巨大な木がある。冬、真下に立って見上げるとどこが梢なのかわからない。どの枝先が一番空に近いのか。その枝とは逆に地中には根が広がっている。肉眼では見えない。
巨大な木を見上げるとき、木と私は別個の存在なのだが、別個の存在であると考えるはじめると、どうにも納得ができない。
別個ではなく「ひとつ」と感じるのだ。
しかし、すぐにその考えに仕返しされる。
私は手を天へ向かって伸ばすことはできる。しかし、足はどんなに工夫しても地の中へは広がっていかない。
「ひとつ」になれるはずがない。
何が邪魔しているのだろうか。