバラードなど、彼以外に誰が作り歌えるだろう?
昨今、ユーチューブで彼のコンサートのライブ画像を見たが、ギター一本で歌う姿には慈愛が漲っており、歌声とシンプルなギターの響以上に雄弁な音楽を知らないといって良いほど充実したサウンドを満喫できた。
そしてレコードだったころの各A・B面のラスト曲はすべて大曲、力のこもったものになっているのも大きな特徴。
スティーヴィー・ワンダーのグレイテストヒッツである『オリジナル・ミュージック・エイリアムvol.1』の4曲のラスト曲にも匹敵すると個人的には思っている。
スティーヴィーもグレイテストヒッツの各面のしんがりを新曲で押さえるというのは凄いアイディアだと思ったが、「ザ・リーチ」「ゴースト」などの曲のクォリティは決してスティーヴィーに引けをとらない・・・とさえ思う。
★失われた影 ~オリジナル・グレイテストヒッツ
(演奏:ダン・フォーゲルバーグ)
1.パート・オブ・ザ・プラン
2.ハート・ホテルズ
3.風に呼ばれた恋
4.ロンガー
5.失われた影
6.パワー・オブ・ゴールド
7.メイク・ラブ・ステイ
8.バンドリーダーの贈りもの
9.バラに向かって走れ
10.懐かしき恋人の歌
(1982年)
このアルバムまで紹介するのには2つのわけがある。
ひとつには、先に紹介した素晴らしいバラードが目白押しで並んでいるからである。
無論、最初に紹介した『ウィンドウズ・アンド・ウォールズ』発売前の作品だからその中にあった例えば「ビリーヴ・イン・ミー」といった佳曲は入っていない。
しかし、ふたつめの理由、新曲の必殺バラード「メイク・ラヴ・ステイ」が収められているのはこの盤だけ。
外すわけには行かないのである。
そしてその後、彼はこの中に収められている「失われた影(ミッシング・ユー)」のハードな世界へ向かうことになる。
無論、レコードのなかでは整然とおとなしいハードさなのだが、これもテレビ番組出演時の映像が出ているが、ギター弾きまくりで意外と長身な彼が凄絶に歌っているという印象を与えるよう、きわめてリズミックにドライヴされていた。
「ランゲージ・オブ・ラブ」の成功の後、グッとその方向にシフトした志向が成功したかどうかはわからない。
私自身はクラシックなど別のジャンルに興味の主体が移ってしまったのであまりウォッチしていなかったこともあり・・・
旧作をたまに楽しんでいるうちに彼は鬼籍に入ってしまっていた、そんな経緯なのだ。。。
でも、ここに遺してくれた作品だけでも私は十二分に彼に御礼を言わなければならない。
アメリカを、そして人間のスピリットを感じさせてくれ私の人生を潤してくれた恩人に対して・・・。
これらはけっして過言ではない。
合掌