ブノワ家主宰の、のだめさん初リサイタル再現後半です。
☆アルゲリッチ・ピアノ・リサイタル ~ ラヴェル:水の戯れ
(演奏:マルタ・アルゲリッチ、写真は記事冒頭)
この曲も名演が目白押し。
かみさん所有の“のだめカンタービレ セレクションCDBook 2”なる公式攻略本(?)によると小山実稚恵さんの演奏が収録されていました。ほほぉ~。。。
これもとっても胸のすく快演ですよね。ラヴェルが楽譜の冒頭に記したように「河の精」がいたずらする・・・間違いなく清流の情景。でも、我が国の深山の川の源流のほとばしりって感じがする。。。
でも、ブノワ伯爵は海をイメージしたんだから、やっぱアルゲリッチだね、ってなノリです。
(これも前記事同様、ジルベルシュタインと迷いました。フレーズの弾き始めの音を少しだけ引き伸ばすような感じが、独特の水の流れを生み出しています。ジルベルシュタインはアルゲリッチの主催する音楽祭に定期的に出演するなど、アルゲリッチとは親交が深いようですね。)
アルゲリッチの演奏では、この曲中の最高音からグリッサンドで落ちてきた水の流れは、普通は滝つぼに落ちたような感じの揺らぎの中で次の進み先を確かめるようなイメージが浮かぶのですが、この演奏のスケールは仮に滝つぼだとしてもナイアガラの滝みたい。というより海のふところに落ちて飲み込まれていくさまが大胆にして巧みなペダル操作で現出され、そしてその後は川ではなく波のうねりや飛沫がイメージされるような展開。かといって、決して演奏そのものは肥大した印象を与えない。。。
アルゲリッチ19歳のとき、ショパコン優勝前の演奏ながら、やはりこの方はとんでもない才能の持ち主だということをいやというほどに知らしめる一枚であります。
ただ、このディスクに収められているショパンの「舟歌」で歌い上げられる愛の歌では共同生活はムリ。凄い演奏だけど、凄すぎてこれではオトコがついていけまっしぇん。。。
☆シューベルト・ピアノソナタ全集
~ シューベルト ピアノソナタ第16番 イ短調 D.845
(演奏:イリーナ・メジューエワ)

この曲は以前紹介したフィルクスニーのいぶし銀のような演奏が忘れられませんが、のだめさんが弾いたとなると、うーん、やっぱ若い女性よね。。。ということでのセレクト。
いかにもスタインウエイというピアノの音もとっても印象的です。
マンガの中で“シュベルトは。。。とても気難しいヒトみたいで一生懸命はなしかけてもなかなか友達になれ”ないという実感を持ったノダメさんが、その2年後にどこまでシューベルトと和解できたかを考えるとき、メジューエワの演奏には同じ悩みをくぐりぬけたうえでの奏楽というイメージがあります。
気難しいことはそのまま一旦受け入れて、ところどころ無骨とも思われる表現でもって、美しいところもあり、無理をして笑っているようなところもありという気紛れだけれども概ねそこはかとない悲しみが支配しているこのソナタを彫琢していきます。
ことに第1楽章からは人恋しさ、思い通りにいかない人間関係へのいらだちといった感触が聴き取れます。
でも私は思うんですが、シューベルトと仲良くしよう、ましてやその世界に遊ぼうなどと思うと、命にかかわるのではないかと。。。
この人は、恐ろしく疑り深いというか他人を心から信用できなかった人ではないかと思います。自らのうちにとてもピュアな心を持っているのは認めますが、その部分をむき出しにして痛い目にあったことに起因する、よほど強烈なコンプレックスとか恨みとかを内に秘めていないと、各曲のどこかしらに顔を出す辛辣な音楽の表情は生み出されえなかったのではないかと思えます。
グルダも、それこそがウイーン気質であるとして「笑いながら自殺する」というイメージを表明していますが、確かにそれらしきただならぬ気配を感じます。彼らの微笑みは心の中の怒りや虚無感の表明ではないかと。。。
シューベルトの音楽には、確かに正常な判断能力を損なわせる麻薬のような効能がありせんでしょうか?近づきすぎると幸せになれないような気がするのに、そばに寄らずにはいられないって感じでしょうか。
多くのシューベルト弾きがおのおのその世界に惹かれて、シューベルトと交歓していますが、メジューエワは同級生あるいはわずかに年上のお姉さん的な立ち位置でお付き合いしていますね。リサイタルでののだめさんはどうだったのでしょうか?
<番外編:ブノワ家シャトーでの音楽祭でのターニャさんの演奏曲>
☆モーツァルト・ピアノソナタ全集 ~ モーツァルト:ピアノソナタ第8番 イ短調 K.310
(演奏:クラウディオ アラウ)

これも1枚に絞れといわれると酷ですねぇ。
純粋に好みからすると断然ペライアなんですが。。。ターニャさんがネットリと超ロマンティックに演奏したとなると、うーん。
ここはまったく別の意味で、こゆ~い演奏のアラウを選択しておきましょう。私がPC上の出先でお名前をお借りしてお世話になっているかたでもあるし。。。
このブログにはお初ですよね。そのうち特集しなくっちゃ!
ところでこれは、唯一無二のモーツァルト演奏だと思います。濃厚ではなく重厚のようでいて決して重くもヤボでもなく、底光りするようなピアノの音色から深い世界が描き出されていくようなイメージです。まさに名のある大家の演奏です。
この曲などは、本当に音に聞こえたツワモノがこぞって録音しているので、それぞれの言わんとするところを聞き比べたら楽しいと思います。
ひととおり並べて、このとおり再生してみました。
水の戯れの後、前後半の休憩をいれたんでしょうねぇ。どうも一旦ソデに引っ込んだとしても、ラヴェルからシューベルトっていうのはムリがある。
きっちりと流れを断ち切るべく、時間をあけたほうがいいような気がします。
リサイタルの曲の流れとしてはどうなんだろうなぁ。好きな演奏を並べたからかもしれませんが、結構興味深いリサイタルだとは思いますケド。
モーツァルト演奏から舞台に出ずっぱりでリストっていうのは、ちょっとチャレンジなのかなとも思いますが。。。
のだめさん、ブノワ伯爵のご様子を伺ってリストをチョイスしたのか、選曲はされていたけど出だしをわざと“fff”にしたのかは不明ですねぇ。私としては、ぜひともそこらへんインタビューしたいですね。
テレビのドラマでこのコンサートをフルバージョンでやらないですかねぇ。画面の役者さんはだれにやっていただいても構いませんが、もちろん演奏は高橋多佳子さんで!
最近、モーツァルトやリストはリサイタルにもかかっているし。。。ラヴェルもオンディーヌを弾いてみたいと仰っている。水つながりの曲じゃんか(^^)/
シューベルトも4手でりかりんさんと弾くときのイメージづくりということでどぉだろぉかなぁ~。。。
もちろん一時間では収まりませんから、最終回近くの90分スペシャル番組とかで。。。
この手のドラマって3ケ月ぐらいのサイクルで回るんでしょ。そのときは、かみさんにいって録画しておいてもらおう!
しかし、リサイタルを再現して楽しんでるってかみさんに話したら、やっぱりという顔をして「そういうモンじゃない!」邪道であると怒られそうな気がする。
「勝手じゃんか!!」と思っても反論するとやっかいだから、黙っておくことにしよう。(^^)/
こっちこそ意地になって、人選を変えてまたこのリサイタルを再現したりして。。。
故人もいるので実現は不可能ですが、このメンツでコンサートを開いたらギャラはいくらになるんだろうなどと考えるのも小市民にとってはたわいもない楽しみですねぇ。プロモーターも思いのほか難しいものじゃぁ~☆
そういえば、かみさんは15巻のどこが面白いと思ったのだろう?
モーツァルトのナンネルへの手紙だったりして。。。
エグイ(最近ではキモイというのだろうか)ようにみえるけど、このころの人たちはモーツァルトに限らずこんな手紙をフツーにやりとりしてたようですね。
☆アルゲリッチ・ピアノ・リサイタル ~ ラヴェル:水の戯れ
(演奏:マルタ・アルゲリッチ、写真は記事冒頭)
この曲も名演が目白押し。
かみさん所有の“のだめカンタービレ セレクションCDBook 2”なる公式攻略本(?)によると小山実稚恵さんの演奏が収録されていました。ほほぉ~。。。
これもとっても胸のすく快演ですよね。ラヴェルが楽譜の冒頭に記したように「河の精」がいたずらする・・・間違いなく清流の情景。でも、我が国の深山の川の源流のほとばしりって感じがする。。。
でも、ブノワ伯爵は海をイメージしたんだから、やっぱアルゲリッチだね、ってなノリです。
(これも前記事同様、ジルベルシュタインと迷いました。フレーズの弾き始めの音を少しだけ引き伸ばすような感じが、独特の水の流れを生み出しています。ジルベルシュタインはアルゲリッチの主催する音楽祭に定期的に出演するなど、アルゲリッチとは親交が深いようですね。)
アルゲリッチの演奏では、この曲中の最高音からグリッサンドで落ちてきた水の流れは、普通は滝つぼに落ちたような感じの揺らぎの中で次の進み先を確かめるようなイメージが浮かぶのですが、この演奏のスケールは仮に滝つぼだとしてもナイアガラの滝みたい。というより海のふところに落ちて飲み込まれていくさまが大胆にして巧みなペダル操作で現出され、そしてその後は川ではなく波のうねりや飛沫がイメージされるような展開。かといって、決して演奏そのものは肥大した印象を与えない。。。
アルゲリッチ19歳のとき、ショパコン優勝前の演奏ながら、やはりこの方はとんでもない才能の持ち主だということをいやというほどに知らしめる一枚であります。
ただ、このディスクに収められているショパンの「舟歌」で歌い上げられる愛の歌では共同生活はムリ。凄い演奏だけど、凄すぎてこれではオトコがついていけまっしぇん。。。
☆シューベルト・ピアノソナタ全集
~ シューベルト ピアノソナタ第16番 イ短調 D.845
(演奏:イリーナ・メジューエワ)

この曲は以前紹介したフィルクスニーのいぶし銀のような演奏が忘れられませんが、のだめさんが弾いたとなると、うーん、やっぱ若い女性よね。。。ということでのセレクト。
いかにもスタインウエイというピアノの音もとっても印象的です。
マンガの中で“シュベルトは。。。とても気難しいヒトみたいで一生懸命はなしかけてもなかなか友達になれ”ないという実感を持ったノダメさんが、その2年後にどこまでシューベルトと和解できたかを考えるとき、メジューエワの演奏には同じ悩みをくぐりぬけたうえでの奏楽というイメージがあります。
気難しいことはそのまま一旦受け入れて、ところどころ無骨とも思われる表現でもって、美しいところもあり、無理をして笑っているようなところもありという気紛れだけれども概ねそこはかとない悲しみが支配しているこのソナタを彫琢していきます。
ことに第1楽章からは人恋しさ、思い通りにいかない人間関係へのいらだちといった感触が聴き取れます。
でも私は思うんですが、シューベルトと仲良くしよう、ましてやその世界に遊ぼうなどと思うと、命にかかわるのではないかと。。。
この人は、恐ろしく疑り深いというか他人を心から信用できなかった人ではないかと思います。自らのうちにとてもピュアな心を持っているのは認めますが、その部分をむき出しにして痛い目にあったことに起因する、よほど強烈なコンプレックスとか恨みとかを内に秘めていないと、各曲のどこかしらに顔を出す辛辣な音楽の表情は生み出されえなかったのではないかと思えます。
グルダも、それこそがウイーン気質であるとして「笑いながら自殺する」というイメージを表明していますが、確かにそれらしきただならぬ気配を感じます。彼らの微笑みは心の中の怒りや虚無感の表明ではないかと。。。
シューベルトの音楽には、確かに正常な判断能力を損なわせる麻薬のような効能がありせんでしょうか?近づきすぎると幸せになれないような気がするのに、そばに寄らずにはいられないって感じでしょうか。
多くのシューベルト弾きがおのおのその世界に惹かれて、シューベルトと交歓していますが、メジューエワは同級生あるいはわずかに年上のお姉さん的な立ち位置でお付き合いしていますね。リサイタルでののだめさんはどうだったのでしょうか?
<番外編:ブノワ家シャトーでの音楽祭でのターニャさんの演奏曲>
☆モーツァルト・ピアノソナタ全集 ~ モーツァルト:ピアノソナタ第8番 イ短調 K.310
(演奏:クラウディオ アラウ)

これも1枚に絞れといわれると酷ですねぇ。
純粋に好みからすると断然ペライアなんですが。。。ターニャさんがネットリと超ロマンティックに演奏したとなると、うーん。
ここはまったく別の意味で、こゆ~い演奏のアラウを選択しておきましょう。私がPC上の出先でお名前をお借りしてお世話になっているかたでもあるし。。。
このブログにはお初ですよね。そのうち特集しなくっちゃ!
ところでこれは、唯一無二のモーツァルト演奏だと思います。濃厚ではなく重厚のようでいて決して重くもヤボでもなく、底光りするようなピアノの音色から深い世界が描き出されていくようなイメージです。まさに名のある大家の演奏です。
この曲などは、本当に音に聞こえたツワモノがこぞって録音しているので、それぞれの言わんとするところを聞き比べたら楽しいと思います。
ひととおり並べて、このとおり再生してみました。
水の戯れの後、前後半の休憩をいれたんでしょうねぇ。どうも一旦ソデに引っ込んだとしても、ラヴェルからシューベルトっていうのはムリがある。
きっちりと流れを断ち切るべく、時間をあけたほうがいいような気がします。
リサイタルの曲の流れとしてはどうなんだろうなぁ。好きな演奏を並べたからかもしれませんが、結構興味深いリサイタルだとは思いますケド。
モーツァルト演奏から舞台に出ずっぱりでリストっていうのは、ちょっとチャレンジなのかなとも思いますが。。。
のだめさん、ブノワ伯爵のご様子を伺ってリストをチョイスしたのか、選曲はされていたけど出だしをわざと“fff”にしたのかは不明ですねぇ。私としては、ぜひともそこらへんインタビューしたいですね。
テレビのドラマでこのコンサートをフルバージョンでやらないですかねぇ。画面の役者さんはだれにやっていただいても構いませんが、もちろん演奏は高橋多佳子さんで!
最近、モーツァルトやリストはリサイタルにもかかっているし。。。ラヴェルもオンディーヌを弾いてみたいと仰っている。水つながりの曲じゃんか(^^)/
シューベルトも4手でりかりんさんと弾くときのイメージづくりということでどぉだろぉかなぁ~。。。
もちろん一時間では収まりませんから、最終回近くの90分スペシャル番組とかで。。。
この手のドラマって3ケ月ぐらいのサイクルで回るんでしょ。そのときは、かみさんにいって録画しておいてもらおう!
しかし、リサイタルを再現して楽しんでるってかみさんに話したら、やっぱりという顔をして「そういうモンじゃない!」邪道であると怒られそうな気がする。
「勝手じゃんか!!」と思っても反論するとやっかいだから、黙っておくことにしよう。(^^)/
こっちこそ意地になって、人選を変えてまたこのリサイタルを再現したりして。。。
故人もいるので実現は不可能ですが、このメンツでコンサートを開いたらギャラはいくらになるんだろうなどと考えるのも小市民にとってはたわいもない楽しみですねぇ。プロモーターも思いのほか難しいものじゃぁ~☆
そういえば、かみさんは15巻のどこが面白いと思ったのだろう?
モーツァルトのナンネルへの手紙だったりして。。。
エグイ(最近ではキモイというのだろうか)ようにみえるけど、このころの人たちはモーツァルトに限らずこんな手紙をフツーにやりとりしてたようですね。