3 28系統のバスで
路面電車の軌道をまたいで
砂津の角を曲がった
右手から夕暮れの空が
ビルの角を鋭角に切った
小文字通りの交差点で
ビルの影を切った色が一面に広がった
建物の稜線が光っている
失われる寸前の冷たい光が
一点透視の構図を作る
「夕陽と夕焼けの色には
ずいぶん違いがあるのね」
意味を探すように
沈んでいく太陽を探したが
アメリカスズカゲの実
しか見えなかった
読売新聞の角で
女といっしょに振り向いてみたが
赤く濁った空に
段電光社のアンテナが
黒く透けているだけだった
街の内臓みたいだ
灰の構造みたいだ
だがうまくことばにならない
「日が落ちるのがはやくなった」
言い古されたことばに頼って
こころとは違うことしか言えなかった
(アルメ230、1984年12月25日)
路面電車の軌道をまたいで
砂津の角を曲がった
右手から夕暮れの空が
ビルの角を鋭角に切った
小文字通りの交差点で
ビルの影を切った色が一面に広がった
建物の稜線が光っている
失われる寸前の冷たい光が
一点透視の構図を作る
「夕陽と夕焼けの色には
ずいぶん違いがあるのね」
意味を探すように
沈んでいく太陽を探したが
アメリカスズカゲの実
しか見えなかった
読売新聞の角で
女といっしょに振り向いてみたが
赤く濁った空に
段電光社のアンテナが
黒く透けているだけだった
街の内臓みたいだ
灰の構造みたいだ
だがうまくことばにならない
「日が落ちるのがはやくなった」
言い古されたことばに頼って
こころとは違うことしか言えなかった
(アルメ230、1984年12月25日)