大日本帝国憲法が招いた帰結は、中国・アジア侵略戦争でした。その戦争による中国、韓国、アジア各国人民に与えた被害は想像を絶する国民の殺害と国土の荒廃でした。日本は、多くの若者たちが戦争に動員され、尊い命を戦争により失いました。その根源となったのが大日本帝国憲法でした。天皇を元首とし、神として信じ込ませ、天皇のために死ぬことを尊いこととして教育を通じて徹底しました。靖国神社で会おうーー要は戦争に行き死ぬまで戦い、死んだら靖国に神として祭られるのだと信じ込ませ、批判を封じ込めました。
その一方で、政治支配層、軍の最高幹部は後方にいて、自らの安全を守り、生きながらえました。戦犯といわれた多くの政治支配層、軍隊中枢の人物の実像です。アメリカ軍が連合軍として占領したら、そのアメリカ軍にすりより、自らの保身に走り、戦争遂行責任の所在を曖昧にし、誰一人として戦争遂行の中心人物、決定を行ったとは言明しませんでした。
今の自民党中枢幹部もそうです。彼らの多くは戦犯の末裔であり、自らは勇ましいことを言いながら、汚いことは部下にやらせ、危険なことは多くの国民に付回す。多くの国民が貧困にあえいでも、そんなことは知ったことかと。何千円もするカレーライス、食事をしてもおかしいと感じない。熊本で鳥インフルエンザが発生しても、ゴルフをマスコミ会長、イギリス駐日大使とし続ける。これらが彼らの現実です。
このような政治や、支配層の独走、傲慢を縛るためにある憲法を、空文化させ、戦争の出来る国にしようと。そして、お国のために国民、自衛隊員が海外で戦闘を行い、死ぬような仕組みを再度、作り出したいと。寝ぼけたことを言っています。時代の流れ、世界の政治が大きく転換していることが理解できないのです。
<信濃毎日新聞社説>改憲集会 身内で盛り上げる気か
憲法を改めるには国民的な議論と合意が欠かせない。安倍晋三政権はそれに反し、仲間内の論議を中心に推し進めていくのではないか。そんな懸念を抱かざるを得ない。自民党は先週末、改憲に向けた対話集会を宇都宮市で初めて開いた。今後2年かけて全国各地で開催する方針だ。
集会には約400人が集まった。けれど、自民党県連などの呼び掛けに応じた党員や地元選出議員の支持者らが中心で、反対意見は出なかったという。自民党は集会の意味について国民の理解を得るため、と説明していた。これでは広く声を聴いたことにならない。「身内の会合」で理解が深まったなどとし、場合によっては国会議員による改憲発議の口実にされかねない。
国民が今、本当に改憲を望んでいるのか、まずはその把握と分析をしっかり行うべきだ。集会も含め、改憲の地ならしを一方的に進めることは認められない。
党憲法改正推進本部の中谷元本部長代理は、集会で改憲手続きを定めた国民投票法の改正案成立が確実視されていることに触れ、「次の国会から憲法改正が現実的なものになった」と訴えた。憲法解釈変更による集団的自衛権の行使容認については、「改憲が筋だが、憲法で容認できる部分は容認し、平和と安全を保たないといけない」とも述べた。
中谷氏が語るように、安倍首相が重視するのは戦争放棄を掲げた9条の改定である。「専守防衛」を旨としてきた自衛隊の制約を取っ払い、海外での武力行使に道を開こうとしている。
船田元本部長は集会で「安倍内閣の発足とともに改憲の機運が全国で高まってきた」と強調し、会見では数年内に改憲の国会発議を目指す考えまで示した。 果たして改憲機運は盛り上がっているのか。特定秘密保護法の強行成立などで、国民は首相の強硬姿勢に不安を覚えた。
各種世論調査を見ても、集団的自衛権の行使容認に反対する声は増えており、9条をはじめとする憲法改定そのものに異を唱える人も増える傾向にある。
安全保障に関し、自民党と国民の間で認識のずれが広がっているのではないか。安倍首相は長期政権も視野に、改憲への布石を次々に打ってくるだろう。集会もその一つとみた方がいい。対話と銘打つのなら、党派を超えて改憲の是非や中身を広く深く議論できる場にするべきではないか。