前を歩いている男に
前を歩いている男に追いつき、追い抜いた。
古本屋の前で。何度も通るが、行こうとするとたどりつけない
饅頭屋「駒や」の近くの、古本屋。
その瞬間、どこへ行こうとしていたのか忘れてしまった。
茶色の箱に入った古い活字の本がガラスのむこうに並んでいる、
背表紙の文字が読めそうで読めない男はガラスの半透明の影になり
本で埋めつくされた書架の路地に消えていく。
入れ代わり、闇の中から縁が変色した
別の男が出てきて、ことばのからだをすりぬけていく。
古いセーターの固くなった匂いと、積みかさなった本の匂いが似てくる。
そんなことばが、狭い犬小屋に閉じこもっている「駒や」の
柴のカタクナのように感じられる昼。
*
「谷川俊太郎の『こころ』を読む」はアマゾンでは入手しにくい状態が続いています。
購読ご希望の方は、谷内修三(panchan@mars.dti.ne.jp)へお申し込みください。1800円(税抜、送料無料)で販売します。
ご要望があれば、署名(宛名含む)もします。
「リッツオス詩選集」も4400円(税抜、送料無料)で販売します。
2冊セットの場合は6000円(税抜、送料無料)になります。
前を歩いている男に追いつき、追い抜いた。
古本屋の前で。何度も通るが、行こうとするとたどりつけない
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その瞬間、どこへ行こうとしていたのか忘れてしまった。
茶色の箱に入った古い活字の本がガラスのむこうに並んでいる、
背表紙の文字が読めそうで読めない男はガラスの半透明の影になり
本で埋めつくされた書架の路地に消えていく。
入れ代わり、闇の中から縁が変色した
別の男が出てきて、ことばのからだをすりぬけていく。
古いセーターの固くなった匂いと、積みかさなった本の匂いが似てくる。
そんなことばが、狭い犬小屋に閉じこもっている「駒や」の
柴のカタクナのように感じられる昼。
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![]() | 谷川俊太郎の『こころ』を読む |
クリエーター情報なし | |
思潮社 |
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![]() | リッツォス詩選集――附:谷内修三「中井久夫の訳詩を読む」 |
ヤニス・リッツォス | |
作品社 |
「リッツオス詩選集」も4400円(税抜、送料無料)で販売します。
2冊セットの場合は6000円(税抜、送料無料)になります。