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詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

高塚かず子「噴水」

2007-07-11 15:09:11 | 詩(雑誌・同人誌)
 高塚かず子「噴水」(「something 5 」、2007年06月25日発行)
 「混声合唱とピアノのための組曲・水の旅」のなかの1篇。

爛漫の桜
らんまんのさくら

 書き出しのこの2行。読んだ瞬間音楽が聞こえたような錯覚に襲われた。「合唱」のなかで、明確に違った音として響くこと、違いながらも重なり合って響くことを期待して高塚は書いたのだと思う。ことばを提供するだけではなく、音そのものも提供しているのだ。

水はきらめく 噴きあげる
霞が池と呼びかわして
水はささやく
ひとのいとなみ
旅の途中のできごとを

さあさあとしなしなと
水はきらめく 噴きあげる

らんまんのさくら
見あげる母の腕のなかで
赤ちゃんが不意に
むちむちした手を振る
赤ちゃんだけに見えたのは
ほほえみかけた 水の妖精

あ いま 噴水に溶けていく

 「さあさあとしなしなと/水はきらめく 噴きあげる」の2行が美しい。そして何より、最後の「あ いま 噴水に溶けていく」が耳線(視線のように「耳」にも音をおいかけるものがあると仮定してだが)がひっぱられて行く感じがする。
 合唱曲になったものを聞いてみたいと思った。




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