【ML251 (Marketing Lab 251)】文化マーケティング・トレンド分析

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「大衆文化のストック化」 (『第四の消費』 三浦展 より)

2012年07月24日 | カルチュラル・キーワード備忘録
(以下、黒字部分は引用箇所)

不安な消費者の二番目の傾向は「永遠志向」である。具体的には海外高級ブランド志向がそれに当たる。海外高級ブランドは、消費者の自分らしさに近づくのではなく、消費者がブランドらしさのほうに近づくべきだという態度を保持している。自分らしさなどという「ぬるい」次元を超えた絶対的なものとして高級ブランドは君臨する。不安な消費者は、高級ブランドが生み出す永遠性という強力な物語に引かれる(ママ)のである。後述する日本ブームなどもこの一種であろうし、最近の神社の人気もそうであろう。千年単位での歴史を持ったものに現代人は引かれる(ママ)のである。

リバイバルブームやレトロブームも「永遠志向」に近い。その対象はグリコ、ディスコ、平凡パンチ、ビートルズなどさまざまだ。大衆文化は本来フローの文化であり、ある一時期に売れても、いずれ消滅し、次の文化に取って代わられるものだと思われてきた。しかし、大衆文化も時間とともに蓄積されて資源になるということをリバイバルブームは証明している。つまり、新しい物(語)をつくらなくても、古い物(語)だけで消費者が十分満足する時代になったのだ。これを私はかねてから「大衆文化のストック化」と呼んだ(拙著『「豊かな社会」のゆくえ』1992)。資産が一〇〇万円しかなければ、どんどん働いて稼がなければならないが、資産が一〇億円あれば、その運用益だけで暮らせるので、がつがつ働く必要はない。それと同じで文化もフローしなければ、次々と新しい流行風俗、ヒット商品を作り出さなければならないが、ストックがあれば、それを使い回すだけでよくなる。企業から見れば、まったくの新製品より、消費者の認知度も好感度も高いかつてのブランドを利用した製品のほうが安心して市場に投入でき、売上げも確実に読めるという効果もある。古い物語の使い回しで十分なのである。

不安な消費者の第三の傾向は「自己改造志向」である。これは、高級ブランドであれ何であれ、物を消費することでは所詮自分らしさやアイデンティティは実現できないことに気づき、自分自身を変えようという態度であり、内面的な自己改造と外面的な自己改造の二つの方向性がある。内面的な自己改造として代表的なものは、さまざまな自己啓発や資格取得、稽古事などの勉強を行う「学習志向」である。

外面的な自己改造としては、茶髪、ピアス、タトゥー、整形などの「肉体改造志向」がある。肉体的改造志向には、より一般的なものとしてフィットネス、筋力トレーニング、ヨガ、さらにサプリメントなども含まれよう。これは藤岡や水野が指摘した「BE」の時代の、言わば究極の姿であるといえる。

(同書127~129ページより)


先日、Facebookで知人がこうコメントしていた。
宝石は人類より遥かに長い歴史がある、だから人々は惹かれるのだと。
普遍的な欲望だろうね。

「大衆文化のストック化」は三浦が指摘する通りの「現象」である。
円環的な時間の流れ、という観点から私 (CMLI) が言えることは、ストック化の流れは今が頂点。
革新的な商品・サービス・文化への希求は緩やかながら高まっていくであろう。

内面的な自己改造。これはゼロ年代から盛ん。
「何のために?」という目標が明確でなければ成果は見込めないこともあり、「資格マニア」への批判の声も少なくはないが、ソーシャルメディアの記事とか見れば実感できる。

外面的な自己改造。
個人差があり、成果が出るには時間がかかるが、達成感が高いのは自分で実感している。
お金による物の購入では到底、不可能なことでもあるし。
三浦の言うように「究極」だろうね。
しかも、普遍的な「病理」だろう(笑)。

自分の経験則から、付け加えると「内面」と「外面」の価値はリンクしてなければいけないよ(笑)。

第四の消費 つながりを生み出す社会へ (朝日新書)
三浦 展
朝日新聞出版

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