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詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

3 28系統のバスで

2019-04-03 15:25:35 | アルメ時代
3 28系統のバスで



路面電車の軌道をまたいで
砂津の角を曲がった
右手から夕暮れの空が
ビルの角を鋭角に切った

小文字通りの交差点で
ビルの影を切った色が一面に広がった
建物の稜線が光っている
失われる寸前の冷たい光が
一点透視の構図を作る

「夕陽と夕焼けの色には
ずいぶん違いがあるのね」
意味を探すように
沈んでいく太陽を探したが
アメリカスズカゲの実
しか見えなかった
読売新聞の角で
女といっしょに振り向いてみたが
赤く濁った空に
段電光社のアンテナが
黒く透けているだけだった

街の内臓みたいだ
灰の構造みたいだ
だがうまくことばにならない
「日が落ちるのがはやくなった」
言い古されたことばに頼って
こころとは違うことしか言えなかった


(アルメ230、1984年12月25日)

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