選挙結果を受けてマスコミが政治的な影響力を報じています。大阪府民、堺市民の良識が表明され、証明されたのだと思います。橋下、大阪維新が目指す大阪都構想のまやかしが、当の大阪府民の選挙を受けて証明された点で重要です。
もともと、大阪維新、橋下の政治集団は、失業率の高さ、関西地域経済の低迷、地盤沈下を逆手に取り、公的サービスの切り捨て、公務員攻撃を徹底して、マスコミ宣伝を利用しながら、自らの支持に結び付けてきました。また、その政治的勢いを利用しようと自民党、公明党、みんなの党等が接近しました。しかし、彼らの政治意識、歴史観が海外、国民から批判されるのを受けて、国政の場でも維新利用の価値がなくなり始めてきた。これが現状ではないかと考えられます。彼らは安倍、自民党政権の歴史観、憲法改悪、自衛隊の国軍化などでは主張が同じであり、その政治集団の掲げる大阪都構想が支持されなかったことは国政にも当然影響を与えることは避けられなくなっています。
彼らが、安部、自民党政権の意図する歴史改ざん、憲法の改悪、TPP参加、社会保障の切捨て、消費税率引き上げの政治的な先導、宣伝の尖兵として行動したこと。その行動と主張が自民党政権としての利用価値でした。今回の結果は、安倍、自民党政権の行く末を予測していることとも同義であり、その点で今回の選挙結果は意義あるものではないかと思います。
<大阪堺市長選挙と維新>
29日投開票の堺市長選挙は無所属現職の竹山修身氏(63)=自民支持、民主推薦=が、大阪維新の会新人の西林克敏氏(43)を破った。選挙の強さが力の源泉の一つだった維新が地元で敗れた衝撃は大きい。原点である「大阪都構想」の先行きに暗雲が漂い、橋下徹日本維新の会共同代表(大阪市長)の求心力低下は避けられない。維新の国政での存在感に影響するのは必至だ。
<自民党にとっての利用価値>
「今の無党派層は安倍(晋三)さん支持だ。維新は応援を受け切れる政党になっておらず、次に向かって頑張っていきます」。橋下氏は29日夜、堺市内で記者会見し、党勢回復を目指す考えを示した。だが党内では橋下氏の求心力低下を懸念する声も上がり、自民党幹部は29日夜、「維新のレゾンデートル(存在意義)が否定された。維新は終わりだろう」と語った。
今回の市長選は、橋下氏にとっては正念場だった。
7月の参院選で自らの従軍慰安婦発言で失速を招いた橋下氏は、参院選直後の7月27日の党執行役員会では共同代表辞任までちらつかせて「大阪の改革に専念したい」と宣言した。地元・大阪の堺市長選挙で勝つことで都構想を現実に近づけ、求心力を回復する戦略だった。都構想は、橋下氏が「大阪維新の会」を結成する理由となった「原点」だけに、否定された痛手は大きい。
橋下氏の影響力低下は今後の安倍首相の戦略にも影響を与える。首相や菅義偉官房長官は将来の憲法改正などを見据え、橋下氏とのパイプ作りに努めてきた。改憲で同調する維新との共闘は、慎重な公明党をけん制する「カード」にもなり得る。堺市長選挙で自民党が支持にとどめたのも官邸の意向だ。維新とは国会改革などでも近く、菅氏は27日の記者会見で「政府の政策に理解を示してくれる政党とは当然、政策ごとに協力していく」と語った。選挙結果に関わらず関係は維持する方針だ。維新の松井一郎幹事長(大阪府知事)も29日夜、「安倍政権と協力しながら統治機構改革はやりたい」と官邸に秋波を送った。
しかし、今回の敗北で橋下氏は国政への関与からさらに一歩引かざるを得なくなる。首相や菅氏との近さをテコに存在感を示す手法も修正を余儀なくされる可能性があり、安倍官邸と橋下維新の「相互依存」は薄まりそうだ。