現在の日本、政治をみるとどう写っているのかが非常によく分かる分析です。日本が、世界の流れと異なり、戦争する国、戦争をやってなぜ悪いんだなどと居直る安倍、自民党極右議員たちの動きを危険視していることも示しています。
アメリカの軍事費は日本の軍事費の10倍を超えています。その額は、日本国民、企業からの税収をはるかに超える額です。このような巨大な軍事力をかける国家、政権と摩擦を起こすことが日本に何をもたらすか考えたら分かりそうなことです。過去においては、第一次大戦、第二次大戦においてアメリカの参戦がその戦争の行方をすべて決めてきました。また、アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国の連合国が戦勝国として国連において拒否権を持ち、現在の国連の仕組み、構造が動いています。これは、良いと変わるとこの問題ではありません。その戦後の歴史、世界政治の推移は、この前提が崩れれば、全く異なったものとなります。しかし、その前提を覆すことが日本程度の国力で、1国で出来ると考えているところに安倍、自民党極右政権、自民党右翼議員、維新の会など浅はかさ、無知さがさらけ出されています。
この分析に何回となく現れている、経済危機と国粋主義、右翼的な勢力の台頭は、現在のEU,ナチにも共通した政治的な流れです。若いそうに極右の支持者がなぜ多いのかはあきらかです。自らの生活不安、長時間労働・低賃金、貧富の格差拡大とあきらめ、失業率の高さが現実の政治への不満となり政治に向かっているからです。その政治は自らが支持している(思っている)安倍、自民党右翼に利用され、自身は彼らによりさらに虐げられる関係を理解することができない。―――ここに悲劇があります。この問題はどの党派を支持するかではなく、今後の日本を背負う彼らが希望を持ち、生きることができるように政治、社会の構造を整えることではないかと思います。そのためにも安倍、自民党政権を退陣させることがどうしても必要です。
【東京】日本では第2次世界大戦中の特攻隊員を賛美する映画が2カ月にわたり興行収入のトップを記録している。東京の書店では、日本の近隣諸国を非難する書籍のコーナーが設けられている。そして、「ネトウヨ(ネット右翼の略称)」と呼ばれ過激なナショナリスト的な思想を持つ匿名の投稿がツイッターやチャットページで急増している。
中国と韓国との緊張が高まる中で、第2次世界大戦に対する後悔の念によって長年かけて形成されてきた日本の世論が変わりつつある兆しが各地で見られている。
周辺海域での中国政府の武力威嚇に対する脅威や、今後の日本経済に対する不安から、ナショナリスト的な感情や近隣諸国への不信感、時には強い敵意をあらわにする人が増えている。
民主党の辻元清美衆議院議員は「これは差別じゃないかとか、激しい嫌悪感とか、今まで押さえ込んできた感情や思想がふたを開けて飛び出してきている。日本中で同じようなリズムを持った人が、自分は正しかったと、振り子の共振作用のように発言している」と述べた。
日本では平和を守ろうとする考え方が深く根付いており、右傾化はまだ始まったばかりにすぎない。しかし、主に30代と40代で、米国のティーパーティー(茶会党)と共通点もある強硬な保守的思想を持つ人が増えるにつれて、こうした右寄りの風潮が日本の政治にも影響を及ぼし始めている。
2月上旬に行われた東京都知事選で、外国人たたきで有名な右翼団体のトップを務める元航空幕僚長の田母神俊雄氏は、日本の主要メディアが同氏を泡沫候補と見なしていたにもかかわらず、予想外に大量の票を集めた。朝日新聞の出口調査によると、20代の回答者の24%が田母神氏に投票した。
今までよりはっきり意見を言う少数の国家主義者の台頭で、東アジア諸国だけでなく、米国の当局者の間でも懸念が広がっている。中には、これが東アジアの緊張を悪化させ、中国と日本が衝突するリスクを高めかねないと危惧する声もある。米国のダニエル・ラッセル国務次官補(東アジア・太平洋担当)は先の議会証言で、日中関係が「極めて悪化している」ことを引き続き憂慮していると述べ、両国に「緊張を緩和させ」、「言葉遣いのトーンを抑えるよう」呼び掛けた。日本と中国の戦闘機や監視船が尖閣諸島近くでにらみ合いを続けていることを受けて、バイデン米副大統領など他の米政府高官も危険な衝突のリスクに警鐘を鳴らしている。
日本の多くの当局者と政治家は国内の世論の変化について、別の解釈をしている。彼らは戦時中の問題をめぐり中国と韓国はいつまでも不当に日本を批判していると考えており、これに国民がようやく反応し始めただけだと話す。また、中国と韓国は戦時中の残虐行為に対する謝罪と償いをしようとする日本の再三にわたる努力を認めようとしないと訴えている。
中国と韓国はこうした見解をはねつけている。両国の首脳は、日本政府は歴史をゆがめているとして批判し、1年2カ月前に安倍晋三首相が就任して以来、同首相との二国間の会談を拒否している。韓国の上級外交官であるキム・ジュンハ氏は1月の国連会議で「日本の主要政治家らが最近、歴史修正主義の立場で過去の悪事を否定、ひいては正当化しようとしていることは遺憾だ」と述べた。
政府系シンクタンクの中国社会科学院の日本専門家、楊伯江氏は、中国共産党機関紙「人民日報」の2月24日付論説で、安倍政権下の日本は、第1次世界大戦前のドイツや第2次世界大戦前の日本が犯した過ちを繰り返しているようだと指摘。「このことは人類が再び戦争の底なし地獄に引きずり込まれないように、平和を愛する世界の国々の警戒心をあおるはずだ」と述べた。
中国と韓国でも、近年はナショナリズムが台頭している。だが、日本が第2次世界大戦で侵略国だった歴史を考えると、最近の日本の状況はとりわけデリケートだ。日本で最後にナショナリズムが急激に台頭した時期は1920年代と30年代で、その後、日本は戦争に突入した。当時、日本は関東大震災からの復興と世界的な景気後退に苦しんでいた。
当時とは異なり、現在の日本は成熟した民主主義国家で、数十年間にわたり世界平和に貢献してきた。自衛隊は厳しい文民統制下にある。多くの政治学者は、振り子がナショナリズムの方向へ振れ続けるなら、日本社会にはそれを押し戻す柔軟性があると指摘する。ちょうど80年代と90年代に地域の緊張が今と同様に高まった時のようにだ。
大半の日本人にとって、地域的な対立は最大の関心事ではない。日本経済新聞が24日に掲載した世論調査によると、安倍首相にとって最も重要な政策課題は国家安全保障だと回答した人は全体のわずか6%しかなかった。それに対して、38%が社会保障だと回答し、30%が経済改革だと回答した。
その一方で、多くの日本人が、自らが置かれた状況により不安を感じていることは確かだ。昨年10月の内閣府調査では、「中国に親しみを感じない」と答えた人の割合が回答者の81%に達し、過去最高となった。この割合はわずか4年前には59%、20年前には40%だった。昨年の別の世論調査では、回答者の40%が韓国に対する考え方が前年より悪化したと答えた。その多くが戦後処理をめぐる韓国側からの日本に対する批判をその理由に挙げている。
こうした漠然とした不安感は大衆文化にも広まっている。週刊誌などは韓国や中国を攻撃する衝撃的な見出しで競い合っている。週刊文春の最近の特集記事の見出しは「韓国の暗部を打て」だった。また、週刊新潮では「大嘘承知で反日プロパガンダ!」との見出しが躍った。
また、書籍の売り上げランキングによると、中韓両国の経済破たんを予測する本、例えば「破綻する中国、繁栄する日本」や「サムソンの真実」などが飛ぶように売れている。
さらに、米国への敵意もゆっくりと首をもたげてきている。米国が中国と経済的な結びつきを強化していることを背景に、日本の政府関係者や議員らは、仮に日本が中国の攻撃を受けた場合、米国が果たして日本を守ってくれるかどうかについて懐疑的になっている。
中には、米国が近隣諸国との関係で日本に自制するよう圧力をかけ続けていることを鬱陶しいと見る向きもある。また、戦犯も合祀(ごうし)された靖国神社に安倍首相が参拝したことを受け、オバマ政権が首相に苦言を呈したことを特に苛立たしく感じた向きも多い。
衛藤晟一首相補佐官は動画サイト「ユーチューブ」に投稿したビデオメッセージ(後にこのメッセージは削除された)で、米国が公式に「失望した」と表明したことに触れ、「むしろわれわれの方が失望した。米国はなぜ同盟国の日本を大事にしないのか」との不満を表明した。
米国務省当局者は26日、「米国は日本との深くて長期的な同盟関係にコミットし続ける」と述べる一方、安倍首相の靖国神社参拝については米国の立場を「とても明確に」示したと述べた。
日本のナショナリスト的な傾向は特に若者の間で目立っている。
時事問題を扱う月刊誌「WiLL」は「世界の嫌われ者、韓国」や「中国は一線を越えた!」といった人々の注目を集めるナショナリスト的な見出しで知られているが、この2年間で発行部数が30%増え、10万近くに達したという。花田紀凱編集長によると、今や読者層の40%が20代から30代の若者で、女性にも多く読まれている。50歳を超える男性が大半だった以前から様変わりしているという。
そんな中、若い保守派の中核となりつつある政治家が安倍首相を支持している。
その1人が就職斡旋会社の経営者から政治家に転じた宮崎謙介氏(33)だ。
宮崎氏は「われわれの若い世代には、自分たちの国に対して誇りをもてない人、将来に対してネガティブな思いを持っている人が多い」としたうえで、「自分たちの国が侵略をした国だという自虐的な歴史観を徹底的にすりこまれてきたからだと思う」と述べた。
そうした若手議員は個人としての影響力は限られているものの、集団としては安倍首相の挑戦的な外交・防衛姿勢に影響を及ぼしている。日本の憲法では軍の役割を自衛のみに厳しく制限しているが、首相は米国などの友好国が敵の攻撃を受けた場合に自衛隊が反撃できるよう憲法見直しに向けた動きを推進している。
首相による年末の靖国神社参拝は、若者の間での人気の高さを一段と裏付けることになった。参拝は近隣諸国の怒りを買ったものの、朝日新聞が昨年行った世論調査で30代の回答者の60%が参拝を支持すると答えた。全体の割合と比較してはるかに高い数字だ。
また、春の例大祭に靖国神社を参拝した議員の数は168人と、前年の81人から大幅に増え、過去最高となった。
そうした中、第2次世界大戦時の特攻隊員を題材にした映画「永遠の0」はヒットしている。興行通信社によると、「永遠の0」は国内映画ランキング(観客動員数)で今月初めまで8週連続トップとなった。首相をはじめとする同映画のファンは、若者に戦争の残虐性を伝える機会になると称賛している。
一方、悲劇的な政策の過ちによる無益な死を美化するものだと批判する人たちもいる。
この映画のヒットをきっかけに、日本の戦時のイメージをもっと前向きにとらえたいと考える人たちの期待に応えた特攻隊関連の展示会がちょっとしたブームを呼んでいる。映画のロケ地となった旧筑波海軍航空隊史跡は映画公開に合わせて記念館として期間限定で公開されている。パイロットをモチーフにしたイメージキャラクターも作成され、12月20日のオープン以降、来場者は1万人以上に上る。映画の原作となった同名のベストセラー小説の著者で首相の友人でもある百田尚樹氏は最近、NHKの経営委員に任命された。しかし、任命から間もなく野党議員の批判にさらされることになった。1945年の原爆投下と東京大空襲を「大虐殺」と呼び、米国を厳しく非難したことが大きな一因だ。
こうした社会的潮流の変化は、2012年12月の衆議院選挙で安倍総裁率いる自民党が圧勝して以来、国会における首相の支持基盤強化に一役買っている。自民党の119人の新人議員の多くが今、首相が議場で日中や日韓関係について見解を示すたびに拍手喝采を送っている。
それら議員は連立与党政権が国会で過半数を十分維持するのに貢献している。首相の支持率は50~60%と歴史的高水準にあり、最も異論のある政策を除き、従来中国との密接な関係を支持している党内のリベラル派からも首相はほとんどプレッシャーを受けていない。
日本大学の岩井奉信教授(政治学)は「今の自民党は安倍さんの言うように動く」とし、「安倍さんに文句を言う人がいないから、どんどん物事が決まってゆく」と指摘した。
新人議員の1人、武藤貴也衆議院議員(34)は大学教授になる道を断念した後、政治の世界に入った。「最もタカ派の議員の1人」を自称する同氏は、日本は米国に頼らなくても中韓に対して自ら防衛できる十分な能力を持つべきだと考えている。武藤氏は「アメリカがスーパーパワーだった時代は終わり、日本を守れなくなる時代がくる」とし、「防衛は自前でやらなくてはならない」と述べた。
そのために日本はどうすべきか尋ねたところ、最もナショナリスト的な議員の間でさえ依然異例とされる答えが返ってきた。それは「核武装」だった。