“さるかに合戦”  臼蔵 と 蜂助・栗坊 の呟き

震災や原発の情報が少なくなりつつあることを感じながら被災地東北から自分達が思っていることを発信していきます。

小保方氏の会見 細胞の再現性

2014年04月10日 13時12分26秒 | 臼蔵の呟き

小保方氏の研究発表、研究結果の信憑性、研究者の育成、倫理観と指導などなどが主張として展開されました。各社各様の主張ですが、それだけに、様々な点から問題点が顕在化しているように感じます。

科学の進歩は、基本的には人類の発展に寄与するものです。この研究は難病対策などにも直結する研究なのできちんとした調査、研究者の育成・環境整備にも生かせるものとして欲しいと感じます。

成果主義は、古くからある問題ですが、基礎研究をもっと重視し、あらゆる研究の基礎になるような実験、研究こそ手厚く支援すべきです。短期的には製品開発にすぐに結びつきはしませんが、この基礎研究の幅、質が日本における研究開発、科学の質を決めることになるのはあきらかです。

<北海道新聞>

 これでは故意でさえなければ、論文の信ぴょう性を疑うような誤りがあっても問題がないと主張しているのに等しい。

 新たな万能細胞「STAP細胞」の論文問題で、理化学研究所の小保方(おぼかた)晴子研究ユニットリーダー(30)が記者会見し、論文に不正があるとした理研調査委員会の最終報告書に反論した。

 画像の切り貼りや別の画像の転用について「自らの不注意や不勉強が原因」と謝罪したものの、捏造(ねつぞう)や改ざんを認めなかった。「悪意」の有無にかかわらず、論文に問題のあった責任は免れない。小保方氏はまず、不備がある研究や論文は信頼を得られないことを自覚しなければならない。

 最大の謎は、STAP細胞が実際に存在するかどうかだ。小保方氏は「200回以上作製に成功している」とし、存在の否定につながる論文撤回を拒否した。

 それならば存在の根拠や資料を示すのが先ではないのか。自ら作製過程を再現し、公表するのでなければ、何ら説得力を持たない。

 小保方氏が不正行為は無かったとして、既に理研に不服を申し立てている。今回の会見でも「実験ノートを4、5冊以上は持っている」「実験写真は数百枚ある」など新たな事実を明らかにした。

 今後、理研は対応を決めるが、見解が真っ向から対立しており、真相解明には程遠い。再調査をするのが筋だ。

 調査は、現在の委員が担当するのでは中立性、客観性が確保できない。第三者に委託すべきだ。理研は、論文共著者4人のうち、不正行為があったのは小保方氏だけとしている。個人の責任にして幕引きを図ろうとする姿勢が透けて見える。小保方氏は「他の方の責任やお考えにコメントする立場にない」とした。しかし、残る3人の研究への関与は不明な部分が多い。

 再調査で共著者についてもチェック体制や責任問題などをあらためて検証する必要がある。

 今回の問題の背景として指摘されるのは、若手研究者の置かれた厳しい状況だ。小保方氏同様、博士号を取得した多くが期限付き採用で、めぼしい業績がなければ契約を解除されるという。

 政府は優秀な研究者に優先的に補助金を分配し、博士号取得を推進してきた経緯がある。

 成果主義がはびこる中で、研究倫理面で十分な教育が行われてきたのか。研究機関、政府は若手の指導体制、待遇を見直すべきだ。

<信濃毎日社説>

幕引きを急いだために、かえってこじれたのではないか。

 STAP細胞の論文をめぐる問題は、不正があったと認定された小保方晴子さんが記者会見で反論する展開になった。理化学研究所の調査委員会の結論に対し、事実関係をよく理解されないまま判定されたとして、不服を申し立てている。調査委が内容を審査し、再調査するか決める。不正に当たるかどうかという議論にとどめるわけにはいかない。理研は問題の背景を掘り下げ、再発防止と信頼回復につなげる必要がある。

 調査委は、論文の疑問点のうち2項目で小保方さんの不正を認定した。博士論文とそっくりな画像が使われたことは捏造(ねつぞう)、画像を切り貼りした加工は改ざんに当たると結論付けている。

 小保方さん側は「単純な間違いで不正に当たらない」などと主張している。聞き取り調査や反論の機会が不十分だったと調査方法も批判した。問題の発覚後、初めての記者会見だった。多くの人に迷惑を掛けたと謝罪した上で「悪意をもって論文を仕上げたわけではない」と不正を否定した。論文に多くの不備を生じた原因として挙げたのは、自身の不注意や不勉強、未熟さだ。改ざんとされた切り貼りは「自己流でやってしまった」と述べている。

 未然に防ぐことはできなかったのか、小保方さんを指導する立場だった共著者らは研究を進める中でどう対応していたのか。あらためて疑問が募る。論文の不備だけを調べて済む問題ではない。理研は発表に至るまでのいきさつを検証し、説明すべきだ。

 STAP細胞が本当にあるのかどうかも、はっきりさせなくてはならない。

 小保方さんは会見で「STAP現象は何度も確認された真実」と研究結果そのものの正しさを強調している。自身は200回以上作製に成功しているとも述べた。しかし、それを証明する新たな材料は示せていない。

 論文の扱いについては「結論が正しい以上、撤回は正しい行為ではない」とし、取り下げない考えを明らかにしている。

 STAP細胞の真偽は、実験で確かめるしかない。理研は作製を再現できるか、1年かけて検証する方針だ。小保方さんはチームに加えず、共著者の一人が実験を担う。新たな万能細胞として世界的に注目を集めただけに途中経過を含め、丁寧な説明を求めたい。

<毎日新聞社説>

なんとも釈然としない状況である。STAP細胞論文の筆頭著者である理化学研究所の小保方晴子・研究ユニットリーダーが、理研の調査委員会による研究不正認定に不服申し立てをし、代理人とともに記者会見を開いた。

 理研の調査委はSTAP細胞実在の証拠となる二つの画像について、切り張りされたり、別の細胞の画像が使われたりしたことから、「改ざん」「捏造(ねつぞう)」と判定している。だが、小保方氏側は、これらは「悪意のない間違い」であり、研究不正には当たらないと反論、真っ向から意見が対立している。

 小保方氏らの主張の中核となっているのは、「真正なデータ」は別に存在する、というものだ。存在しないデータを作ったわけではなく、理研の規定の解釈からも研究不正とはみなされない、と主張している。

 論文自体はあまりに問題が多く、不正とみなされてもやむを得ないが、研究そのものを不正と見なすかどうか。本当のデータの存在はひとつの判断材料かもしれない。

 ただし、問題は、その本当のデータが、第三者にも納得のいく方法で示されているかどうかだ。

 今回、不服申し立ての文書や記者会見ではSTAP細胞の実在を示す科学的データは示されなかった。しかも、取り違えて論文に使用したという画像は、元をたどると、どのような条件で作った細胞に基づくものか、小保方氏本人もわからないまま使用した疑いがある。これでは、本当のデータの存在を信じることもむずかしい。

 小保方氏らは、理研の調査が不十分であった点も問題にしている。中間報告から最終報告に至る期間が短く、調査内容も限定的で、真相が解明されたと言えないのは事実だ。真相が解明されなければ日本の科学界への信頼性が回復できないのではないか。

 だとすれば、理研の調査委が委員長をはじめ半数が理研の人間だったことも考え合わせ、外部のメンバーによる徹底した再調査が必要だろう。その際には、理研からの独立性を重んじた人選とし、法的、倫理的側面から検証できる科学者以外の人の視点も加えてほしい。

 その上で、野依良治理事長が「未熟な研究者」と指摘した小保方氏を、理研が研究ユニットリーダーとして採用した経緯や、論文発表に至る過程で共著者のチェック体制が働かなかった理由についても、きちんと検証してほしい。既存の試料の分析・検証も進めるべきだ。

 「改ざん」「捏造」の解釈の違いを争うだけでは、理研は責任を果たしたことにならない。


マイクロソフトの基本ソフト

2014年04月10日 12時56分46秒 | 臼蔵の呟き

資本主義社会の代表的な、大量消費に値するような話です。使えるソフトを捨て、新しいソフトを買わなければならない。マイクロソフトから見れば、売り上げが増加し、利益が出るので都合が良いのかもしれません。消費者の立場を全く省みない企業が生きながら得ることが良いのかどうか考えさせられます。一部対応が出ていましたので、参考になるかどうか分かりませんが。お知らせします。

<WSJ>

米マイクロソフトは8日(日本時間9日)をもって基本ソフト(OS)「ウィンドウズXP」を店じまいする。

 と言っても、さほどうろたえることはない。期限を過ぎてもウィンドウズXP搭載パソコンの電源は入るし、稼働もする。ただし、マイクロソフトはサポートとセキュリティーアップデートを打ち切るため、XP搭載機やそこに保存した情報は今後新たに開発されるウイルスの攻撃に無防備になる。

 自分のパソコンのOSがXPかどうかが不明な人は「amirunningxp.com」を訪れて確認してみるといいだろう。

 では、XPユーザーは今後どうすればいいのか。 当然ながらマイクロソフトは全ユーザーにウィンドウズ8.1に移行してもらいたがっている。自分のパソコンのシステムがウィンドウズ8.1に必要な条件を満たしているかどうかを確認したければ、「アップグレードアシスタント」というプログラムをダウンロードすればいい。

 ただし、筆者はこの最新版のウィンドウズOSをさほど推奨する気にはなれない。マイクロソフトは今夜、ノート型やデスクトップ型パソコンのユーザーにとってウィンドウズ8.1を使いやすくするアップデートを配布する予定だが、それでも従来のデスクトップ画面での操作に慣れた人にとっては大きな変化であり、慣れが必要だ。

 恐らく最も簡単なのはウィンドウズ7搭載機への移行だろう。ウィンドウズ7ではほぼ全てのものがXPと同じ場所にある。従来のデスクトップや頼りになる「ごみ箱」、スタートメニューもある。問題はマイクロソフトがウィンドウズ8を推進しようと、たくみにウィンドウズ7搭載機を見つけにくくしてしまっていることだ。それでもウィンドウズ7搭載のノート型パソコンは市販されている。

 あるいは、アップルの「OS X」が搭載されたデスクトップ型パソコン「Mac(マック)」や、グーグルのOS「Chrome(クローム)」搭載のノート型パソコン「Chromebook(クロームブック)」に買い替えるという選択肢もある。ただし、Chromebookはグーグルのブラウザーしか使用できないという制限がある。

 古いパソコンをそのまま使用し続けたいなら、「Ubuntu(ウブントゥ)」など無償のリナックスベースのOSをインストールするという手もある。ただし、これは技術的に詳しい知識のある人にだけお薦めできる選択肢だ。


ウクライナ問題の混迷

2014年04月10日 10時59分27秒 | 臼蔵の呟き

ウクライナ問題はこう着状態に入っています。国連は常任理事国が直接引き起こした事件だけに有効に調整、協議を進行させることができなくなっています。現在の国連の持つ限界性を表面化させています。だとしても、国連を通じた紛争解決しか有効な話し合いは出来ないことも確かではないかと思います。

ロシアは主権国家に対して軍事侵略を行い、自治共和国を編入するなどは許せることではありません。クリミアをウクライナに返還することがすべての話し合いの前提条件であることは確かです。その上で、この地域の安全、政治経済的発展ととってどのような方策があるかを関係国が入って協議することが一番良いことと思います。

<北海道新聞社説> 

ロシアが関与しているとすれば断じて容認できない事態だ。ウクライナ最大級の工業都市・東部ドネツクで親ロシア派のデモ隊が州庁舎を占拠し、「ドネツク人民共和国」の樹立を宣言した。デモ隊はロシア軍の派遣を要請し、来月には共和国樹立の是非を問う住民投票を行うという。米国は、デモ隊はロシアに雇われたと批判し、ウクライナのトゥルチノフ大統領代行も南部クリミア半島の強行編入に続くロシアの「第2段階」の作戦が始まったと危機感をあらわにした。

 東部ハリコフでも親ロ勢力が同様の動きを見せている。

 プーチン大統領はウクライナに連邦制を導入させ、ロシア系住民が多い東部への関与を強めたい考えだが内政干渉にほかならない。

 ロシアはクリミア編入以前の状態に戻し、ウクライナに対するあらゆる圧力をやめるべきである。

 米国のケリー国務長官は、ロシアのラブロフ外相との電話会談で、ウクライナを不安定にさせる行動は「さらなる代償を伴う」と警告した。

 プーチン氏はウクライナ国内での軍事行動を否定しているが、国境付近にはなお数万人のロシア軍が展開している。ウクライナが脅威に感じるのも当然である。

 ロシア軍の介入が始まって1カ月余りたったクリミアでは、通貨ルーブルが導入されるなどロシア化が急速に進んでいる。

 軍事力を背景に領土を奪い、国際法を踏みにじる行為に対し、国連総会はクリミアの編入を認めない決議を採択した。ロシアの孤立化は決定的だ。ロシアは親欧米に転じたウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟を懸念する。だが強硬姿勢を振りかざすだけでは、ウクライナのロシア離れは加速する。

 NATOにも問題がある。ロシアとの協力を停止し、旧ソ連のバルト諸国や東欧へのNATO軍の展開や増強を検討中だが、軍事的緊張を高めるだけだ。互いに冷静になることが求められる。

 一方、ウクライナ議会は民族主義の極右組織の武装解除を決議した。ロシアは極右組織が参加する新政権との直接対話を拒否してきたが、こうした柔軟な対応は問題解決の一歩になり得えよう。

 ロシアには来月のウクライナ大統領選を認めるよう求めたい。

 米ロ、欧州連合(EU)、ウクライナは緊張緩和に向けて近く会議を開く方向だ。国際的な連携でロシアの譲歩を引き出すべきだ。

<毎日新聞社説>

ウクライナで、ロシアによるクリミア半島の一方的な編入に続き、新たな混乱の種が浮上した。ロシア系住民が多い東部3州で親ロシア勢力が州政府庁舎などを占拠し、うち2州では独自の「共和国」創設が宣言された。2月の政変で権力を握った中央の親欧米派政権に揺さぶりをかけ、5月25日に予定される大統領選を阻止したい狙いが感じられる。

 だがウクライナが正常化に踏み出すためには大統領選の実施が不可欠だ。そのためにも政権は、国際監視団と協力して混乱の拡大阻止に全力を挙げてほしい。

 トゥルチノフ大統領代行ら現政権は、政変でヤヌコビッチ前大統領を解任した旧野党勢力が中核だ。政変には過激な反露ウクライナ民族主義勢力も加わった。このためロシアは「非合法な権力奪取」だとして政権の正統性を認めていない。だが大統領選を経て新政権が発足すれば、ロシアの立場は苦しくなる。

 大統領選はポロシェンコ元外相、ティモシェンコ元首相ら親欧米派の候補が有力だ。このためロシアは、東部のロシア系住民の声を反映させる仕組みとして、ウクライナの国家体制を連邦制にして地方の発言権を強化するよう提起し、大統領選の前に憲法を改正して連邦制を導入すべきだと主張している。ウクライナの軍事的中立の確約も求めている。

 ロシアの懸念は、親欧米派が政権を握ったウクライナが米主導の軍事同盟である北大西洋条約機構(NATO)加盟へと動くことだ。中立の約束と連邦制の導入は、それに歯止めをかける「保証」とも言える。

 しかし、こうした国家の基本方針はあくまでウクライナの国民が決める問題だという大前提を忘れてはならない。ウクライナの国家主権を無視して、その命運を頭越しに決めようとするのは時代錯誤だ。

 ロシアはウクライナ東部との国境地帯に軍を集結させ、混乱が拡大すれば介入も辞さない姿勢で圧力をかけている。これでは国際社会の懸念は高まるばかりだ。ロシアには迅速な軍撤収と介入自制を求めたい。

 ウクライナの現政権や欧米など国際社会にも、東部のロシア系住民の不安に注意を払ってこなかった責任はある。同じ国民としてその声を国政に反映させる配慮が必要だ。

 破綻寸前の財政再建や汚職撲滅などウクライナの課題は山積だ。過激な民族主義勢力の暴走を抑え込む必要もある。

 だが、まずは国民の意思を反映した新政権作りから始めなければならない。かじ取りを誤って国が分裂するような事態になれば、欧州のみならず大きな紛争の火種を抱えることになりかねない。


カリフォルニアの記録的な干ばつ

2014年04月10日 06時32分19秒 | 臼蔵の呟き

食料自給率を上げる。食料の確実で、安定的な確保が重要であることを物語っています。アメリカの農産物が非常に多く生産される地域が、旱魃に見舞われています。このことが飼料生産、野菜などの生産量、販売価格にどのように影響するかはわかっていません。しかし、アメリカの旱魃は輸出量、輸出価格に直接的な影響を与えることは確実です。

食糧安保といわれますが、人口の爆発的な増加、中国などの生活レベルの向上により、食料が確保されづらくなっていることはあきらかです。先進工業国の排出ガス規制が全く進まない中で、地球の温暖化進み、異常気象が常態化しています。日本では、集中豪雨、都市部における雨量の激増、北海道における異常低温、降雪量の激増などが起きています。夏場の異常高温もその流れの中で起きている現象ではないかと思われます。海洋では、海水温の上昇により、今まで獲れた魚種が全く獲れなくなり、違った魚種になっているなどが報告されています。

自民党は米作農家への補助、政策を変更することを決めています。主食の生産地、生産量が不安定化することは確実です。エネルギーベースでみた自給率が40%前後でさらに低下することは国家としての自立性確保ができないことを意味しています。防衛費の増加どころの話ではありません。中国、アジア侵略戦争時に、餓死する日本人、軍人が多かったといわれていますが、このようなことをまともに考える必要があります。(戦争が出来る条件を云々するのではなくて)

<FT>

カリフォルニアの記録的な干ばつがシリコンバレーの中枢に影響を及ぼしつつある。

 ほとんど雨らしい雨も降らずに雨季が終わり、ハイテク巨大企業グーグルが本社を置くマウンテンビューは先週、水不足の非常事態宣言を出した。このハイテク集積地では、非常事態宣言の影響は軽微だ。例えば、レストランは客がリクエストした場合を除き、水をサービスできない。

 しかし、アップルが本社を置くクパチーノ市から車か飛行機でわずか数時間ほど内陸へ移動すると、米国最大の人口と農産業を抱えるカリフォルニア州を襲った干ばつの影響ははるかに大きな脅威となっている。

 今年2月、3月にはほんのつかの間、雨が多少降り、ナパバレーのブドウ栽培者やサリーナス近郊のレタス農家、郊外や田園地帯に自宅を持つ人々に3年目に突入した干ばつが終わるとのかすかな望みを与えた。

長引く大干ばつで耕作地を眠らせる農家

 だが、カリフォルニアで観測史上最悪の干ばつを記録した昨年に続き、今年秋まではわずかな降雨しか見込まれていないため、状況は厳しい。水資源関連当局の予測によると、2014年は史上5番目か6番目に乾燥した年になる可能性があるという。

 「解消のメドは立っていないようだ」。環境研究団体パシフィック・インスティチュート代表のピーター・グライク氏はこう語った。

 米国の農産物生産高の15%以上を生産する農家は、農地を眠らせたままにしており、成熟するまで数年を要し、定期的に給水しなければ死んでしまうブドウやアーモンドの木などの作物の維持に四苦八苦することとなる。

 カリフォルニア農業用水連合(CFWC)のマイク・ウェイド事務局長は、農家は同州の800万エーカーの灌漑(かんがい)農地のうち約80万エーカーを休耕地とする計画だと説明し、「この夏がどうなるか、誰もが固唾を飲んで見守っている」と語る。

 僻地の町の中には水が枯渇寸前に陥っているところもあり、大規模貯水池の多くは、水量が満水時の半分以下だ。乾燥した郊外や田園地帯の数百万のカリフォルニア世帯にとって、これは山火事の発生リスクが平均を上回ることを意味する。今年は既に数百件の山火事が発生している。

 先週公表されたデータによって、溶けて流れ出る水が州内の都市や農地で毎年使用される水資源の3分の1を賄っているカリフォルニアの雪塊氷原が史上最小に迫っており、蓄積されている雪塊が通常の3分の1程度にとどまっていることが確認された。この時期は通常、雪塊の量が年間のピークに達する頃だ。

カリフォルニア州の栽培農家の話によると、数十億ドル規模のワイン産業にとって非常に重要な州内のブドウ収穫量は今年、干ばつの影響で平年を下回る可能性が高いという。

 農業の中核地帯であるサンホアキン・バレーの年間降水量は平年で9インチ程度だが、ブドウ栽培農家組合アライド・グレープ・グロワーズのナット・ディブデュオ代表は「(今年は)4インチにも届かないと思う」と話している。

 サンホアキン・バレーをさらに西へ行ったところでは、灌漑用水路が干上がっており、これは農家が塩分を含んだ井戸水でブドウに水をやらざるを得ないことを意味しているという。

 ブドウ農家によると、ナパバレー北部では、少し前に降った雨は助けにはなったが、まだ多くの農家が数週間の内にやって来る恐れのある寒冷期にブドウの木を暖めておくのに十分な水を確保できるかどうか心配している。干ばつがカリフォルニア州や他の州・地域の消費者に農産物価格の高騰をもたらすかどうかはまだ分からない。だが、州住民は火災に備えるよう注意を促されている。

平年の3倍近い山火事

 乾燥しきった森林は2014年だけで既に平年の3倍近い火災を発生させており、カリフォルニア州森林保護・防火局(Cal Fire)はここ3カ月間でざっと800件の火災と戦ってきた。

 こうした火災の1つが、州南部のロサンゼルス近郊で起きた火事だ。キャンプファイアーが引き起こしたこの火事では、3000人以上の住民が自宅から避難させられた。

 カリフォルニア州全域で森林と接する地域でかなりの不動産開発が行われているため、保険引受会社ベリスクは州全体で住宅ストックの15%、約200万戸が高いリスクにさらされていると見積もっている。

 Cal Fire の情報担当官ダニエル・バーラント氏は早めの準備が極めて重要だと語った。季節限定の消防士が数カ月前倒しで採用されており、通常は夏季に人員を置く季節限定の消防署が早めにオープンするという。