“さるかに合戦”  臼蔵 と 蜂助・栗坊 の呟き

震災や原発の情報が少なくなりつつあることを感じながら被災地東北から自分達が思っていることを発信していきます。

オバマ氏歴訪が示したもの

2014年04月30日 12時58分09秒 | 臼蔵の呟き

アメリカが世界の警察官としての地位を果たせなくなることを嘆くような論調がアメリカ、イギリスなどで強く出ています。しかし、軍事力を背景とした政治的圧力を利用した政治、外交が正当性を持つのかどうか改めて考える必要があると思います。国連を中心とした、政治、外交のあり方、その機能強化こそが問われ、検討されるべき課題だと思います。アメリカの軍事力は腐ってもタイというほどの巨大な軍事力を誇っています。その意味では、アメリカに軍事力で対抗しようとして対応できるはずはありません。しかし、そのアメリカが繰り返す軍事侵略により疲弊し、国力の消耗をしていることは事実であり、その現実を直視することこそがアメリカ政権、支配層に求められているのが現実なのだと思います。

中国の政治的、軍事的台頭も、経済発展によりもたらされたものです。その経済力は安い労働力と、巨大な人口がもたらしています。そのような要因は、中国経済の発展が進めば、先進工業国と同じような人件費の高騰、大量生産、大量消費的な産業は必ず、他の新興国企業に追撃されるはずです。したがって、歴史の中で見れば、一時的な現象、到達点であり、中国だけが繁栄するわけではありません。15億人とも言われる中国国民の貧富の格差改善、環境汚染問題、食料自給率の確保、国内における民族問題などが焦眉の課題であることはあきらかです。

中国との領土問題、海洋権益問題は紛争を話し合いで解決すること意外に方法はないことを周辺国も理解すべきです。経済的な依存関係がますます強く名手いる状態では、軍事衝突、外交上の軋轢は何一つ、当事国国民に良い結果をもたらさないことはあきらかです。アメリカがそのような経済、領土、外交問題の1つ1つに関与し、解決するために軍事力を使うことなどは軍事的、物理的に出来るはずもありません。

<信濃毎日新聞社説>オバマ氏歴訪 アジアの対話を進めたい

 アジアの安定をどう図るか―。あらためて考えさせられるオバマ米大統領の4カ国歴訪だった。中国との関係改善をはじめ、日本の課題は多い。同盟強化だけに傾くのでなく、周辺国との外交に努力を重ねなければならない。

 オバマ氏は23日からの訪日に続き、韓国、マレーシア、フィリピンと駆け足で巡った。東南アジアは昨秋に歴訪を予定しながら、米政府機関の一時閉鎖の影響で中止した経緯がある。掛け声倒れと批判されるアジア重視戦略の立て直しが目的の一つだった。

 シリアやウクライナの問題をめぐり、米国の影響力低下が指摘されている。同盟国の懸念や動揺を抑える狙いもあった。各国首脳との会談などで、東シナ海や南シナ海で周辺国と対立する中国を強くけん制している

 フィリピンでは、首脳会談に先立ち、米軍の派遣拡大を図る新たな軍事協定を両国が結んだ。日本で米大統領として初めて米国による尖閣諸島の防衛義務を明言したのに続き、同盟国を守るとのメッセージを発した形だ。新軍事協定により、1992年までにフィリピンから完全撤退した米軍が22年ぶりに回帰する。撤退したことで、中国に海洋進出の拡大を許したとの反省に立つものだ。首脳会談では、協定が同盟深化や地域の安定に寄与することを確認した。

 一方で、中国との決定的な対立を望まないオバマ政権の対中戦略もうかがえる。日米共同声明では国際社会のさまざまな課題に対処する上で中国が果たす役割の重要性を指摘した。歴訪中、領有権争いについて平和的解決も繰り返し強調している。オバマ氏は安倍晋三首相との会談で、中国と「信頼醸成措置」を講じるよう求めた。日中の衝突に巻き込まれることへの警戒感の表れだろう。中国をけん制しながらも、対中関係を重視している。

 韓国での首脳会談では、日韓両国に「歴史問題を原因とする緊張関係を解くのと同時に、未来を見て繁栄と平和のために努力しなければならない」と促した。

 いずれも米国自身の国益に照らしてのことだろう。オバマ氏に言われるまでもなく、日本は主体的に中韓との関係改善を急がなくてはならない。北朝鮮の挑発行為を防ぎ、核・ミサイル開発をやめさせるためにも結束が欠かせない。

 韓国とは日米韓首脳会談に続き局長級協議も始まった。対話の機運を生かす必要がある。

<レコードチャイナ>

2014年4月26日、環球時報(電子版)によると、オバマ米大統領の日本訪問について、海外メディアは「手ぶらで離日」「失敗」「尻すぼみ」など厳しい見方を示した。米誌タイムは「大統領は手ぶらで日本を離れた。今回のアジア歴訪の鍵となる目標だった日本との貿易交渉は、合意に達しなかった」と評した。

米紙ニューヨーク・タイムズは、「大統領が最も重視する二つの外交政策が失敗した」と指摘。中東和平は挽回の兆しが見えず、東京ではアジア戦略の後ろ盾となる環太平洋経済連携協定(TPP)交渉を前進させられなかったと厳しい見方を示した。

英BBC(電子版)は「日米共同声明が“難産”だったことで、TPP自体も“流産”する可能性がある」と今回の訪日を総括した。中国の日本問題専門家で、清華大学当代国際関係研究院の劉江永(リウ・ジアンヨン)副院長は、「日中問題でこれほど明確に一方に肩入れした米大統領はかつていない」とした上で、「TPP問題で日本側の譲歩を引き出せなかったばかりか、日本が東アジアで繰り広げている争いにおいて、米国自身を“人質”にしてしまった」と指摘。「オバマ大統領の訪日は事実上失敗した」と結論付けた。(翻訳・編集/NY)


衆議院鹿児島補選 

2014年04月30日 10時58分06秒 | 臼蔵の呟き

今回の補選は、徳田議員の選挙違反、政治と金の問題が問われた選挙です。その意味では自民党、自民党政権はその反省をどう行い、実効あるものとしたのかが問われるべき選挙です。その意味では、彼らが心因されたと豪語するのはお門違いもはなはだしいと言うしかありません。猪瀬都知事の収賄事件、みんなの党代表の5億円事件と、政権党、政権党にすりよる政党の腐敗、政治を金でねじ曲げるような選挙活動、政治を止めるべきです。

もう1つの問題は、消費税率の引き上げは経済に影響を大きく与えていないとする宣伝が大手新聞、NHKなどで大々的に行われています。バカなことを言うなと、言いたいと思います。弱者の生活は着実に追い詰められています。年金を切り下げ、医療費負担を増加させ、消費税で収奪を行う。景気が悪くならないはずがありません。どんどん、普通の国民は、生活を切り詰めなければならないことはあきらかです。また、教育関係費の負担は重くなり、奨学金も金利負担、返済のために卒業、就労している中で、奨学金などの返済に追われることが常態化しています。先日もNHK報道番組で報道されたではありませんか。

鹿児島で問題になる原子力発電所再稼動、集団的自衛権・解釈改憲、TPP交渉の問題などを真正面から選挙の争点として訴える、その判断を選挙民に訴えたかどうかこそが問われるべき問題です。そのことを行って、低投票率になるのか?なぜ、このような低投票率になったのかこそを、総括すべきです。

野党の政策がばらばらとの指摘です。野党とは政権党、政権に対して具体的な政策対置できる政党のことを指します。その点では、民主党、みんなの党、維新の会、結いの党などは自民党派閥、系列党と言ってもよい党派です。ばらばらではなくて、自民党政権を党外からけしかけ、援護する役割を演じています。バラバラではなくて、大勢翼賛政党としての批判をすることこそが妥当なのです。国政の問題がどこにあるか国会を通じて、国民にあきらかにすることこそが政党の責任であると思います。その上で、国民生活向上、国民主権の不断の努力、向上を実現することこそが政治に求められているのだと思います。

<北海道新聞社説>衆議院鹿児島補選 政権信認には程遠い

 これで安倍晋三首相の政権運営が信任されたとは言えない。

 徳田毅前衆院議員の辞職に伴う衆院鹿児島2区補選で、自民党公認、公明党推薦の新人が民主など4野党推薦の元職らを破った。与党陣営は集団的自衛権の行使容認や、再稼働に向けた審査が優先的に進められる同県内の九州電力川内原発の問題にはほとんど触れなかった。争点隠しと言われても仕方ないだろう。にもかかわらず、政府・与党は「政策に理解を得た」として、懸案解決に弾みをつけたいようだ。

 国論を二分する大きな問題を強引に押し通せば民主主義がゆがむ。数の力に頼るのではなく、反対意見に耳を傾け、丁寧な合意形成に努めてもらいたい。

 消費税増税後初の国政選挙だった。しかし、投票率は同選挙区で過去最低の46%となった。与党陣営の喜びようとは裏腹に、有権者の関心の低さを物語っている。

 政府・与党は与党候補の勝利について「消費税増税の影響は限定的だった」として、これまでの経済政策に自信を深めている。法人税減税に意欲を見せるなど成長戦略を推進する構えだ。だが、選挙で与党が強調したのは公共事業依存型の経済政策だった。首相が遊説で強調したのも選挙区内にある奄美群島の振興予算増額などの実績である。古い自民党の発想から脱していない。

 鹿児島2区は環太平洋連携協定(TPP)交渉の重要5農産物に含まれるサトウキビや牛肉・豚肉の産地である。与党候補は関税維持を訴えたが、譲歩を繰り返す交渉の実態と食い違っていないか。

 補選を政権信任選挙と位置づけるなら、重要な国政課題を堂々と訴えるべきだった。出口調査でも集団的自衛権や原発、TPPへの関心は薄かった。勝利が決まってから「信任を受けた」と主張するのはこじつけと言うほかない。

 有権者が最も重視したのは「政治とカネ」の問題だ。自民党に所属していた徳田氏への批判票は野党候補にも流れた。率直な反省が必要だろう。目立ったのは野党の力のなさである。4党は「政治とカネ」の問題では与党を攻めたが、集団的自衛権、TPP、原発など重要政策で主張がバラバラだった。

<東京新聞社説>

 国会は会期末まで2カ月を切り、政府・与党は攻勢に出る構えだ。野党がこの状態では歯止めにならない。安倍政権に対峙(たいじ)できるよう、結集軸の構築を急がなければならない。

消費税増税後初の国政選挙を制し、安倍政権は安堵(あんど)していることだろう。しかし、投票率はこの選挙区最低で、自民党候補は前回より得票を減らした。安倍政権が信任されたと考えるのは早計だ

 医療法人「徳洲会」グループの選挙違反事件を受けた、徳田毅前衆院議員(自民党離党)の辞職に伴う衆院鹿児島2区補欠選挙である。自民党は安倍晋三総裁が現職首相として初めて奄美大島入りするなど、安倍内閣への信任投票と位置付けることで政権運営に弾みをつけたかったのだろう。自民党新人で公明党が推薦する元県議会議長、金子万寿夫氏が、民主党、日本維新の会、結いの党、生活の党の野党四党が共同推薦する無所属の元衆院議員、打越明司氏ら五候補を破った。

 政府・与党は、菅義偉官房長官が記者会見で「安倍政権の掲げる日本経済再生、安全保障政策に一定の理解をいただいたと受け止めている」と述べるなど、信任を得たと判断しているようだ。

 自民党の勝利には違いないが、公認候補の得票は、二〇一二年衆院選で徳田氏が獲得した十一万票近くから六万六千票余りへと大幅に減った。投票率低下の影響があるにせよ、有権者が積極的に与党候補を推したと言えない証左だ。

 その投票率は、一二年衆院選の60.55%を15ポイント近く下回る45.99%。この選挙区で過去最低だ。補選の投票率は通常の選挙より低い傾向にあるが、半数を超える有権者が投票所に足を運ばなかった事実を重く受け止めるべきだ。

 選挙結果に意を強くして「集団的自衛権の行使」を認める解釈改憲や、環太平洋連携協定(TPP)交渉、原発再稼働などを強引に進めることがあってはならない。

 一方、打越氏は一二年衆院選での自身の得票を維持した。投票率が下がる中では健闘と言えなくもないが、負けは負けである。

 民主党は「安倍政権の暴走にブレーキをかける」(海江田万里代表)として、ほかの野党三党との共闘で臨んだが、消費税増税や原発再稼働、TPPなど多くの課題で立場が異なり、「政治とカネ」以外の明確な争点を設定できなかったことも敗因だろう。

 来年春には統一地方選、再来年には、衆院選との同日選も取り沙汰される参院選が迫る。基本政策を一致させてより大きな野党に再編して挑むのか、政策の違いを残して選挙での協力を優先させるのか。今回の補選は野党共闘の在り方にも課題を残した。


人気漫画「美味しんぼ」に風評被害との批判

2014年04月30日 06時27分26秒 | 臼蔵の呟き

風評被害とはこのようなことを言うのか考えさせられるような事案です。福島第一原発事故が如何に過酷で、あってはならない人災かを告発することが重要でないかと思います。被爆、放射能による被害は低線量被爆は科学的にも調査、追跡調査などが行われていないためによく分かっていません。しかし、生物に与える影響の大きさ、悪影響があるとするのが一般的です。この間、地下水の汲み上げでトリチウムが高濃度で発見されて、中断しています。このトリチウムも汚染による被害はきちんと分析、検証がされていません。

問題の本質は原子力発電所の危険であり、安全な原子力発電所などはないこと。安全だ、安心だなどの宣伝を止めることです。また、福島第一原発事故の調査に基づく、分析と、徹底的な要因追及を行うこと。その上で、必要な対策を行うことです。国会、政治の責任でこれらを行うことです。

放射能汚染、被爆が人間にとって安全、安心などはありえないことを明確にすべきです。そして、原子力発電所の稼動などは絶対に止めることです。また、表裏一体の関係である東京電力経営陣の刑事責任を追及すべきです。事故処理に当たる作業者の被爆を最小限に抑えること。そのための対策を国が責任を持って進めること。また、作業者の待遇改善を行うことです。

<報道記事>

 小学館の漫画誌「週刊ビッグコミックスピリッツ」の28日発売号に掲載された人気漫画「美味しんぼ」の中に、東京電力福島第1原発を訪れた主人公らが原因不明の鼻血を出す場面があり、同誌編集部に「風評被害を助長する内容ではないか」などとする批判が相次いで寄せられていることが29日までに分かった。

 編集部は「鼻血や疲労感が放射線の影響によるものと断定する意図はありません」などとするコメントを同誌のホームページで発表した。

<地下水の汚染>

福島第1原発の地下水バイパス計画で、政府と東京電力は25日、バイパス用井戸の地下水が海洋放出基準を超えた場合、当面の間、くみ上げを中止し放射性物質の濃度を監視する方針を福島県に伝えた。12本の井戸からくみ上げた地下水を入れる一時貯留タンクの水の放出基準は決まっていたが、個々の井戸水の扱いは未定だった。
 経済産業省の赤羽一嘉副大臣と東電の広瀬直己社長が同日、福島県庁を訪れ、佐藤雄平知事に新たな方針を伝えた。赤羽副大臣は「停止措置を取り監視する」、広瀬社長も「しっかり分析し、慎重の上にも慎重に対処する」と約束した。
 佐藤知事は「汚染水問題を福島県だけの問題に矮小(わいしょう)化してはいけない。漁業関係者が苦渋の決断をした意味を重く受け止めてほしい」と話した。
 一部の井戸からは1リットル当たり1600ベクレルのトリチウムが一時検出された。東電は海洋放出基準(1500ベクレル)を超えたため、くみ上げを中止し、再検査の結果、基準を下回ったなどとして再開した経緯がある。
 一方、東電の福島廃炉推進カンパニーの増田尚宏最高責任者は24日の記者会見で、井戸水のトリチウムが基準を超えたても「くみ上げを止める必要はない」と正反対の考えを示していた。
 広瀬社長は報道陣から現場の最高責任者である増田氏の発言との整合性を問われ、「認識をしっかりと合わせないといけない」と述べた。


認知症事故訴訟

2014年04月29日 10時59分14秒 | 臼蔵の呟き

法律に沿った判決として理解すべきことなのかどうかが問われる判断です。裁判所、裁判官は判例、法律に沿った判断を下しているのでしょうが、すべての法律が時代の変化に対応することは難しく、法に基づきながら、時代の変化を事件の状況判断に反映させる役割も裁判所、裁判官に必要な役割ではないかと考えます。

そうでなければ、コンピュータに法律、判例を記憶させて、裁判所などの判断を関与させないほうがよいと言うことにもなりかねません。高齢化社会は日本が誇るべき長所です。その努力して到達した成果が年金削減、医療費の増加、介護設備の不足と不備、高齢化の弊害などとばかり強調されるのはいかがなものかと思います。

誰でも認知症にならずに、自宅で最後のときを迎えたいと考えるのは普通であり、常識です。また、そのことは権利でもあると思います。そのための社会的な備えを怠っているのは何か。その責任はどこにあるのかを考えないといけないと思います。家族が悪い。家族が賠償責任を負うべきだと言っていて済ますことは許されないのではないかと思います。

<東京新聞社説>認知症事故訴訟 介護への影響

認知症の男性の事故で鉄道会社に生じた損害を家族が負担すべきかが争われた裁判の控訴審は、妻のみ賠償責任を問われた。認知症が急増する社会に沿った判断か。公的な賠償制度も検討すべきだ。

 家族側に全面的賠償を命じた一審の判断は適正か。介護現場の注目を集めた裁判だった。

 愛知県大府市で二〇〇七年、認知症の男性=当時(91)=が徘徊(はいかい)中に列車にはねられ死亡し、JR東海が男性の遺族に振り替え輸送代など約七百二十万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁は男性の妻(91)と長男(63)に全額支払いを命じた一審判決を変更し、妻に対してのみ約三百六十万円の賠償を命じた。

 遠方で暮らす長男への請求を棄却し、新たにJR側に対して、「駅の利用者への監視が不十分だった」などと安全対策の不備に言及し、賠償を半分に減額した。この点は一定評価ができるだろう。

 しかし、妻だけであっても、家族に賠償責任を負わせる点は一審と変わらない。民法が定める監督義務者として配偶者の責任は免れないという考え方である。夫婦が互いに協力し、助け合っていくことが大切なのはもっともだが、配偶者というだけで常に責任を負わされるなら、精神的にも、経済的にも追い詰められる。在宅介護は立ちゆかなくなる。

 認知症を患う人は、今や高齢者の七人に一人、予備軍もあわせて四人に一人に上る。高齢者が高齢者を介護する「老老介護」も増え、高齢ながらできる限りの介護に尽くしている人は大勢いる。

 事故で亡くなった男性は「要介護4」だった。妻がまどろんだ数分の間に家を出た。

 同じような事故はほかでも起こる。認知症の徘徊対策として玄関に開閉センサーをつけても、ヘルパーに頼んでも、行動予測の難しい人を二十四時間、一瞬も目を離さず見守ることは不可能だ。在宅であれ、施設であれ、部屋に閉じ込めることなどできない。

 この判決が前例になれば、ほかの事故でも損害賠償裁判で責任を問われる。亡くなる人は被害者でもある。家族だけに賠償を押しつけない、鉄道会社の責務や、社会的な救済制度が考えられるべきだ。保険料は運賃に上乗せし、事故の時は保険から支払われる仕組みがあってもいい。

 認知症の事故は列車に限らず、自動車などでも起きる。事故による負担を社会全体で分かち合う、そんなシステムをつくりたい。


アメリカ、日本、中国の関係

2014年04月29日 06時00分45秒 | 臼蔵の呟き

安倍、自民党政権が目の敵としている中国、韓国の政権、その政権との外交上の仲介をしなければならないアメリカ政権の現実的な関係がよく分かる分析です。

この分析は、紛争が軍事力により解決するとした、武力紛争、軍事力の持つ意味を肯定した上での分析です。ウクライナ問題も然りです。アセアン諸国は紛争を話し合いで解決することを基本的な考え方として、年間に千回近い会合を持ちながら、諸課題の改善、解決策を見出そうとしています。同じ、アジア諸国である東南アジアの多くの国家がこのようなことができるとしたら、東アジアの中国、日本、韓国が出来ないはずはありません。

領土問題は国にとっては非常に高い政治課題であることは確かです。現在は、国の領域を超えて経済活動が進み、国境とは何かがますます、一方で問われるような実体も生まれています。中国、日本、韓国は自国で食料、化石燃料、資源などを100%まかなえる状況にはありません。その意味では、相互にこの参加国は経済的な依存関係にあることは事実です。なぜ、これほども外交関係に軋轢が生じ、軍事衝突すら懸念されるような状況になっているのかを菅ゲル必要があります。

排外主義、相手国を一方的に非難し、憎悪を掻き立てることで何か得られるのかを考えなければならないと強く思います。

<FT>フリップ・スチーブンス

東シナ海の戦争を避けるためには オバマ氏アジア歴訪

経済力と軍事力にも増して大国間の関係で重要な要素は、信頼性だ。国が何かを言えば本気だと、同盟国も敵国もそう思えるだけの信頼性が必要だ。東アジアでこそ、これは大事なことだ。今月後半にアメリカ国旗を掲げて東アジアを歴訪するオバマ氏は、この点を念頭においた方がいい。

大統領の姿勢は一見、わかりやすい。台頭する中国に対してアメリカ政府はこれまで、対話と先延ばしの姿勢をとってきた。中国を国際システムに引き込みつつ、その間にアジア地域の同盟各国との関係を刷新しようとしてきた。しかし中国が東シナ海と南シナ海で勢力拡張の姿勢をあからさまにするに伴い、最近のアメリカはより骨太な「対話と競争」姿勢に傾き始めている。オバマ氏が日本と韓国、マレーシア、そしてフィリピンを歴訪するのはすべて、いかに太平洋地域の大国としてアメリカの立場を強調するためだ。

一番厄介な訪問先は東京になるだろう。日本は、アジアにおけるアメリカの最重要な同盟国だ。そして安倍晋三首相の下で、アメリカにとって最も難しい同盟国になりつつある。アメリカとしては中国を抑え込みたいと同様に、なんとか安倍氏も抑制したい。その結果、アメリカの姿勢は信頼性と曖昧がないまぜになっている。しかし信頼と曖昧はなかなか両立しない。

ロシアによるクリミア併合に押されて、日中関係の緊張が新聞の一面を飾ることはなくなった。だからといって、東シナ海の尖閣諸島(中国名・釣魚島)をめぐる紛争や、それにまつわる歴史論争の危険性が和らいだわけではない。関係は破綻している。中国政府関係者は、安倍氏が首相でいる限り関係修復はあり得ないと話す。双方の敵対心は両国の世論にも深く浸透している。

上海で開かれた「ストックホルム・チャイナ・フォーラム」の会合で中国高官が安倍首相を批判していた。この中国高官いわく、日本の首相は挑発行為と歴史修正主義と軍国主義の罪を犯しており、日本は東アジア地域だけでなくもっと幅広い国際秩序への脅威になっているというのだ。

これに対して日本側はただちに反論するだろう。中国の習近平国家主席は、あくなき拡張主義に突き進んでいると。中国は日本からだけでなく、ベトナムやフィリピンからも領土を奪い取ろうとしているのだと。中国が設定した防空識別圏は他国を脅かすほど広く、これこそ中国政府の真意の表れだと、日本はよく引き合いに出す。

こういう非難の応酬は得てして紋切り型になりがちだ。しかし両国は、過去のしがらみをめぐる深い怨恨を掘り起こしているため、緊張関係がさらに激しいものに炎上しかねないし、アメリカはそれを非常に気にしている。中国は、なんとしても過去の屈辱を晴らすつもりだ。安倍氏は謝るつもりなどない。尖閣紛争は領土問題というだけでなく、生々しい感情のあつれきなのだ。

習氏はわずか1年の間に、小平以降のどの国家主席よりも強力な権限を築き上げた。「太子党」としての地位を誇る習氏は、集団指導体制の仕組みを回避し、共産党長老たちの言うことをほとんど無視してきた。中国を一等国の地位に復活させるのは、習氏がしばしば公言する「チャイナドリーム」の自然な延長のようだと大方は見ている。

安倍氏にも夢がある。日本は半世紀余り、模範的な国際市民として振る舞い、協調を大事に対立を避けてきた。安倍氏はそういう伝統とは無縁のところから来ている。安倍流のナショナリズムによると、台頭する中国に対抗するためにも日本は復活しなくてはならない。国内でのアベノミクス推進は、第2次世界大戦後に日本が受け入れた罪悪感や制約をぬぐい去ることと対になっているのだ。

戦没者と戦犯を合祀する東京の靖国神社に、安倍首相は堂々と参拝した。さらに韓国人「慰安婦」の待遇に関する首相の曖昧な態度は、歴史の残り火を再燃させている。中国政府の反発と同じくらい、韓国政府も怒っている。オバマ氏は今月の歴訪で、日韓の和解を確実なものにしなくてはならない。日韓両国には利害の一致があるのだから、味方同士になって当然なのだ。

いかに安倍氏が信用しがたくてもアメリカ政府は何があっても安倍氏を支持するしかないという考え方がアメリカにはある。尖閣諸島の主権についてアメリカは立場を明らかにしていないが、日本の施政下にある尖閣諸島は日米安保条約の対象だという考えを明示している。もし中国が侵攻した場合にアメリカがそれを傍観したりすれば、代償はとんでもないことになるというのが、この考え方だ。中国の究極の目的はアメリカを西太平洋から追い出すことだ。尖閣諸島を放棄すれば、アメリカはこの地域での信頼をなくす。シンガポール陥落後に英国の威信が地に落ちたことを連想する人もいる。

ではなぜアメリカは今、日中対立に曖昧な態度をとっているのか? 答えは簡単だ。中国に対してアメリカは絶対に後に引けないとするなら、安倍氏の挑発が銃撃戦を引き起こすような事態はアメリカとしては避けたいし、安倍氏にそのような動機もきっかけも与えたくない。アメリカは安倍氏を安心させると同時に抑えを利かせたいのだ。

論理上は、日中両政府にとっても緊張緩和は喫緊の課題のはずだ。緊張悪化は双方にとって損失をもたらす。政治的にも経済的にも。中国が強硬姿勢を示せば、近隣諸国はこぞってアメリカに守ってもらおうと頼りにするだろう。安倍氏の無反省なナショナリズムのせいで日本は友人をなくしてしまう。不信感が計算違いを生むのはいつものことで、この危険は常につきまとっている。日中両国ともすでに戦争計画を策定済みだ。

危うい均衡を保とうとするオバマ氏の努力が平和維持に奏功するか、誰にもわからない。いずれ日中のどちらかが自分たちのどちらを選ぶのかアメリカに迫ってしまう、そういう危険性がある。欧米はどこで線を引くのか、ロシアのクリミア進軍で問われている。北大西洋条約機構(NATO)はバルト半島のために戦争を始めるだろうか?

ほぼ同じことが東アジアでも問われている。東シナ海に浮かぶいくつかの岩のために、オバマ氏は中国と戦争するだろうか? アメリカと同盟諸国が2つの疑問にきっぱり「イエス」と答えられるようになればなるほど、実際に決意のほどが試される事態は避けられるはずだ。