“さるかに合戦”  臼蔵 と 蜂助・栗坊 の呟き

震災や原発の情報が少なくなりつつあることを感じながら被災地東北から自分達が思っていることを発信していきます。

日豪ERA 農家の不安を省みぬ合意

2014年04月08日 12時59分37秒 | 臼蔵の呟き

沖縄米軍基地被害を沖縄に押し付けて、知らぬ顔を決める安倍、自民党政権。その政治姿勢、考え方を同じ、畜産農家を犠牲にした、地域切捨てと合意。彼らの頭には、トヨタ、ホンダ、日産などの多国籍企業、大手輸出企業などの利益代理人としての自覚、認識しかありません。

<北海道新聞社説>

 安倍晋三首相と来日中のアボット豪首相が会談し、日本とオーストラリアの経済連携協定(EPA)について大筋で合意した。焦点だったオーストラリア産牛肉の関税を現在の38・5%から20%前後へ徐々に引き下げる代わりに、日本車への関税も段階的に撤廃されるという。しかし、畜産を中心とした国内農業への影響が見通せない上、対策も示されなかった。

 農業大国との初のEPAに対する農家の不安は置き去りにされたと言わざるを得ない。

 牛肉関税引き下げの対象には、加工原料の冷凍肉ばかりでなく、一般に販売される冷蔵肉も含まれている。国産乳用種の肉と競合し、とりわけ主産地の北海道が最も影響を受けるだろう。

 肥育農家のみならず、子牛を供給する酪農家の経営も圧迫する恐れがある。

 乳用種が値崩れを起こせば、和牛などにも連鎖的に波及し、飼料の高騰に苦しむ国内畜産業の弱体化につながりかねない。

 日豪EPAが交渉入りする直前、衆参両院の農林水産委員会は決議で、コメ、小麦、牛肉、乳製品、砂糖などの重要品目を協定から除外し、交渉期限を定めないことを政府に求めた。牛肉の関税引き下げはもとより、アボット氏の来日を事実上の期限とし、合意を急いだことも決議に違反している。しかも、この決議は、環太平洋連携協定(TPP)交渉に際し、自民党や衆参農林水産委員会が重要5農産物を「聖域」とする決議のひな型となったものだ。

 オーストラリアは、日本の牛肉市場で米国と激しいシェア争いを繰り広げている。一方、米国はTPP交渉で日本の聖域を認めず、関税撤廃を求める姿勢を崩さない。

 甘利明TPP担当相は「(TPPの)日米交渉を加速させないと、米国産牛肉が(オーストラリア産に)劣後する」と述べた。今回の関税引き下げを、TPPで米国から譲歩を引き出す手段にする意図は明らかだ。

 これでは、牛肉を含む重要5農産物はもはや聖域ではなく、駆け引きの材料にすぎない。

 政府・与党の信用は損なわれ、国内の農業者は、営農の展望を描けなくなる。

 聖域の約束をなし崩しにほごにするようなやり方は、断じて許されない。


八億円の党

2014年04月08日 10時57分20秒 | 臼蔵の呟き

8億円の党の党首が辞任に追い込まれました。当然といえば当然の結果です。しかし、猪瀬都知事、渡辺氏などの政治、金銭感覚は真意がたいものです。普通の人間が、金融機関に融資を申し込んでも、よほどの収入額、担保がなければ巨額の借り入れはできません。しかし、彼らは自治体長、政党党首の政治的な影響力をバックにして、担保なし、領収書なしで数千万円、億単位の金を個人的に借りることができる。こんな政治、金銭関係がいまだにこのような政治家、政党で行われていることには驚きです。その一方で、税金から政党助成金が支給され、億単位の税金がこのような政治家、政党に支給されていることを考えると怒り心頭です。

民主党政権が公約違反を繰りかえり、国民的な批判を浴びるかなで、自民党でなく、民主党でもない第三極の政治勢力としてみんなの党、維新の会などがマスコミ、政党間でももてはやされました。しかし、その内実は自民党型の政策思考、政治資金感覚にどっぷりとはまった政治集団であることがあきらかになっただけです。

日本経済の閉塞状況を体現しているような政治腐敗なのでしょう。問題の核心は、第三極などではなく、自民党型政治の転換をどう作り出すかにあることは民主党政権の公約違反、崩壊、維新の会の妄想、極右言動、みんなの党の政治資金問題などを通じてあきらかになっているのだと思います。

アメリカ政府、支配層の言いなり、多国籍企業の要求実現政治、戦犯・戦犯の家系(安倍:岸、麻生、町村:町村特高幹部)が政党の中枢に居座り、支配するような政治を止めることしか改善の道はないこともあきらかです。

<東京新聞報道>

みんなの党代表を辞任する意向を表明の渡辺喜美氏の8億円借り入れ問題で、化粧品会社DHCの吉田嘉明会長が衆院解散前の2012年11月14日にも、支援を求める渡辺氏のメールを受け取っていたことが8日、吉田氏への取材で分かった。吉田氏はこの1週間後に5億円を渡辺氏の個人口座に送金。渡辺氏は選挙が正式決定する前から金銭的な支援を期待していたとみられる。

 吉田氏によると、渡辺氏からの携帯電話へのメールは11月14日午後0時52分。「選挙に突入しそうです。解散権は(首相の)野田さんにあり、強行すると思います」とし、「ご支援よろしくお願いします」との記載があった。

<毎日新聞社説>

 改革の旗手を自任したはずのかつての姿は見るかげもない。化粧品会社会長からの8億円借入金問題をめぐり、みんなの党の渡辺喜美代表が辞任を表明した。

 クリーンな党を売り物にみんなの党を旗揚げした渡辺氏だけに、政治とカネの問題で政治不信を広げた罪は大きく、引責辞任は当然だ。しかし、説明が不十分なまま問題の幕引きは許されない。政策の再点検も含め、同党は新代表の下で「渡辺党」から脱却すべきだ。渡辺氏は記者会見で「多くのみなさんに迷惑をかけたのは事実だ」とやつれた表情で辞任を表明した。だが、借入金の発覚以来、開き直ったような一連の対応はワンマン運営でまるで「裸の王様」状態だった感覚の狂いを物語っていた。

 「ディーエイチシー(DHC)」の吉田嘉明会長によると、渡辺氏は吉田氏から2010年の参院選前に3億円、12年の衆院選前に5億円を借りていた。渡辺氏は7日の辞任会見で残額全額を同日、吉田氏に返済したと説明、法的には問題がないとの認識を改めて示した。

 だが、辞任に追い込まれたという現実が、渡辺氏の説明が世間の常識とかけ離れていることを何よりも物語っている。これまで8億円の使い道は党への貸し付けと「酉(とり)の市の熊手」以外、具体的でなかった。今度は党首としての情報収集などを挙げ「ポケットマネー」などと説明したがあまりに不透明だ。

 かつて渡辺氏は「たった一人の反乱」とやゆされながら自民党を離党し、みんなの党結成に動いた。一時は国会議員30人を超す勢力に育ったのは「脱官僚支配」「しがらみのない改革」との主張が一定の共感を集めたためだろう。

 それが猪瀬直樹前東京都知事の5000万円受領事件で政治とカネへ不信が強まる中、公にならない巨額の融資が発覚し、貸主の吉田氏は選挙資金目当てだと明言した。渡辺氏の個人商店と言われた党内からも代表辞任論が噴出した。もはや党首として改革を語る資格を失っていた。

 渡辺氏の代表辞任がみんなの党に与える衝撃は計り知れず、解体の危機にすら直面している。だが、渡辺氏頼みでは展望は開けない。新代表の下で借入金問題を解明することで「脱渡辺」の証しを立てるべきだ。

 構造改革が旗印のはずだった同党だが最近は渡辺氏が主導し特定秘密保護法や集団的自衛権行使問題など自民党への急接近が目立ち、与党との対立軸もぼやけていた。いわゆる第三極勢自体の存在意義が問われている。そんな自覚と危機感が無いようでは、政治不信を増幅する不毛な漂流が続くばかりだ。


TPP協定交渉

2014年04月08日 09時13分50秒 | 臼蔵の呟き

TPP交渉を妥結、促進するための露払いとして、オーストラリアとの貿易交渉が進みました。自動車の関税を引き下げさせるために、牛肉の関税を日本側が下げる。との交渉は、トヨタ、ホンダ、日産などの多国籍企業の売り上げ増加、利益貢献のために、日本の畜産農家を生贄として差し出す交渉を意味しています。ここに見えることは、食料自給率をどう改善し、高めるのか。また、食料の安心、安全をどのように確保し高めるのかとの政治的な検討配慮が全く欠如しています。

アメリカは、オーストラリアとの交渉が促進すれば、アメリカの要求が前進するかもしれないとの思惑も働いています。4月24日来るオバマ大統領との会談の手土産としての準備、お膳立てとしたい。これが安倍、自民党政権の思惑です。アメリカのご機嫌をとることが重要なことなのかどうかを考える必要があります。そもそも、昨年12月の安倍が靖国神社参拝をしたことで、アメリカ政府の日本政府への失望(外交用語では他国の行為を強く批判すること)表明、アメリカとの政治的なギクシャクを少しでも緩和させたい。そのこととTPP交渉妥結促進は交換するような政治経済課題ではありません。

北海道の畜産業は、中心的な産業であり、このような交渉内容は1次産業を破壊するような意味を持っています。畜産業の衰退、廃業が進むことはあきらかであり、地域経済の衰退は大きな問題です。国内農業、畜産業などの1次産業の展望を示すことなく、なし崩し的な交渉促進は容認できるものではありません。

<wsj記事>

【東京】日本とオーストラリアは7日、経済連携協定(EPA)交渉で大筋合意した。アジア太平洋地域の他国を含めたより幅広い貿易交渉の布石となる可能性がある。安倍晋三首相は来日したオーストラリアのアボット首相と会談し、7年間の協議を経た基本合意にこぎ着けた。日本はこれまで農産物輸出大国とEPAを結んだことがない。

 両国ともこれにより、米国を含めた12カ国で進める環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉が加速すると期待している。TPP交渉は農産物の関税撤廃を求める米国と、関税率の引き下げにとどめたい日本の考えが折り合わず、暗礁に乗り上げている。

 日本とオーストラリアの取り決めでは、主要な農産物に関して関税が残された。オーストラリア産牛肉の輸入関税率は38.5%から20%近くに低下する見通し。その代わりオーストラリア政府は、日本の自動車に適用する5%の輸入関税をEPA発効から3年後に撤廃する意向だ。

 両国はできるだけ早期に交渉を完了し、最終合意を目指す考えを明らかにした。

<毎日新聞社説>

 日本とオーストラリアとの経済連携協定(EPA)が大筋合意した。最大の焦点だった豪州産牛肉の輸入関税引き下げで両国が折り合ったためだ。

 牛肉は、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉で、日本が関税の撤廃から守ろうとしている「聖域」の一つである。豪州はTPP交渉にも参加している。今回の成果を行き詰まっている交渉の打開につなげてほしい。

 安倍晋三首相と豪州のアボット首相が東京都内で会談し、豪州産牛肉の輸入関税を現在の38.5%から段階的に20%前後に引き下げ、豪州側も日本車の輸入関税(5%)をゼロにすることで合意した。詳細な条件を詰めて今夏にも正式に調印する。

 日本にとって豪州は中、米、韓国に次ぐ4番目の貿易相手国だ。垣根が低くなるメリットは大きい。日本からの最大の輸出品目である自動車に関して豪州は既に、韓国からの関税をゼロにすることを決めている。国内メーカーはこれで、対等な条件で競争できることになる。豪州は石炭や鉄鉱石、天然ガスなどの輸出国でもある。今後は一段と安定した資源の調達が期待できるだろう。

 もっとも、日本にとっては農業大国との初めてのEPAである。農家の不安は根強い。政府は豪州に、国内牛肉と競合する冷蔵肉の関税を加工食品用の冷凍肉より高い水準に維持し、それでも輸入が急増した場合には輸入を制限できる「セーフガード」を認めるよう求めた。所得補償などの国内対策と併せて畜産農家への影響緩和に意を尽くし、自由化の成功例にしなければならない。

 2007年に始まった日豪EPA交渉が急加速した背景には、日本のTPP交渉参加がある。そこでの日本の最大の難敵は米国だ。日米交渉では、牛肉を含む主要農産品5項目の関税撤廃を求められている。

 日本の輸入牛肉は半分強が豪州産だが、牛海綿状脳症(BSE)に伴う禁輸措置を解除された米国産が、シェアを伸ばしつつある。豪州とすればTPP交渉が難航している間に、関税を引き下げられれば米国との競争で有利になる。そうした思惑が、大筋合意を急がせたようだ。

 裏返せば今後は、日米交渉が遅れるほど米国の不利益が大きくなるともいえる。日米交渉では現在、牛肉・豚肉が特に大きな争点になっている。TPP交渉に参加している豪州と関税「引き下げ」で合意したことは、米国へのけん制になるはずだ。

 日米交渉の行き詰まりがTPP交渉の最大のネックになっている。それを打開するため、今回の結果をしたたかに利用する交渉戦術を期待したい。