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世俗の世を捨てた人生とは、元直木賞作家『出家への道』

2020-06-27 08:04:51 | 人生を「生かす」には
人生につまずいた者しか語れない体験から教訓を綴った本書に学ぶこと、それは『精進』(仏教の10戒)。人として何が正しいのか、何が間違ってるのか、欲を抑え忍ぶ事、とある。 人として、一人前の大人になるには「人の情動・常道・成道」を幼い時に知るべきだと言うのが教訓だ、と感じた。 人生の選択で踏み外してはいけない事、それは『邪道』「八正道」だと思う。 政治家の常套セリフ「法を犯すことはしていない」「金銭をもらいました」など政治家に小学生にも判る道徳教育を徹底すべき世になったのは寂しい。

『出家への道』プラ・アキラ・アマロー(笹倉明)
・我欲に流され、愚行を重ねてきた己の人生の清算のために、一つの決心をする「人生の敗退者」が、ブッダの教えに導かれ、新たな道を歩み始めるまでを綴った感動の記録。
人生のつまずき(精進性の希薄さ)から日本を飛び出してタイで出家した団塊世代の元直木賞受賞作家。精進(覚悟と信念)不足から我欲に流された理由は戦後教育と家庭環境にもある、と言う。 両親は共に熱心な教育者だったが国政教育から当たり前のことを当たり前に教える(試験の点数さえ良ければ全て良しとした教え・入試試験に必要となる知識の詰め込みに始終した)、そうなった戦後教育(教育勅語)に人間的な交流に欠け、人としての道、あるべき姿を教える時間を持たない教育現場とする点があった。
・異国タイで10年後に出家する。その決意の本願は自らが招いた才能過多(小説家としての才能)に対する不安、と家族との行き違いだった。結婚後の生活は苦しく、長女ができた時点で別居生活、別の女性が妊娠。生活苦から両親からの支援を仰ぎ、別居生活をしたいたが3人の子どもに恵まれたがついに離婚、別の女も籍を入れない別居生活となる。子供も職を転々とする有様で家族がバラバラで四苦八苦状態になる。
・「人生の敗退者」
    煩悩に対する抵抗力の弱さ、心の隙につけ込んできたものへの無防備さ
仏教の10戒(離れること・しないこと)
    殺生・盗み・性行為・虚言・酒・贅沢な食事・舞踊/音楽・身を飾る事・ベッド・お金
・仏教の「四依」原則
    托鉢食 食は托鉢で得る事
    糞掃衣 衣類は誰のもでもなくなったボロ布で作ったものを
    住は樹下 儒家の下に起居場所とする
    薬は牛の尿  現在は薬を購入できる
仏教の修行=「八正道」「俗世を捨てる決心」(戒・定・慧)
    正語・正業・正命・正見・正思惟・正精進
    慢心・渇望・執心
・幼少期から大人へと成長していく過程において、これだけは人として守らなければならない規律とか、そこに「信」をおいていれば道を踏み外すことがない教えとか、信仰の対象、それに相当するものが多いに欠落していた。 抑えることをしなかった我欲や忍耐の欠如した精進(努力)不足にしろ、私生活における成り行きにしろ、落第点しか取れななかった。たどり着いた帰依、それが最も信じ仰ぐに足るものと確信した。生きながら得た自らを最低限の幸として、そこから再び息改めさせてくれるものは他にないと悟った。(1505年建てられたワット・パンオン寺院・チェンマイの旧市街地)