日本経済の閉塞状況は金融緩和では改善ができないことを示しました。また、円安誘導で物価は上がり、ガソリン価格、灯油などは10年前の2倍の価格に跳ね上がりました。そのことを苦しむのは国民であり、資本力の弱い中小企業です。漁業なども燃料代が高くて漁価が高くなり、赤字になり、操業できない状況すら生まれています。円安は多国籍企業、大手輸出企業にとっては為替レートの変動で売り上げが見た目増加し、最高利益を計上しました。しかし、数量ベースでの輸出は増えず、貿易収支は改善せず、赤字に陥っています。当然のことです。製造業の多くは生産拠点を海外に移転しており、短期的な為替変動で生産拠点をころころ移転できないことは分かりきったことです。
日本経済の停滞、閉塞状況は産業構造の改革をしない限り不可能です。大量生産大量消費型製品は、新興国の安い労働力により、製品価格の低下、価格競争に必然的に巻き込まれるからです。抜本的に日本経済の建て直しをするためには、国内消費の活性化、内需を喚起できる経済状況、所得を実現することです。そのためには、労働者の賃金を改善し、懐を暖めることでしか実現できません。安倍、経団連などは企業利益のみを追求し、そこで働く労働者の生活を考えることができません。
さらに労働者の長時間労働を政治が法律で許せば、何が起きるか分かりそうなおことです。過労死、うつ病などの精神疾患が拡大し、労働者の家庭は崩壊します。このようなことを法律で許すような政治は許してはなりません。本当にどこまでもふざけた政党、政権です。
<北海道新聞社説>残業代ゼロ 長時間労働を招くだけだ
これでは長時間労働を助長する事態を招くだけではないか。
政府の経済財政諮問会議と産業競争力会議の合同会議で、安倍晋三首相が労働時間制度の見直しを指示した。法律で定める時間に縛られず、成果で評価される働き方に合った仕組みを検討するのが狙いだ。規制を緩める代わりに残業代などをなくす「ホワイトカラー・エグゼンプション」制度の導入が念頭にあるのだろう。
多様で柔軟な働き方を模索していくこと自体に異論はない。
だがサービス残業が常態化する中で労働時間の歯止めが外され、過大な成果を強要されれば雇用環境がより悪化するのは明らかだ。人件費の圧縮ありきで労働者保護をなおざりにしたままの議論は認められない。
首相の指示は合同会議で出された提案を受けたものだ。
一つは年収1千万円以上の労働者を対象とし、もう一つは主に介護や子育てにかかわる女性らを想定しつつ、労使合意で対象職種を決めていく内容である。
労働基準法では労働時間を1日8時間、週40時間と定め、これを超えると残業代や割増賃金を支払わなければならない。こうした規制を取り払った場合、成果を上げれば労働時間が短くなるケースがある一方で、「残業代ゼロ」で長時間勤務を強いられる恐れも出てこよう。提案は本人合意を条件にしているものの、労働者は経営者側より弱い立場にある。それだけに労働時間や賃金、成果の中身が企業主導で決まってしまう懸念はどうしても拭えない。
ホワイトカラー・エグゼンプションは第1次安倍政権の2007年にも検討されたが、労組などの猛反対で断念した経緯がある。首相が再び意欲を見せているのは、6月に改定する成長戦略になんとか盛り込みたいからだ。
しかしこの間、労働者の環境は改善に向かうどころか、若者を使い捨てにする「ブラック企業」の横行など深刻さを増している。
うつ病など「心の病」の労災認定件数も増加傾向にあり、12年度は過去最多だった。こうした社会問題への対応こそ急務にもかかわらず、企業偏重の成果主義を後押しするのは時代に逆行している。
安倍政権は派遣期間の上限撤廃や解雇の金銭解決ルールの検討など、労働規制緩和に極めて熱心だ。だが雇用を不安定にする成長戦略などあり得ない。撤回すべきだ。