詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

高柳誠『フランチェスカのスカート』(20)

2021-07-29 09:51:46 | 高柳誠「フランチェスカのスカート」を読む

高柳誠『フランチェスカのスカート』(20)(書肆山田、2021年06月05日発行)

 「二重性」。指で星をなぞっていくと、

  動物のかたちが夜空にとつぜん広がって、それぞれの物語をかたり
  始める。

 「とつぜん」は学校文法的には「かたちが広がる」の「広がる」にかかるのだが、私は「物語をかたり始める」の「かたる」にかかっていると読む。高柳のことばは、先へ先へと進む。その推進力のようなものが「とつぜん」であり、それは「文法」を飛び越えて先へ進む。
 「二重星」と「にじゅうぼし」と読むのだろうか。「にじゅうせい」と読むと「二重性」になり、それは「とつぜん」の動きを説明しているようにも見える。「ひろがる」と「かたる」の二重のことばを突き動かす力をもっている。

                 死んだら、あの二重星のそばに昇
  っていけるのだろうか。それなら死ぬのもこわくないのだが、なに
  もわからなくなって広い空ではぐれてしまったら、そう思うと…、
  こわい。

 「二重」の反対のことばは「単独」というよりも「はぐれる」だろう。ことばは「二重」の意味を持つことで、緊密な世界をつくりあげる。ことばにしかたどりつけない世界をつくりあげる。しかし、二重を失うと、どうなるのか。
 「こわい」と、高柳は、めずらしく「心情」を語っている。
 この作品は、そこがとても印象的だ。

 


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