NHKスペシャルで地方自治体の財政再建についての特集を2日連続でやって,それぞれ夕張市と岡山市を取り上げていたのですが,岡山市のほうを見損ねていたところ,深夜に再放送があったので興味深く見ました.岡山市は新任の市長の下ですべての事業の見直し,行政改革を進めようとしているのですが,
このプロジェクトを進める特命チーム、行政改革推進課と、事業の存続を主張する担当部局との間で繰り広げられるギリギリの攻防をドキュメントし、膨張する一方の行政サービスを見直すことがなぜ難しいのか、地方自治体が住民に提供すべきサービスとは何なのか、検証する。
という番組でありました.取り上げられていたのは,商店街の中にある「3丁目劇場」,岡山市副都心計画の一部らしい区画整理,高齢者向け公営住宅(?),吸収合併した町の農村集落排水事業といったところでした.結論からいうと公営住宅が民営化となりそうなほかはいずれも本格的な見直しは行われず,ということになりました.たしか.
「なんで増税しないんだ」という意見は当然のことながら出るところではあると思うのですが,そこらへんについては明示的には全くでない,地元負担・自己負担の話もたいして出ない,残った事業を見るとどうも利益集団が強そうだ,というあたり非常に興味深いのです.どれか削れ,というはなしになったら最初にあげられるのは3丁目劇場,農村集落排水事業ではないかとおもうのですが,他方で,区画整理については,防災・下水道整備の方面で攻めたほうが説得力があるんじゃないかとか思いました.はい.高齢者向け公営住宅を見ていると,「なぜ都会の年寄りはあっさり引っ越してしまうのであろうか」と,夕張市の独居老人の雪下ろしの話を思い出してしまうのですが,やはりメンタリティの違いなんでしょうか.高齢者向けの集合住宅を作るということは,都市部のある種の「限界集落」のソフトランディングに資することになるので,あんまり削らないほうがいいような気がしたんですが.もちろん,民営化によって低い費用で同じ成果を達成できるのだったらそれに越したことはないんですが.
全然関係ないですが,市役所内の交渉ごとなどでは岡山の方言が使われていて,近くの出身者としては懐かしさもあるわけですが,さすがに取材班とのインタビューでは標準語をみなさんお話になるわけです.それはそれでよいのですが,そのなかで行政改革推進室長が「行政改革をたいぎがってちゃいかん」と言うわけです.ほかの部分はまったくもって標準語なので,「たいぎがっちゃいかん」という言い方にえらく同意してしまいました.ええたしかに,「たいぎい」というのは「てっきり標準語と思っていた方言」の代表格ではあるんですが.