“さるかに合戦”  臼蔵 と 蜂助・栗坊 の呟き

震災や原発の情報が少なくなりつつあることを感じながら被災地東北から自分達が思っていることを発信していきます。

「軍学共同」の危うさ 一線画す決意あらためて

2016年08月02日 08時00分22秒 | 臼蔵の呟き

〈科学動員は国民精神動員と並んで国家総動員の核心〉であり「背景に「軍学共同」の動きがなし崩しに進む現状がある。科学者を軍事研究に取り込む政策的な誘導や働きかけは、安倍晋三政権下で目に見えて強まっている。」

「民生用に使える基礎研究が対象で、成果は公開が原則とする防衛省の説明は、研究者の抵抗感を減らす誘い水でしかない。防衛装備に役立てる以上、軍事目的であることは変わらない。」「軍事と一線を画す決意は、科学界の戦後の出発点となった。現状を追認して、歴史の教訓をゆるがせにしてはならない。」

科学技術を、戦争に動員する。安倍、山口自公政権の戦争できる国づくりはあらゆる分野で巧妙に仕掛けられ、続いています。気が付いた時には後戻りできない。再び、日本が戦争する国、他国を軍事力で威圧、侵略する国となってよいかどうかが問われています。

長いものに巻かれ、現状を追認し、歴史の教訓をゆるがせにしてはならない。〈科学動員は国民精神動員と並んで国家総動員の核心〉である。

<信濃毎日社説>「軍学共同」の危うさ 一線画す決意あらためて

 せきを切るように軍事研究への関与が進むことにならないか。軍事に傾く“国策”に再び科学が動員されかねない危うさを感じる。

 日本学術会議が、戦後の発足当初、軍事目的の研究を拒否した声明を見直す議論を始めた。検討委員会で来春までに見解をまとめ、総会に諮るという。背景に「軍学共同」の動きがなし崩しに進む現状がある。科学者を軍事研究に取り込む政策的な誘導や働きかけは、安倍晋三政権下で目に見えて強まっている。

 防衛計画大綱は「防衛にも応用可能な民生技術の積極的な活用」を明記。科学技術基本計画は「国家安全保障上の諸課題への対応」を重点的な政策課題に挙げる。

 安全保障技術研究推進制度―。防衛省が始めた研究公募は初年の昨年度、100件を超す応募があった。水中での光通信技術、無人飛行機搭載の高性能レーダーなど9件が採択されている。

 同省は、大学や研究機関と技術情報を交換する「国内技術交流」を2004年度から進めてきた。研究資金を配分する制度によって、軍学共同はより具体的な段階に踏み込んだと言える。

 宇宙開発も、平和利用の方針が転換され、軍事化が加速している。宇宙基本計画は情報収集衛星の大幅な増強を掲げた。

   <研究資金の不足>

 武器禁輸原則の撤廃、集団的自衛権の行使容認…。戦後の歩みを大きく変えた安倍政権の軍事重視の姿勢は鮮明だ。科学界はそれに引きずられてはいけない。

 学術会議は国内の科学者を代表する機関である。1949年の発足時、「これまで科学者がとりきたった態度について強く反省し」の文言を声明に記した。

 日本の科学技術は明治以来、「富国強兵」の国策の下で振興が図られてきた。戦時下、科学者は徹底した「科学動員」により、戦時研究体制に組み込まれた。

 〈科学動員は国民精神動員と並んで国家総動員の核心〉…。科学界が自ら戦争協力の声を上げ、すすんで軍と関わりを持ったことを科学史家の山本義隆さんは著書で指摘している。

 50年の学術会議の声明は「戦争を目的とする研究には絶対に従わない固い決意」を表明した。警察予備隊が創設され、「再軍備」の足音が高まる時期だ。

 ベトナム戦争当時の67年には、研究者らへの米軍の資金援助が発覚。再度、軍事目的の研究を行わない声明を出している。

 半世紀近くを経て、その決意が揺らいでいる。構造的な研究資金不足から、研究者の多くが“背に腹は代えられない”状況に置かれていることが背景にある。

 国立大への運営費交付金は、国の財政悪化を理由に、ここ10年余で1割以上減額された。審査を経て配分される科学研究費補助金(科研費)も頭打ちだ。

 防衛省の研究公募に応じた大学は初年度、少なくとも16校。件数では60件近い。2000年以降、12の大学・研究機関が米軍から総額2億円を超す資金の提供を受けていたことも分かっている。

 ロボットや情報通信技術をはじめ、科学技術は民生にも軍事にも利用できる両面性を持つ。軍事研究かどうかの線引きは難しさを増してもいる。だからといって、軍事目的の研究に手を出していいことにはならない。

   <加担しない責任>

 民生用に使える基礎研究が対象で、成果は公開が原則とする防衛省の説明は、研究者の抵抗感を減らす誘い水でしかない。防衛装備に役立てる以上、軍事目的であることは変わらない。

 深入りして防衛上の秘密に関われば、成果の公開は妨げられる。軍事研究への関与は、大学の自治や学問の自由という研究者のよって立つ土台を崩す。

 デュアルユース(軍民両用)の技術が軍事利用されても研究者に責任はない―。そうやって思考停止することが科学の動員に道を開くと、ノーベル賞科学者の益川敏英さんは著書で述べている。

 軍事と一線を画す決意は、科学界の戦後の出発点となった。現状を追認して、歴史の教訓をゆるがせにしてはならない。

 信州大は昨年改定した行動規範に、平和への貢献や責任を明記した。新潟大も研究指針に軍事研究拒否の方針を掲げた。

 科学技術が軍事利用される可能性が高まっているからこそ、研究の現場で議論を広げ、加担しない責任を再確認し、共有したい。そのためにも学術会議は明確な姿勢をあらためて打ち出すべきだ。

 科学技術のあり方は、社会や暮らしに深く関わる。軍事への誘導が進む現状を主権者としてどう考えるかも問われる。議論を閉じたものにしないために、市民の側からも声を上げたい。 


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