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詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

比喩

2015-02-04 00:44:48 | 
比喩

二月の月が空の天辺にのぼる時間、
私の部屋の窓から見えるビルの裏側にもう一つのビルがあって、
その三階の角の窓は破れている。
夜になるとその部屋のなかの闇は外よりも暗くなり、
壁に黒い穴が開いているように見える。
壁にまでたどりついた月の光は割れたガラスの縁のところで拒絶され、
部屋のなかに入ることができない。

その下の上り坂を通りながら、私は考える。
私が私の部屋にいて、私の窓からは見えないこの窓についてことばを動かすとき、
あの暗い穴は私の比喩だろうか。
それとも私があの暗い穴の比喩なのだろうか。

*

谷川俊太郎の『こころ』を読む
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思潮社

「谷川俊太郎の『こころ』を読む」はアマゾンでは入手しにくい状態が続いています。
購読ご希望の方は、谷内修三(panchan@mars.dti.ne.jp)へお申し込みください。1800円(税抜、送料無料)で販売します。
ご要望があれば、署名(宛名含む)もします。
リッツォス詩選集――附:谷内修三「中井久夫の訳詩を読む」
ヤニス・リッツォス
作品社

「リッツオス詩選集」も4400円(税抜、送料無料)で販売します。
2冊セットの場合は6000円(税抜、送料無料)になります。
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長い雨のあと

2015-02-03 06:00:00 | 
長い雨のあと

長い雨のあと、流れ込んできた泥で池の水は黄色く濁っている。
裸の木は濡れた黒い幹を逆さまに映している。
透明な水に映るときよりも、なまめかしい強さがある。

黄色い泥のせいかもしれない。
鏡が朱泥によってガラスの透明を失い、透明な反射を手に入れるように、
池は濁りを体内にためこむことによって
つややかな色を水面にひろげる。

共犯、ということばが割り込んでくる。いま、ここにはない比喩と結びつき、
意味をつくりたがっている。その欲望。
しばらく放っておいて、まだ放っておく、そしてことばは少し引き返す。

水中をまさぐるように幹から分裂して潜っていく黒い枝の間には
灰色の空がやはり逆さまに映っている。
この空が逆さまに映るということばは、つまらない観念か、
あるいは発見か。

うまくいかない--詩にならない。
共犯の方へついていけばよかったのか。
コンビニエンスストアで買ってきたエッグサンドを噛み散らしながら
ことばは考える。考えをやめるためには
石でも投げ落として池のそこからさらに濁った泥を噴き上げさせるしかない。


*

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十二時を過ぎたバーは

2015-02-02 00:06:16 | 
十二時を過ぎたバーは

十二時を過ぎたバーはがらんとしていた。
テーブルのまわりに椅子の座面が見えた。空気が固くなっている。
値打ちのない椅子の影と、影になれなかった黄色い光が
床の上に交差して落ちていた。
壁に埋め込まれた明かりがつくり出した影と光が。

ことばは、客が帰るのを待っているバータンダーになって、
好きな小石を探して歩いた遠い川原を思い出す。
水に磨かれたのか、他の石に削られたのか、丸い石。そんなものにも
「磨く」とか「削る」とかということばとなって動く大切なものがある。

あるひとつの石に自分をあずけ握りしめた遠い夏。
いつのまにこころが通わなくなったのか、なくしてしまった。
あの川原のがらんとした夕暮れにも
草の作るまっすぐな影と夕日の黄色い色が広がっていた。


*

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一行も書けなかった日、

2015-02-01 06:00:00 | 
一行も書けなかった日、

一行も書けなかった日、
ことばを探して本を開くと、初めての本なのに傍線が引いてある
(読んだことを忘れて知ったのか……

街角で親しげに声をかけられて
(私のことを知っているのだろうか、
少しずつ知っている顔になってくるようだが、
話題がかわった瞬間、顔が裏返り再び遠ざかるような
そんな感じの本。
(私が疑っていることに気づいただろうか

「あれをおぼえているかい?
あまりにもどこにでもありそうなことなので、
相槌を打ってしまったが、
突然個人的なことを聞かれたら嘘だとばれてしまう。

一行も書けなかった日、
ことばを探してページをめくると、次の行が黒く塗り潰されて終わっている。


*

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細い階段のぼったところにある

2015-01-31 06:00:00 | 
細い階段のぼったところにある

細い階段を上ったところにあるコーヒー店で、
ことばはきのうの詩のつづきになろうとする。

壁の棚には小さな白いカップがすっかり整頓されている。
その輪郭の反射が見えるだけの、つらくなるような薄暗さ。

ふたりは目をあわせないようにしながら視線の端で相手を確認していた。
テーブルの上ではコーヒーが冷えてざらざらした味にかわる。

--出ようか。
聞こえないふりをすると、

--出ようかと言ったのが聞こえないのか、聞きたくないのか。
--いいよ、ここに用はない。

(この男はけしからん奴だという思いが
ひとこと聞くごとに確信にかわってゆく。)

ということばを、どちらの男の胸のなかに走らせればいいのか。
ことばは迷いながら細い階段へのドアを描写する、その詩。


*

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夕暮れの灰色の空を

2015-01-30 06:00:00 | 
夕暮れの灰色の空を

夕暮れの灰色の空を固まっては崩れ、また固まって飛んでいる、
あの無数の鳥の群れは何という鳥なのか。

光をどこかに隠している灰色の空はどこまでも広く、
鳥の群れは無数に見えてもその広さを埋めつくすことができない。

黒い小さな影になって呼びあうこともない鳥の群れは
どこへ飛べばいいのかわからないまま、その形を崩しては建て直す。

はじき出され飛び散ってしまいそうになる一羽になることを恐れているのか、
一羽になってしまおうとする鳥がいることを他の無数が恐れているのか。

感情が割れてしまって別なものになるのを恐れるように
夕暮れの灰色の空を、固まっては崩れ、また固まって飛んでいる。


*

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詩のことば

2015-01-29 00:22:31 | 
詩のことば

女が歩いてくる。服が揺れる。
しなやかに光る布が、女の体の動きを少し遅れて反復する。
女の欲望がめざめて
表にあらわれてくるようだ。

詩のことばも、そんなふうだったらいい。

読んだ人のまわりで
ことばが揺れる。
意味をほどかれたことばが
人のおぼえていることを
少し遅れて反復する。
言いたかったことが
目覚めて動く。

少し遊びのあることば、
少し間違えたことば、
の方が
詩のことば



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誕生日の翌日

2015-01-28 01:35:03 | 
誕生日の翌日

青いガスの炎が花びらのように広がっていく、
その一行を書きたくて
コーヒー茶碗と受け皿とスプーンをととのえる
砂糖もミルクもつかわないが
朝の光をはじくためにスプーンはなくてはならない

テーブルの上に薔薇。
きのうの夜とは違った形で影をつくっている


*

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前を歩いている男に

2015-01-27 01:36:10 | 
前を歩いている男に

前を歩いている男に追いつき、追い抜いた。
古本屋の前で。何度も通るが、行こうとするとたどりつけない
饅頭屋「駒や」の近くの、古本屋。

その瞬間、どこへ行こうとしていたのか忘れてしまった。
茶色の箱に入った古い活字の本がガラスのむこうに並んでいる、
背表紙の文字が読めそうで読めない男はガラスの半透明の影になり

本で埋めつくされた書架の路地に消えていく。
入れ代わり、闇の中から縁が変色した
別の男が出てきて、ことばのからだをすりぬけていく。

古いセーターの固くなった匂いと、積みかさなった本の匂いが似てくる。
そんなことばが、狭い犬小屋に閉じこもっている「駒や」の
柴のカタクナのように感じられる昼。

*

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女がたばこを

2015-01-26 00:50:29 | 
女がたばこを

たばこを吸う女の横顔は野蛮で美しい。
この一行をどう思う?

野蛮よりも野性的の方がいい。
女がたばこを吸う、その横顔は野性的で美しい。

リバーサイドのホテル。川面の反射が、
駐車場のナンバー隠しのカーテンに飛び散る。

女は辛っぽい煙を吐き出し、人のつかった
バスタブを洗う仕事なんてもうやめてしまいたい、

そう思っている。野性的では美しすぎないか?
たばこを吸う女の横顔は破壊されたように美しい。

たばこを吸う女の横顔は憎しみのように美しい。
たばこを吸う女の横顔は醜くて強烈だ。

何度も相談して書き直したが詩にならなかった。
川面は冬の陽を、女のいないホテルに反射させている。


*

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スペイン語教室

2015-01-25 00:47:29 | 
スペイン語教室

カフェのテーブルサイドの小さなランプが
女の指に小さな影をつくって、散らかした。
森のなかの蝶のように
隠れたりあらわれたりするのを見ていた。

「誰にも知られたくないこと」という作文のテーマが出たとき、
そんな文章をつくったら、ラウラ先生は不思議な顔をした。
テーブルの下で裸の膝が閉じたり開いたりするのでどきどきした、
と書きたかったが「膝」ということばがわからなかったので。

「あら、そっちの方が秘密っぽいわね」
傷ひとつない冬の午後が消えてしまった。


*

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電話

2015-01-24 01:44:40 | 
電話

電話をかけにいく間、ことばは、ずっと練習した
「あれから、どうなったかな?」

鏡の前を通るたびに顔を写してみる具合に。
正面、左の横顔、右の横顔、

向き合った鏡のところでは
後ろ姿まで写して確かめるように。

「あれって何?」
磨き上げたガラス窓越しにとんまな顔があらわれるのは許せない。

窓には鏡と同じように、枠があって、枠のために鏡と勘違いするのだが、
「もう、いい」

でも、結局言わないまま、もう電話をかけにいくことができない
時代になってしまった。何年前のことだろう。



*

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連載小説

2015-01-23 01:04:29 | 
連載小説

朝、台所でコーヒーを入れながら、ことばは新聞の連載小説を片目で読んでいた。
もう片目はポットに落ちていくコーヒーを見ていた。
頭では、ことばは何になる準備をしていたのだったか思い出そうとしていた。

小説の中ではネクタイをしめた男が出てきて、
黄色いバターの塗ったパンをかじり終えてコーヒーを待っている。
コーヒーが出てくるまで新聞を折り畳みながら、連載小説を読んでいる。

咳をして(時間がないので催促している)
足を組み換えて(時間をどうつかっていいのか考えていないので)
靴下の色とズボンの色が黒い革靴にあうか茶色の靴にあうか……。

その小説にはストーリーがなくて、小説を読む人の細部だけが何日もつづき、
しかも人物の名前が毎朝変わっている。
まるで意味不明の現代詩だという批判が読者から投書されてきたという。

そこで書き手のことばは、こんなふうに説明する。登場人物は
これからますます増える。増えすぎるて誰が誰なのか区別がつかなくなる。
つまりひとりに見えてきたら、そこで小説は終わるのだ、と。


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もう一度

2015-01-22 00:15:18 | 
もう一度

もう一度思い出してみる
雨に濡れた舗道の、1ミリで揺れている明かりを踏み、引き返すように

あそこで終わらなければならなかった、
立ち上がるとき椅子が倒れた、両手をつかって椅子を起こした。

でも、その前に笑い声といっしょに始まってしまっていた。
幾つ目の角を曲がるか知らないと言ったら、

橋を渡らずに、どうして角を曲がると知っているのか、と問いかける声があって、
その後ろにコートと黒いマフラーがぶら下がっていた。

冷たい夜を歩くと、
ビルの上の星のように喉仏のあたりが研ぎすまされる。











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美術準備室

2015-01-17 01:03:32 | 
美術準備室

もしかしたら間違っているかもしれない、
階段の途中で気がついて引き返した。

鍵を開けた瞬間、乾く前の粘土の冷たい匂い。
あの棚の後ろ。

間違っていなかった、
そこから私をみつめていた。

先生のつくりかけの、その塑像。
あと少しで棚から落ちる位置まで動かすと、

そうされることは知っていたという目をした。
そして次の日に起きたこと。

もしかしたら間違っているかもしれない。
十五歳の放課後。


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